自らのアイデアと情熱を形にする! 「クライアントは“社会課題”と“ビジネスチャンス”」 株式会社TNZQ 代表取締役社長 金山淳吾

 大手広告代理店からエンタメ業界などを経て株式会社TNZQを立ち上げ。自らのアイデアにクライアントを引き寄せるというユニークなスタイルは、すべての起業家が持つべき“挑戦”する姿勢から生まれていた。

 事業内容を聞かせてください。

「一言でいうと“アイデアと情熱を形にする”会社です。業種でいうとインキュベーションに近いですが、僕の場合は自分のアイデアに興味を持ってくれた人たちが集まり、事業になっていくという形がほとんど。一般的に、リクエストやオリエンに向けてプレゼンするのが普通ですよね。逆にいえば、無ければアイデアを考えない。考えていたとしても世の中に出さない。自分が考えたものを世に出そうと起業する人もいるけれど、最初に優先されるのは資金調達。だけど僕は、起業時にお金や仲間がなくても自分が思い描いていることを前に出せる会社を作ってみたいと思った。アイデアだけで世の中を沸かせることはできるんじゃないかと思ったんです」

 想定クライアントやターゲットは。

「TNZQのクライアントは“社会課題”と“ビジネスチャンス”です。某クルマメーカーがクライアントで、ターゲットは車離れした若者…というような形ではとらえていません。社会の機運を読み、課題を発見し、そこからアイデアをもらう。そのアイデアが本当に強いものであれば、いろいろな企業や組織がパートナーとして付き、プロジェクトや事業になる。ターゲットにしても、あえて限定しないようにしています。ターゲットを決めると往々にしてその枠以下しか反応を得られない場合が多い。ターゲットを“世の中”にしておけば一定数のロイヤルカスタマー、熱烈なファンと出会うことがきっとできる、と思っています。代表的な事業例が渋谷区観光協会ですね。僕自身、旅好きで各国の都市を旅したけれど、東京にとっての観光とは何なんだろうと考えていた。インバウンド需要で海外から東京に訪れる人が2400万人を数える今、東京の観光都市力をきちんと考えてみるべきではないか。本当に東京が観光客を呼んでいるのか、オリンピック後も呼び続けることができるのか。その中で観光都市・東京をけん引する存在になれれば渋谷にとって大きな価値になる。渋谷の観光都市プロジェクトをデザインして渋谷区に話したところ昨年、観光協会の代表理事となってアイデアを実現させてくれないかとオファーをいただいたんです。外部のコンサルではなく代表権を持って運営してほしいという、ユニークな、けれど理想的な形です。

 他にもインディペンデントで『ZENRYOKU50』という、街中で50メートル走の記録を取るというイベントをやっています。最初に話を聞いた人は皆“面白そうだけどビジネスになるの?”と言いますね(笑)。僕も、スポーツから離れてしまった大人が全力走をしたら、普段歩いている道でのワールドレコード保持者になったら面白いんじゃないかというところから始めたんですが、やってみたら幅広い年齢層に好評で。2015年の夏から現在まで約40回開催していて、全国から開催希望をいただいています。途中から、レッドブルという会社が面白そうだからとサポートしてくれるようになりました。これも、アイデアと情熱が、パートナーやサポーターを引き寄せてくれたという事例です」

 今後やってみたいことは?

「今、儚いものに永遠を与えられないかというテーマに興味があるんです。ボツになったアイデアとか世に出なかったクリエイティブを集めて“スクラップアート”と題して再生できないかな、と。僕も一つあるんですよ。チェスには芸術的で高価なものがあるのになぜオセロには無いんだと〈世界一美しいリバーシTWOTONE〉という商品を作ったんです。ミラノサローネなど海外のデザイン展で評価いただいたんですけど、凝りすぎたせいで価格帯がとんでもないことになり…。スクラップアート第一号は自分の作ったものになると思います(笑)。ビジネスとしては日の目を見ていないけど“失敗”とは思っていません。挑戦し続ける限り“失敗”にはならないんです。起業して自由を得たはずが自分のプランに束縛され、結果的に方向を見失う場合も少なくない。起業家にとって自由とは挑戦である、という気持ちを持ち続けたいと思っています」

Company Profile

株式会社tanzaq(TNZQ/タンザク)
『クライアントは社会課題やビジネスチャンス』を理念として掲げて、社会のさまざまな課題をアイデアやデザインで解決に導くクリエイティブ・アトリエ。
 業務執行型の経営者として企業をリードするケースや、プロジェクトデザイナーとしてのサポート、クリエイターとしてプロジェクトにジョインし、事業部の独立を支援するケースなどプロジェクトへのコミットスタイルは多様。
 現在は、TNZQでさまざまなプロジェクトアイデアを推進、スケッチし、一般財団法人渋谷区観光協会の代表理事、HAKUHODO THE DAYのエクスペリエンスデザイナーとして都市や企業の新しい事業創造をサポート。


起業をする人・考える人への応援メッセージ
計画力も大切だけど、反応力も大切。自分の心が反応した時こそチャレンジのタイミングです。まずは飛び込み、情熱をもって取り組めば、きっとさまざまな良い出会いが訪れてきます。巻き込まれるより、巻き込んだもの勝ちです!!
金山淳吾

金山淳吾(かなやま じゅんご) 
2001年電通入社。衛星放送の広告事業担当としてキャリアスタートし、テレビ番組の企画プロデューサーとしてスポーツ、アート、音楽などの番組開発に従事。2010年に音楽プロデューサー小林武史の元へ転職し、エンターテインメント事業や環境事業、飲食店や農業事業などの事業開発を担当。2015年に独立し、クリエイティブ・アトリエTNZQを設立。2016年より、渋谷区の観光振興事業のプロデュースを一般財団法人渋谷区観光協会の代表理事として牽引。


金山淳吾セミナー
『発想力へのチャレンジ』


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 ユニークな視点と発想力で、社会課題をビジネスにつなげる起業家が「ひらめき」から「事業創造」までの思考プロセスと起業家における「自由」の定義を語る。