【江戸瓦版的落語案内】味噌蔵(みそぐら)

 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
 ケチで有名な味噌問屋の主人。屋号は吝屋(しわいや)、名は吝兵衛(けちべえ)は、40代になろうというのにいまだ独身。曰く「嫁をもらうと金がかかる。いわんや子どもなんかできたら、どれだけ金がかかるやら…」。しかし親戚一同から責められ渋々結婚することに。子どもができたら一大事と寝室は別々にしていたが寒さに耐えきれず女房の布団にもぐり込んで暖をとるうちに、子どもができた。出産費用を浮かせるために産前産後は実家に帰し、しばらくすると男の子が生まれたとの知らせが。ケチ兵衛は、小僧の定吉をお供に嫁の実家に行くことになった。留守の間、一番の心配が火事。そこで番頭に「こんな風の強い日は火事に十分気を付けるように。万が一ご近所で火事が起きたら、蔵に味噌で目塗りをすること」と言いつけ出かけて行った。主人の初めての里帰り。奉公人たちは番頭に、帳面をごまかしておいしいものをたらふく食べましょうと提案。一旦は断る素振りを見せるものの、番頭もハナからそのつもり。「勘定は私が帳面をドガチャカ・ドガチャカとごまかすから好きなものを頼みなさい」。酒の肴、マグロの刺し身、天ぷら、鯛のお頭付き、鰻のかば焼き、寿司、田楽…とそれぞれが食べたいものを注文。田楽は冷めたらまずいので、手間でも2〜3丁ずつ焼きたてを持ってくるように横町の豆腐屋に頼んでおいた。日ごろのうっぷんを晴らすかのように、飲めや歌えの大宴会。しかし、そんな時、ケチ兵衛が帰って来た。火事が心配でとても泊る気にならなかったのだ。家に近づくと、なにやら大騒ぎ。「ああいう無駄な事をするのは旦那の心掛けが悪いんだよ」と近づくと、大騒ぎしているのは自分の家、そこで戸を叩き「おい、私だ。開けなさい」と言うと、とたんに酔いがさめてしまった。「とんだ散財をしてくれたね。この分は給金から差っ引くから覚悟しろ。絶対ドガチャカなんてさせないぞ!」と怒っているところに、戸を叩く音とともに「焼けて参りました。焼けて参りました」と豆腐屋が田楽を届けにきた。ケチ兵衛は火事だと驚き「どちらから?」「横町の豆腐屋です」「そりゃ近い。で、どんな塩梅で?」「2〜3丁焼けてきました。あとからどんどん焼けてきます」。火足が速くてこりゃ大変と慌てて戸を開けるとプーンと焼きたての味噌田楽の匂い。「いけない。味噌蔵に火が入った」