杉咲花 三池崇史監督&木村拓哉と挑んだ超話題作『無限の住人』でヒロイン役を好演!
 ゴールデンウイークシーズン最大の注目作がいよいよ公開カウントダウン! 日本のみならず海外でも熱狂的ファンを持つ沙村広明の大ヒット漫画を鬼才・三池崇史監督が実写化。木村拓哉演じる不死身の侍・万次の“生きる理由”となっていくヒロイン・凜を演じたのは、本年度第40回日本アカデミー賞で新人俳優賞と最優秀助演女優賞に輝き、いま最も期待がかかる女優・杉咲花!
ヘアメイク・石部順子 スタイリスト・武久真里江 撮影・上岸卓史
自分を見守る木村の姿に学ぶ!

「これまでまったく自分が挑戦したことのない世界観と役柄でしたし、原作がある作品もほとんど経験が無かったので、新しい場所にまた一歩、踏み込むことができると思い、とても楽しみでした」と、目を輝かせる杉咲花。おいしそうに中華料理をほおばるCMでお茶の間を魅了したかと思えば、昨年公開の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で女優・宮沢りえの娘役で堂々たる存在感を見せる、今最も気になる女優だ。

 そんな彼女の最新作は、三池崇史監督と木村拓哉がタッグを組み絶大な人気を誇る同名漫画を実写化した超話題作。

「普段、私は映像作品ばかり見ているので漫画にはうといんですが、今回初めて沙村先生の原作を読ませていただいたときに、生臭さというか、生きている感じのにおいみたいなものが伝わってきて、読んでいて体がゾワゾワしたんです。今回、三池監督からは“原作をリスペクトしたい”という話を伺っていたこともあり、まずは漫画を読むことからだなと、けっこう読み込みました。読む以外にも、参考になりそうな凜のイラストをコピーして切り抜きをとっておいたりして、何とか体に沁みこませようとしていました」

 杉咲がとくに引かれたのが、やはり凜と万次の不思議な絆。

「私は凜と万次の関係性がすごく好きなんです。2人は家族でもないし恋人でもないけど、ある意味それ以上の深いところでつながり合っていて、愛情があるんですよね。それが、すごくいいなと思うんです。出会った人との関係はそれくらい大事にしたいという思いが私の中にもあって。実際には難しいことだけど、たくさんの人じゃなくても、そういう関係性にある人がいたら…と、少しうらやましくもありました」

 今回、万次役の木村とまさにそんな絆を結んだのでは。

「そうですね。特に今回の現場では、撮影しているときは凛、していないときは私、というような線引きが無いような感覚で過ごしていたので、撮影期間中はずっと私の中で木村さんは大切な存在である万次さん、という気持ちでした。撮影が3日間ほど空いていたときは、さみしい気持ちになったりもしました」

 撮影現場で万次のように杉咲を見守る木村の姿が目に浮かぶ。

「木村さんと現場にいると、私が知らないことをたくさん教えてくださるんです。私も殺陣のシーンがあるんですが、昼休憩後の撮影に備えようとアクション部の方に練習を付き合ってもらっていたら、すっと木村さんが現れて“こうやるんだよ”とアドバイスしてくださって。あんなふうに自然に見守っていてくださることが本当にうれしかったです」

 木村の姿勢にも学んだ、と杉咲。

「凜は刀を持ち歩いているんですが、美術のスタッフさんが刃が映らないとき用に刀身が竹でできた軽いものを用意してくださったんですけど、木村さんが、常に刃のあるものを持っていたほうがいい、とアドバイスしてくださったんです。凛はずっとそうやって過ごしているんだから、と。やっぱりすごいな、と思いました。ご自分のこととなるともっとすごいんです。劇中、木村さんは片目が閉じているメイクをしているんですが、撮影の間がけっこう空いても、メイクを一度落としたりしないんです。現場にいる間はずっと役と近いところにいることで、よりその役に重なっていくんだなと、勉強になりました。周りの人にはすごく気を配ってくださるんです。私にも、寒いときには“コート着ろよ”って声をかけてくださるんですけど、木村さんご自身は、血のりで汚れてしまうからと寒くてもコートを着ないしカイロすら張らないんです。本当にすごいなと思いました。木村さんの近くに居ることで、現場での姿勢だけでなく人としても多くを学ばせていただいたと思っています。三池組は最初からチームとして完成していて、全員が一つの方向に向かって作品を高めていく感覚が刺激的でしたし、プロフェッショナルな方々が集まる環境でお芝居ができることに、幸せを感じていました。この作品で得たものは本当に多かったです」

 初日の撮影終了時、木村と杉咲はハイタッチ。

「初日の撮影は、私の中ですごく大事なシーンだったこともあり、大丈夫だろうかと少し緊張していたんです。でも撮影が終わって木村さんがハイタッチをしてくれたので、これは大丈夫だったということかなと思って、うれしかったです。私も、あの日に凛として現場に立つ自信がついたのかもしれないと思います」


一番苦手なキャラは…やっぱり!?


 個性的な登場人物の武器や衣装を実写で見ることができるのも楽しみ。

「私も実際に凜の衣装を目の前にしたときは衝撃を受けました。原作や台本を読んで自分の中で凜をどう演じていこうか考えているところに凛の衣装が出来上がってきて、これを着て凜になるんだ、と。衣装やヘアメイクのおかげで、私も自然と凛に近づけたと思います。あとは自分の役作りで期待に応えなくては、と改めて思いました」

 原作の世界観を見事に表現しながら、映画として高い完成度を実現。

「まずはビジュアルを徹底的に作り込んでいるのがすごいなと思いました。監督は現場でも常にタブレットを持っていて、撮影しているシーンを撮るときに原作の同じ場面を見ていらっしゃって。でも、役者たちには原作をリスペクトしてください、ということ以外、ほとんど何もおっしゃっていなかったと思います。監督からは、実写でやるということへの挑戦、というものを感じました。ビジュアルや見せ方で作り込んで、あとは実際の生身の人でしか表せない表現を、監督は強く求めているんだなと感じました」

 一流の木村をはじめ、キャストが、見事に世界観を表現。

「実際に見て、わっ、と思ったのは八百比丘尼です。もう本当に原作の画から出てきたような感じがしました。逸刀流の中だと北村一輝さんが演じた黒衣鯖人(くろいさばと)。一番キライです(笑)」

 鯖人は、万次を用心棒にした凜が最初に立ち向かう、異様な剣士。

「自分の中では、あのシーンの撮影は特に過酷でした。現場は、日中は観光客もいる映画村だったので3日間、長い時間をかけて撮影を行っていました。そんな中で、同じテンションを保ち続けるというのはかなり大変だったのですが、あんな恐ろしい人が目の前にいると自分で頑張らなくても戦慄することができた。おかげで強烈な印象が残っています(笑)」
撮影・上岸卓史
初めての殺陣で挑戦した技とは

 アクションならではの試練も経験。撮影2カ月前から所作やアクションのトレーニングに励んだ。

「踊るシーンは無いんですが、そこから所作が身に付くということで日本舞踊の稽古もしました。着物に着られるのではなく着こなすようになるからと、着物を着て練習をしました。アクションは、私は殺陣をやるのも初めてで、木刀を持って正眼の姿勢に構えるところからのスタートでした。それだけでもきつくて、これってこんなに苦しい体勢だったんだ、とびっくりしました。アクション練習をした次の日、筋肉痛になって、お箸を持つ手がぶるぶる震えてしまうくらい。凜は道場の娘という設定だったので少し焦りましたけど(笑)、動画を撮って家で自分の姿勢を何度も確認したりして、一つ一つ進んでいきました。所作も殺陣も時代劇を見ているとすごく美しいけれど、ただ立っているだけの姿勢でも身に付けるのは簡単では無いんだなと実感しましたね」

 印象的なのが凜の必殺技“黄金蟲(おうごんちゅう)”。 

「あれもたくさん練習しました(笑)。最初に原作を読んだときは、それこそ、これどうやってやるんだろうと思いました。ワイヤーで吊られたりするのかと考えたんですが、そんなことはなく、自ら反る!みたいな(笑)。けっこうきつい体勢で。原作ファンの皆さんにどう見てもらえるか、気になります」

 京都ロケも過酷だったようだが。

「撮影自体はすごく楽しかったんですが、冬の時期に京都の山奥でロケしていたので寒さが一番大変でした。しかも血のりって渇くとすごく冷たくなるんです。血のりの付いている部分がキンキンに冷えて、一層寒く感じましたね。あとはクライマックスのアクションシーン。凜はほとんど守られているだけなので立ち回りを覚える必要はなくて、とにかく転ばないように気を付けていれば良かったんですが、それでもあれだけの人数の人に襲われると本当に命の危険を感じて、撮影の現場で死ぬ!と思ってしまいました。もちろん演技なんですけど、皆さん本当の切り合いのような迫力で。本番に入ると、とんでもない緊迫感がありました」

 何百人を相手に切り合うクライマックスの大立ち回りは圧巻。凛にとっては宿敵・天津影久(あのつ かげひさ)との決着を迫られる場でもある。

「天津は、少し気を許してしまうと敵討ちすることに迷いが生まれてしまうくらい複雑な過去を持った人物なので、最後に対峙する場面は心が苦しかったです。天津と目が合ったとき、この人と戦うのか、とすごく怖かった。それでもやっぱり凜の中で天津は悪なんですけど、この作品はすべての登場人物にそれぞれの生き方があって、観客から見れば誰の味方にもなることができると思うんです」

 天津を演じたのは共演経験も多い福士蒼汰。

「福士君とは共演が今回で5回目くらいなんです。初めての現場だと知り合いの役者さんが一人でもいるとすごく安心するんですけど今回はまったく違う立場の役どころなので、どうなるんだろうと思っていました。でも現場では撮影していないときは、優しくしていただきましたね。撮影当時は高校生だったので、現場で合間にテスト勉強をしていたら声をかけてくれたり(笑)。福士君の武器は大きい斧で、凜もその武器を持とうとするシーンがあるんですけど、本当に重いんですよ。あれで殺陣をするのは本当に大変だったと思うんです。現場でも練習している姿をよく目撃していました」

 ドラマ、そして映画に夢中!

 映像作品が好きで役者の世界に入ったという杉咲。

「私はドラマが好きで、小さなころからテレビでドラマを夢中で見ていて、もうワンクールにやっているドラマをほとんど見るくらい好きだったんです。だから今でも、ほとんどドラマか映画ばかり見てますね。少女マンガとかも、すごく学校で流行って友達に絶対読んでと勧められた作品を2つくらい読んだことがあるくらい(笑)。最初はドラマが好きで、それでこの世界に入ったんです。そこからいろいろな現場を経験させていただき、数年前から映画のお仕事をいただくことも多くなってから、すごく時間をかけて一つの作品を撮っていく映画の現場に魅了され、今ではドラマと同じくらい映画が好きになりました」

 今年の日本アカデミー賞では新人俳優賞、最優秀助演女優賞に輝いた。

「今はとにかく、もっとお芝居をしたいですね。一つ一つの作品にしっかり向き合っていきたいという思いです」

 一緒に仕事をしたい憧れの方々がたくさんいるんです、と笑う。現在19歳。作品ごとに、そんな憧れの人々から多くを吸収する杉咲がどこまで大きくなっていくのか計り知れない。(本紙・秋吉布由子)
©沙村広明/講談社 ©2017映画「無限の住人」製作委員会
『無限の住人』

監督:三池崇史 出演:木村拓哉 、杉咲花、福士蒼汰、市原隼人、戸田恵梨香、市川海老蔵他/2時間21分/ワーナー・ブラザース映画配給/4月29日よりGW全国公開 http://mugen-movie.jp