安保璃紅vs郷州征宜の-60kgタイトル戦決定 10・1「Krush.81」

初防衛戦の安保(左)とタイトル奪取に並々ならぬ意欲を見せる郷州
郷州「耳が聞こえなくてもベルトが取れるということを証明したい」

「Krush.81」(10月1日、東京・後楽園ホール)の追加対戦カードが8月9日発表された。
 8月大会で行われた「Krush-60kg次期挑戦者決定トーナメント」決勝で勝利を収めた郷州征宜が王者・安保璃紅に挑戦する「Krush-60kgタイトルマッチ」が行われる。王者・安保は初防衛戦。先に発表された小澤海斗vs西京春馬の「Krush-58kgタイトルマッチ」とダブルメインイベントとなる。

 この2人は4月の「王座決定トーナメント」準決勝で対戦し安保が勝利を収めている。

 郷州は「試合が終わったばかりですぐに試合が組まれて感謝。4月に安保選手に敗れてしまったんですが、忘れ物を早くとりに行きたいと思っている」、安保は「いつもと変わらずに自分の戦い方、自分の勝ち方でしっかりKOできるように頑張りたい」とそれぞれ挨拶。
 
 短い間隔での再戦に安保は「こんなに早く再戦?とは思ったが前回の試合で郷州選手の熱い気持ちが伝わったので、その気持ちをちゃんとぶつけてきてくれたら、俺も対峙します」と話した。

 お互いの印象については安保が「フィジカルが強くてタフ。一発一発が重い」、郷州は「スピードがある。前回の試合はそのスピードで翻弄されてしまったので、今回はそのスピード対策をする。自分もついにテクニックを見せる時が来たのかと思います。テクニックの練習をして安保選手を逆に翻弄させようかと思っています」と話した。

 郷州は過去に他団体でタイトルに挑戦したことがあるがいまだ無冠とあって「今まで取れなかったのは今回のためだったんだという試合を見せたい。私は耳が聞こえません。でも耳が聞こえなくてもベルトが取れるということを証明したいと思っています。おこがましいですが、同じ境遇の子供たちに夢や希望を与えたいと思っています。そして自分の夢をかなえたい。そのためには絶対負けるわけにはいきません。絶対に勝ちます」と並々ならぬ意気込みを語った。

 一方の安保は初防衛戦について「プレッシャーはない。生年月日が平成9年9月9日でラッキーナンバーが9。今回はプロ9戦目なので9戦9勝にしたいということで気合を入れている。絶対に負けられない」と返した。
-60kgファイトの明戸、闘士、一人挟んで横山、山本(左から)
-60kgの明戸仁志vs山本直樹、闘士vs横山巧も発表

 またこの-60kgで次の展開を占うこととなる「明戸仁志vs山本直樹」「闘士vs横山巧」の2つのカードも合わせて発表された。

 明戸は今年3月に「-60kg次期挑戦者決定トーナメント」1回戦で横山に敗れて以来の復帰戦。山本はかつてK-1 MAXで活躍し、2016年に引退した山本優弥の実弟。今年2月のKrushから現在3連勝中と一気に素質が開花した格好だ。

 明戸は現在小比類巻道場に所属。小比類巻と山本はかつてK-1 MAXで激闘を繰り広げた仲でもあり、時空を超えた代理戦争の趣もある。

 明戸は「いまボクシングの新しいトレーナーも入って新しいトレーニングを取り入れボクシングの技術も上がっている。今までとは違う一面が見せられれば。山本選手は優弥選手の弟ということでマチュアのころから注目していた。アマチュアで見ていた時はあまり強いという印象はなかったが、プロになってからの成長がすごい」、山本は「7月のKHAOSでKO勝ち。早く試合がしたかった。3カ月でどれだけ強くなっているかを見てもらいたい。明戸選手は以前所属していたブッチビートの渡辺武選手との試合を見て、すごくお客さんが盛り上がっていて自分もこういう試合がしたいと思っていた。パンチもあるし根性もあるので熱い試合になると思う。どんどんぶつかっていきたい」と話した。

 もうひとつのカードの闘士と横山は34歳と19歳という15歳もの年齢差がある対決。ともに「-60kg次期挑戦者決定トーナメント」準決勝で敗れている同士。

 闘士は「5月28日に郷州選手に負けて、久々に地獄に落ちた感じだった。何をやるにも気持ちが乗らなかった。この2カ月間、リングに上がれないという感覚まで落ち込んだ。でもジムでサンドバックを蹴り始めると、だんだん“もう1回試合で勝ちたい”“早く試合したいな”って気持ちが出てきたときにマッチメイクしてもらった。今回は謙虚に宮田さん(K-1プロデューサー)、ありがとうございます」とまだまだやる気満々。横山も「前回はダウンを取られ、悔しい負け。さらに練習量を増やし、いつチャンスが来るんだろうと思っていたところで今回の試合が決まったのでありがたく思っている。この試合に勝ってまた一歩ベルトに近づければ」と話す。

 また闘士が「俺が興味があるのは大雅、卜部功也、皇司。相手のことは興味がない。ただ、横山君、俺は強いよ」と言えば横山は「闘士選手にとっては僕なんて眼中にないのかもしれないけど、僕にとっては闘士選手はいい踏台だと思っています。負けないですよ」と静かに火花を散らした。
ともに物静かな江川(左)と鍋島
江川優生が階級を上げ、鍋島好一朗と対戦

 今大会ではすでに小澤海斗vs西京春馬の「Krush-58kgタイトルマッチ」が発表されているのだが、その-58kgで江川優生vs鍋島好一朗の一戦が行われる。

 江川はこれまで-55kgで戦ってきたが、前戦の「KHAOS.3」で行われた「Money in the KHAOS」で優勝候補に挙げられながらまさかの初戦敗退。「ひとつ前、2月の試合くらいからきつくなっていた。次(KHAOS)で最後になるのかなと考えていたが動いてみたらやっぱり動けなかった」として今回から階級をアップし捲土重来を期すこととなった。

 一方の鍋島はKrush2月大会のプレリミナリーファイトで勝利を収め、ビッグバンでも勝利を収め、今回のkrush本戦への出場を勝ち取った。

 鍋島は「今回、本戦に参戦するんですが、有名な選手が来たな、という印象。このチャンスをしっかりモノにしたい」、江川は「今までできなかったフィジカルトレーニングを取り入れていて、それが試合に生きれば。いい練習ができている」と話した。

 会見でも物腰の柔らかい鍋島は「会社員で営業で働いている。今日は上長にお願いして途中で抜けてきました」という31歳の遅咲きファイター。しかしキャリアは4戦3勝1敗でうちKO勝ちが2つと倒せるファイター。こちらは若手有望株の江川を破れば一気にKrushの-58kg戦線に名を連ねることになる。ともに今後のキャリアを見据えた戦いとなりそうだ。
ともに久々のkrush参戦となる大岩(左)と亀本
大岩翔大と亀本勇翔が久々のKrush参戦

 その江川が敗れた「Money in the KHAOS」で優勝した大岩翔大が約1年ぶりにkrushに参戦。こちらも約2年ぶりのKrush参戦となる亀本勇翔と対戦する。

 大岩はKHAOSでの試合後、「Krushに喧嘩を売りに行く」と宣言。今回の参戦となったが「KHAOSで優勝してちょっとは名前を覚えてもらえたかなと思っている。優勝後の初戦なんで絶対に落とせない。確実に仕留めに行きます」と話す。一方の亀本は今年6月に行われた「ビッグバン・統一への道 其の29」で元krush-55kg王者の堀尾竜司に判定ながら勝利を収めるなど心境著しい。「人生をかけて勝負するために来た。この1年でいろいろな経験をさせていただいて人間としても視野が広がったし成長できた。この1年間バリバリ練習できたので、着実に強くなっている。(堀尾戦も)自信は前からあった。周りはどう思っていたか分からないが僕は普通に勝てると思っていた。だからむしろ前回の試合は反省点が多かった。僕が倒したいのは現チャンピオン」と話した。

 この2人、入場時の2ショット撮影でいきなりにらみ合いを展開するなど早くも気合入りまくりだったのだが、会見の途中で同じ94年生まれということが発覚。大岩の「10代の若手の選手が活躍している中で亀本選手みたいな20代で頑張って戦っている選手には特別な思いがある。若手に負けたくないし、僕らのような20代が若い世代を引っ張っていかないといけない。同じ世代でバチバチやって、お客さんを楽しめさせれば」という言葉に亀本も「94年生まれはあまり活躍している人がいない。94年組を僕と大岩選手で盛り上げて、かといって仲良くやるんじゃなくバチバチと盛り上げていきたい。ぞくっときた」と同調した。
会見では神保(左)が小西に終始かみついた
きな臭いムードが漂う神保克哉vs小西拓槙

 -70kgの「神保克哉vs小西拓槙」の一戦も発表。

 神保はK-1、Krushの-70kgで最も勢いのある存在といわれる選手。これまで6戦4勝(3KO)1敗1分という好成績を残しているのだが、アンダーカードだったこともあり会見に出席するのは初めて。「やっと会見に呼ばれたかな、と思っている」と前置きしたうえで「どっかのチャンピオンらしいんですけど、自分は知らないんで普通に倒してやろうかなと思っている」といきなりかみつく。

 一方の小西は日菜太と同じクロスポイント吉祥寺の所属で、今年4月に行われた「REBELS.50」で神保の先輩である小鉄と対戦し勝利を収めている。そこでKrush参戦をアピールし、今回のカードが実現した。2009年にKrushでデビューしたのだが2011年1月大会で計量に失敗し、以降Krushを離れたことから今回の参戦について宮田充プロデューサーに感謝の言葉を述べたうえで「小鉄選手が頭から入ってくる試合だった。それは小鉄選手の策略なのかチーム目黒の策略なのかどっちか分からないですけど、僕はクリーンファイトで戦うことが大好きなので、今回はぜひとも頭からは入って来ずに殴り合ってほしいなと思います」ときつい一発をお見舞いした。

 こちらも21歳の神保と30歳の小西というサバイバルな要素も含み、刺激的な一戦となりそうだ。

 この日は-55kgの「石塚宏人vs林勇汰」、-70kgの「海斗vs雄人」の2試合も合わせて発表された。