【徹底討論 第2弾】外国から来た皆さんに聞きました! 日本の喫煙ルール、どう思う? 世界に通じる? 
 屋根のある場所ではノースモーキング! 歴代のオリンピック・パラリンピックの開催都市が厳格な喫煙ルールを導入したのに倣って、東京もスモークフリーな街へと変化しようとしている。レストランはもちろん、居酒屋やバーを含めて屋内完全禁煙化を目指すという。とはいえ、海外とは違う日本の喫煙環境、このまま屋内の原則禁煙化を進めていいの? 外国から来た皆さんに聞いてみた。
屋外なら喫煙OKの外国

——みなさんから見て、日本はたばこに優しい、それとも厳しい国ですか?

ヨシエ:日本のたばこはパッケージのデザインが怖くない。ペルーは、喫煙するとこうなるって怖いメッセージつきの写真。
ジェミリン:フィリピンも怖いよ!(笑)
パヌワット:日本はルールを守るならたばこを吸ってもいい、という感じですよね。みんなで禁煙しようとしている自分の国と比べると、吸っている人には優しい。
ユキ:私も優しいと思います。レストランや、居酒屋、こういうお店でたばこが吸えるなんてアメリカでは考えられない。ちょっとしたバーでも、外に出て少し歩いたところで、じっと動かずに吸うのが当たり前ですし、そうしていても、嫌な顔をされたり、私の近くで吸わないでと注意をされることもありますし。
マサキ:南米はそんなルールはない、怒られることもない、オレがいた時代はね!
ヒン:ベトナムもないですね。喫煙について規制とか、そんなないですよ。
パヌワット:タイは今は吸っていいところだけでしか吸えないな。
ジェミリン:フィリピンは、病院とか学校の近くでなければ大丈夫。

——「分煙」という考え方が違いの理由だと思います。日本には喫煙室の設置や煙がお店全体に行きわたらない仕組み、禁煙タイムが設定されたりしています。

ヒン:ベトナムには「分煙」の概念がないです。「吸っていい」と「ダメ」しかない。学校や病院以外なら吸ってます。
マサキ:南米はどこでも吸ってるよ、俺がいた時代はね(笑)。
ジェミリン:(「分煙」という考え方は)聞いたことがなかった。
ユキ:屋内はもう完全にない(笑)。
撮影・蔦野裕
「ルールを守りたがる」日本人

ヨシエ:みんなが喫煙スペースに入ってたばこを吸っているの、いいですね。
マサキ:ポイ捨ても少ないというか、ないですよね。日本だなって思うところ。
ヒン:日本はどこでも路上は禁煙ですよね? ベトナムからの観光客を案内することがあるんですけど、歩いていてたばこに火をつけようとするんです。説明しますけど、たぶんなぜダメなのかは分かってもらえてないんじゃないかなあ(笑)。
マサキ:……地方によっては路上喫煙はいいところもあるんじゃないですか?

——路上喫煙については地域ごとですね。東京では千代田区のように区内全域で路上喫煙がダメなところがあったり、日本の人口約60%を占めるエリアでは指定場所以外は原則禁煙となっています。

ヒン:そうなんですか! そう思うと、日本はたばこに優しいのかも…? でも、複雑ですね。
パヌワット:ほかの国もやったらいいのにと思うルール、ありますよね。
マサキ:でもたぶん南米の人はやらないよ、オレがいた時代だったらね(笑)。
ジェミリン:フィリピンも難しいな。
マサキ:日本は、マナーの呼びかけも盛んですよね。喫煙所にも、子供の高さにたばこの火が……とか。自分も子供を持つまで気付かなかったことです。
ユキ:私は言われるまでそんな呼びかけに気が付いていなかったかもしれない。結局、自分の興味がないと…。
ヨシエ:たばこのルール、オリンピックが来ると、もっと厳しくなると聞きました。
ジェミリン:私も聞きました! レストランとか、小さいお店もダメとか……。

——「屋内完全禁煙化」ですね。でも、日本だと、ユキさんが言っていたように外に出ても吸えない場所があります。

ヨシエ:前職でお客さんがたばこを吸える場所がなくて困っていました。
ヒン:もっと簡単になればいいのに。
マサキ:国が決めるのなぜなんだろう。お店は自分でビジネスをしてるんだから。
ユキ:そうなっちゃったら私はちょっと残念だけど……。ただ、オリンピックやパラリンピックがあるから全部禁煙というのは、大会を見に来る人たちを対象にしているんじゃない? ルールを守ろうとする日本の人や日本が好きで来日する人は、日本のルールに従うことも楽しみにしてるけど、競技を見に来るだけの人たちはどうかっていえば、しないでしょ。
マサキ:そうかなあ。以前、日本にサッカーの試合を見に来るって人たちがね、サッカー以外のことについても問い合わせをしてきた。そのなかには、たばこのルールもあったよ。だから、ルールをもっとアピールすればいいと思うんです。
日本の事情をアピールすべき

——どうしたら効率的にアピールできる?

パヌワット:ルールとかマナーとかも誰もが調べやすいところに書いておけばいい。
ジェミリン:日本に来る前に調べやすいようにね。空港や機内とか。
ユキ:日本が好きな人は調べるから。
ヒン:ただ、弾丸客もいるし、マナーを教えても、その概念がなかったりするし…。
ユキ:やっぱり、たばこにバッテンぐらいかな(笑)。
ヒン:やりすぎると温水便座みたいなことにもなる。使い方を説明する絵ってデザインがちょっと独特。好きですけど、内向きだなとも思うんです。
マサキ:アルタ前のビジョン。訪日観光客はあの写真を撮るんで効果ありますよ。
屋内完全禁煙化はもっと柔軟に路上禁煙OKな欧米×制限の日本 
 同じ「屋内完全禁煙」といっても、国ごとに基準が大きく異なっている。自宅以外は禁煙、自宅であってもバルコニーでは禁煙とも読める厳格なルールを掲げるところもあれば、病院や学校、公共施設は禁止、文化施設、商業施設、レストラン、そしてバーなどにおいても喫煙禁止としているところもある。それぞれが自国における喫煙事情を鑑みて、自分の国になじむスタイルで取り入れているようだ。

 欧州をみると、イギリスではレストランやパブを含め公共の屋内は全面禁煙。フランスでは屋内完全禁煙化を導入しつつも、カフェではテラス席を喫煙席と設定するなど分煙化で対応している。ドイツやイタリア、オランダの飲食店施設では、店の規模、または喫煙スペースの条件を満たすことで、屋内でも喫煙が可能になっている。日本では、厚労省が受動喫煙防止対策として、飲食店の屋内原則禁煙(喫煙室の設置は可)、例外として小規模のバーやスナック等のみを喫煙可能とする案の成立を目指しているものの、非現実との声も多く議論が難航している。

 というのも、日本と海外では喫煙環境に大きな違いがあり、海外ではほとんどの国で屋外(路上)での喫煙が可能になっている。店内は禁煙でも外に出れば喫煙できる状況がある。例えばイギリスでは、路上に複数の灰皿が設置されていて、喫煙者はストレスなく喫煙できる場所を見つけられる。しかし喫煙ルールが厳しい日本に置き換えると、路上禁煙エリアの喫煙室のない店を利用した時、場合によってはひと駅分歩くような状況にもなりうる。屋内完全禁煙化を導入する国のなかで、日本はもっとも規制が厳しい国になりうる。

 日本の喫煙ルールは、エリアや条件の複雑さや細やかさ、マナーも含めると、世界のなかでも最も制限のあるもの。吸う人、吸わない人がうまくやるために作られた日本独自のルールをもっと世界にアピールする必要がありそうだ。