中澤と佐々木が揃って防衛成功 8・6 Krush.78

中澤(右)と左右田はバチバチの殴り合いを展開(撮影・小黒冴夏)

マスク姿の左右田に城戸が「いいぞ! 左右田!」
「Krush.78」(8月6日、東京・後楽園ホール)のダブルメインイベントで2つのタイトルマッチが行われた。

 ダブルメインの第2試合「-65kgタイトルマッチ」は王者・中澤純に左右田泰臣が挑戦。延長にもつれ込む激戦の末、中澤が勝利を収め初防衛に成功した。

 試合前から舌戦を繰り広げた両者。左右田はこの日もその論点のひとつとなっていたマスクをかぶり入場。そしてセカンドロープに仁王立ちで王者・中澤の入場を待つ。中澤からベルトが返還され、そのベルトが確認のため青コーナーに持ってこられた時も左右田はセカンドロープ上。バルコニーから観戦中の城戸康裕がその様子に「いいぞ! 左右田!」と声をかける。リングアナのコールを受けやっとロープから降りるとここでやっとマスクを脱ぐ。ここでもまた城戸から「いいぞ! 左右田」の声。

 リング中央でのルール確認中も柔軟体操をするなど中澤と目も合わせない左右田。とことん異例の所作のまま試合が始まった。

 1R開始早々、中澤が放った右ハイキックが合図のように激しい打撃戦を展開する両者。手数は中澤のほうが多いが、左右田は固いガード。ラウンド終盤、中澤の強烈な右フックがさく裂。しかし左右田も身長差を生かしたテンカオを見舞うなど一進一退の攻防。2Rも2人のパンチが交錯する場面が続く。左右田の左右のフックに会場が沸くが、そんななかでも中澤は強烈な右ローキックで左右田の突進を止めては左右のフックで反撃。右のクロスで左右田が一瞬腰を落とす場面も。しかし左右田もパンチからヒザをボディーに打ち込み、お互いにペースを握らせない。ジャッジが微妙なラウンドが続き、勝負の3R。左右田がプレッシャーをかけロープに押し込みパンチ、ヒザで攻め込むと中澤は押し込まれながらも左右のフックで反撃。後半はともに額をつけての打ち合いのまま3R終了のゴングが鳴らされた。

 ジャッジは1人が30-29で中澤を支持したが、残る2人が30-30、29-29のドローで延長ラウンドへ。

 延長ラウンドは3Rに続き、額をつけての打ち合いに。序盤は中澤が手数で上回るが中盤以降、左右田も手数が出始め、後半はまた左右田がロープに中澤を押し込みパンチ、ヒザ。しかし中澤も手数は減らさずノンストップの打ち合いのままゴングとなった。

判定は割れたが中澤(左)が初防衛に成功(撮影・小黒冴夏)

中澤「K-1で左右田選手と再戦できればいいなと思います」
 これまたジャッジが難しい展開となったが、今度は2人が中澤を支持。2-1の判定で中澤が勝利を収めた。
 
 中澤は試合後のリングで「中途半端な判定になって、左右田ファンの方には“左右田の勝ちだろ”と思わせる結果で、スッキリさせられなくてすみません。勝ったら“どうだ、俺のほうが強いだろ”って言ってやろうと思ってたんですけど接戦になっちゃったので、次回K-1で左右田選手と再戦できればいいなと思います」と話した。また会見では左右田について「延長になるとは思わなかった。(試合前に)あんなに言い合っても互いに格闘技が好きで、面白い試合するのがあたりまえなので。たぶん、左右田選手も同じ気持ちだと思うし。お互い、負けたら失うものでかいのに盛り上げたいから。試合終わればいいやつだなと思いますよ」と話した。激しい打ち合いになったが「あそこで負けたらこの先勝てないですよ。そこは僕の土俵なんで。左右田選手はほかにもスタイルできると思うけど、僕はあそこで負けたら、なんでチャンピオンか分からなくなっちゃうんで」と振り返った。そしてK-1出場をアピールしたことについては「さいたまスーパーアリーナ、僕も出たいです。使ってください、僕が出たほうが絶対に面白い。もともと、K-1チャンピオンになりたかったのに、K-1がなくなった。それでKrushができたので、ここが日本の最高の舞台だなと思って目標を変えた。そうしたらK-1ができた。でも、そこでK-1のベルトが欲しいといったらぶれぶれ。だからまずはKrushをしっかり取る。取ったら、子どもの頃の夢だったK-1にいくのはなんら不思議ではないのかなって思ってます」と話した。

 一方、左右田は試合後、会見場に姿を現し「いやあ、僕が思ったとおりのKrushでした。やっぱり、凄かったです。思う存分、刺激を味わいました」とだけ話して立ち去った。

佐々木(左)の三日月蹴りがぐさり(撮影・小黒冴夏)

佐々木が3Rにダウンを奪い谷山に“完勝”
 ダブルメインの第1試合では-63kgタイトルマッチが行われ、王者・佐々木大蔵が判定で谷山俊樹を破り2度目の防衛に成功した。

 ともに2月の「K-1ライト級トーナメント」に出場したものの1回戦で敗退。特に佐々木はKrushのベルトに泥を塗る結果となってしまっただけにこの一戦にかける思いは並々ならぬものがあった。谷山は1Rから左のローキック、佐々木の右の奥足へのローキックと下から崩しにかかるが、佐々木は構わず踏み込み強烈な左フックを打ち込む。2Rも谷山の奥足へのローキックがさえわたるが、佐々木はそこに左右のフックを合わせ、徐々にペースをつかむ。谷山ががっちりとガードを固めると佐々木は右のアッパーも交え、左フックでぐらつかせる。3Rも佐々木の左右のフックが谷山を襲う。谷山も右フックの連打で反撃も、佐々木は終盤、右ハイ、左ミドルから左アッパー、右ストレートと当てダウンを奪う。すぐに立って反撃した谷山だったが無念のゴング。

 判定ではあったが2人が30-26、1人が30-27と圧勝といっていい内容で佐々木が勝利を収めた。

勝利後、佐々木は第1子と奥さんをリングに上げる(撮影・小黒冴夏)

 佐々木は試合後、リング上で「日本で試合をするのは2月以来。ウェイ・ルイ選手に敗北を喫して、歴史のあるベルトに恥をかかせるような試合をしてしまいましたが、それをまた築き上げていくのは僕です」と挨拶。そして5月に生まれた第1子と妻をリングに上げ、写真に収まった。

-60kg時期挑戦者決定トーナメント決勝は郷州が判定勝ち。敗れた大沢は号泣(撮影・小黒冴夏)

郷州が大沢破り、安保への挑戦権を獲得
 この日のセミファイナルは「Krush-60kg時期挑戦者決定トーナメント」の決勝戦。郷州征宜と大沢文也が対戦し、3-0の判定で郷州が勝利を収め、安保璃紅への挑戦を決めた。

 試合は強打の郷州とテクニックの大沢という構図。1R、郷州がパンチの連打で攻め込むと大沢はがっちりガードを固め、カウンターの左フック。バランスを崩した郷州だったが、すぐさま反撃。大沢も打ち返し激しい打撃戦を展開。そんな中でも大沢はがっちりガードを固め、郷州の打ち終わりに左ボディーブロー、左フックを合わせるなどテクニシャンぶりを発揮。しかし右ボディーからアッパーを狙ったところで逆に郷州に右フックを合わされダウンを喫してしまう。

 後がない大沢は2Rから積極的に前へ。左右のフックにアッパーを交えた多彩な攻めで郷州を攻め立てるが、郷州も最後まで手数は衰えず、試合は判定に。29-27が2人、30-28が1人の3-0で郷州が勝利を収めた。

 TANG TANG FIGHT CLUBのジム長として、この試合に賭けるものがあった大沢は判定が下った瞬間、前に崩れ号泣。

 郷州は「大沢選手、すごく強い選手でした。すごく研究しているなと、自分も見習わないといけないと思いました」と大沢を称え、安保とのタイトル戦に向け「しっかり相手を研究して対策をして、(安保に)リベンジして初めてのKOを味わせてあげたいと思います。タイトルマッチも絶対勝ちます」と話した。

 リングサイドでこの試合を見守った安保は「いい刺激になりました。自分は自分の仕事をするだけで、このベルトを守るのが俺の仕事だと思ってます。ベルトを取った男と取れなかった男の違いを見せたいと思います」と話した。