ベンチャーキャピタルは私の天職です 「企業が社会に認められる、それが自分の自信になります」 株式会社iSGSインベストメントワークス 取締役代表パートナー佐藤真希子
 創業・起業が奨励されるなかで、切り離すことができないのがお金の問題。自己資金、自治体からの支援、銀行からの融資、そしてベンチャーキャピタルなど選択もいろいろ。自分のビジネスだったらどの選択がもっとも賢明? 独立系VCの株式会社iSGSインベストメントワークスで腕を振るう佐藤真希子さんに聞く。
「ベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けると会社を乗っ取られてしまうんじゃないか、出資されることは怖いことだと考える方はまだまだ多いです。VCとの接点が少ない地方ではその傾向は強く、もともと銀行などからの借入で会社を経営されてきた方からすると、会社の株式の一部を外部に保有してもらうこともそうですし、VCの情報も少ないので不安ですよね。しかしながら私は、事業を急速に成長させたいという意向が起業家にあるのであれば、VCをうまく活用する方法も選択肢の1つではないかと思っています」

 佐藤真希子さんは、前職で9年、そして株式会社iSGSインベストメントワークスで1年強と、約10年間にわたり、数少ない女性VCとして経験を積んできた。

「新卒で創業1年のサイバーエージェントに入社を決めました。サイバーエージェントでは、インターネット産業自体の急速な成長の中で、ベンチャー企業自体がアグレッシブに成長するだけでなく、企業成長と共に生まれる課題などもリアルに経験してきました。入社から6年経った2006年ごろ、もう1回あのアグレッシブな成長を実感したいと思うようになり、いろいろな人と話をするなかで、ベンチャー企業でもう1度挑戦するのもいいけれど、自分の経験を強みに、出資を含めて事業支援していくベンチャーキャピタリストという仕事があることを知り、たまたまサイバーエージェント内でVC部門が立ち上がったこともあり異動させてもらいました」

 最近では憧れの職業と注目されることもあるVCだが、“黒子”の労も絶えない。

「サイバーエージェント・ベンチャーズ時代、前担当者が出資した会社を担当した時は苦しかったです。一時期はKPIも伸び絶好調だったのですが、人を採用するものの事業がうまく立ち上がらなく急激に経営状態が悪化。アドバイスするだけでは間に合わず、社外取締役兼営業担当役員として数カ月会社にコミットし、経営戦略の練り直しから人員を含めたコスト削減、ビジネスモデルの再構築、営業チームの立ち上げ、営業オペレーションの整備、資金調達にも動いて……その時は寝ていても夢の中で会社のことを考えている状態でリアルに起業家を体験したような感じでした。約10年のVC経験で、どんなにいい会社でも必ずいい時も悪い時もあることを知っています。楽しいことやうれしいこともありますが、それ以上にVCが力を発揮できるのはむしろ大変な時。どんな時でも冷静に、過去の実務経験や人脈をフル活用し、最短で最大の成果が出せるよう客観的にアドバイスできるのが私を含めたiSGSのパートナー陣の強みでもありますので、日々気合が入りますね」

 毎日、何人もの起業家に会い、出資に値するビジネス、そして人を見極める。

「基本的には、経営者の成し遂げたいビジョンは何か、どんな事業か、どのマーケットをとりにいくのか、それを実現するのにふさわしい経営チームなのかというところを見ています。ただ、こうした要素がどんなに揃っていても会社がうまく行かないってことは少なくないんですよ。そういう時、最後はやっぱり起業家。何を実現し、どういう社会を目指したいのか。そういう根本の考え方や、ビジョンは一番大事だなと思います。ビジョンがぶれなければ事業は変化していくことも可能です。私が初めて出資させてもらった起業家は志が高くてビジョンが明確な方でした。実際に数年経ってその会社が上場されたときは、自分が信じた起業家が世の中に認められたんだと自分の自信にもなります」

 VCは天職だという。

「私は自分が応援した人たちが輝いていくのを見ているのが好きなんです。学生時代に体育会チアリーディング部に所属をしていたのですが、VCは起業家の応援団。だから、この仕事は天職なんです」
Company Profile
株式会社 iSGSインベストメントワークス
    (iSGS Investment Works Inc.)
【所在地】東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル 34階
【URL】http://isgs-iw.com/
【創業】2016年2月
【資本金】1000万円
【事業内容】ベンチャーキャピタル事業


起業をする人・考える人への応援メッセージ
 会社を登記すれば経営者になることは誰でもできてしまいます。しかしながら、世の中に無い新しい価値を創造し、事業を起こし起業家として挑戦していくには、覚悟が必要です。
 だれもが起業に向いているわけではありません。もう一度、自分がどういうゴールを目指し、何を実現したいのかを明確にし、それでもスタートしたいのか意思を確認しましょう。登山でも高い山に登るのであれば、準備や戦略、チームが必要ですよね。そういう意味でも、まず最初に、自分とは反対のスキルをもった優秀なメンバーと共にスタートを切りましょう。そして大きな志を成し遂げたいのであれば、遠慮することなく貪欲にベンチャーキャピタルや、優秀な人を巻き込んで、夢を実現させていきましょう。
 次の時代を創る、本気の人を私たちは応援したいと思っています。
佐藤真希子


佐藤真希子(さとう まきこ)
株式会社iSGSインベストメントワークス取締役代表パートナー。2000年に株式会社サイバーエージェントへ新卒1期生として入社。インターネット広告事業本部にてプレイヤーとマネジメントを経験。その後、子会社での事業経験を経て、2006年より株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズにて国内のベンチャー企業への投資に従事。2016年2月、独立系のベンチャーキャピタルである株式会社iSGSインベストメントワークスを2名のパートナーと共に立ち上げ、取締役 代表パートナーに就任。現在は国内外問わず有望なベンチャーへの投資と支援を行う。夫は株式会社スペースマーケット代表取締役の重松大輔。三児の母。
佐藤真希子セミナー
『VC(ベンチャーキャピタル)はどのような視点で投資するのか』


【日時】9月4日(月)19時〜 【場所】Startup Hub Tokyo
ベンチャーキャピタリストとして多くの起業家と向き合ってきた佐藤氏が語る“VCが投資したいと思う起業家”とは? 資金確保の手段の一つとして、知っておきたい“VCの視点”を語る!