【10月22日投開票 衆院選を読む】勝利の女神は誰に微笑む?

(写真左:蔦野裕、写真右:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
10月22日の投開票まで続く? かつてないほどのダイナミックな展開!!

 安倍晋三首相が9月28日召集の臨時国会の冒頭で衆院解散に打って出るという方針を固めたことから、与野党が一気に臨戦態勢に突入したのが9月の中旬。

 それからここまでの約1カ月弱は日本の政治史に残るほどのダイナミック、かつジェットコースター並みの激しい動きを見せた。

 その中心にいたのはもちろん引き金を引いた張本人である安倍首相と、その解散という決断に強烈なカウンターをお見舞いした小池百合子東京都知事。いや、希望の党代表。

 首相は18日「解散については帰国後に判断したいと考えている」という言葉を残し訪米。そして帰国後の25日に会見を開き解散を表明した…のだが、それに先駆けること約3時間。小池氏はパンダの名前がシャンシャン(香香)に決まったという会見後に改めて会見を開き、若狭勝衆院議員や細野豪志衆院議員らが中心となって準備を進めていた新党設立を「リセットして、私自身が立ち上げる」とし、自らが党首となって「希望の党」を立ち上げることを発表。一気に解散総選挙の中心に躍り出た。

 一方、野党第1党の民進党は9月1日行われた代表選で新代表に前原氏を選出。新たなスタートを切るかに思われたが、幹事長に内定していた山尾志桜里氏の不倫疑惑報道&離党と出鼻をくじかれ、選挙どころではない状態。新党への参加を視野に入れての離党者が相次ぐ中、「希望の党」と選挙区での競合を避けるため、解党して各議員が個別に合流し「非自民・反共産」の勢力をつくる構想が浮上。

 前原氏は28日の両院議員総会で合流案をまとめ上げるという思わぬ展開を見せた。

 しかしこの案も枝野幸男代表代行、長妻昭氏といったリベラル系の候補者たちにはのめる話ではなく、枝野氏は10月2日、リベラル系候補者の受け皿となる「立憲民主党」を立ち上げるなど、1日ニュースを見ないと何が何だか分からなくなってしまう事態となっている。

 本紙の締め切りから発行日までも果たして何が起こっているのやら。

 しかし10月10日の公示後はただひたすらに各党の政策に耳を傾ける時間になる…はず。

すべてはここから始まった? 9月28日に衆議院が解散(写真:日刊現代/アフロ)
【10月22日投開票 衆院選を読む】
「自公vs希望」の構図に突如、立憲民主党が登場


 攻撃は最大の防御になる。臨時国会の冒頭、審議はおろか所信表明演説も行わず、解散に踏み切った安倍晋三首相の決断はまさにそんな感じ。

 民進党は代表選&その後の山尾志桜里衆院議員の不倫疑惑による離党騒動でばたばた。小池百合子東京都知事の側近である若狭勝衆院議員や細野豪志衆院議員が準備を進めていた新党の動きもそれほどではなく、まさに「やれば勝てる」という状態。加えて国会での森友・加計問題の追及も避けられるというのはまさに防御。

 しかしここで待ったをかけたのが小池氏。

 小池氏は9月25日、若狭氏や細野氏らの動きを「リセット」して、自ら党首となっての新党「希望の党」の設立を発表。これは首相の解散表明の会見に先駆けての奇襲で、当日の夕方以降のニュースから翌日の新聞まで、解散と肩を並べる大きな話題として取り上げられた。

 安倍首相は25日の会見では解散を決断した理由として、核実験・弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮と少子高齢化対策への対応を挙げ「国難突破解散」と表現した。

 一方、小池氏は27日に行われた設立会見では「北朝鮮情勢がこういう中で政治空白があっていいはずがない」と今回の解散を批判。そして「しがらみのない政治、大胆な改革を築いていく新しい政治のために、日本をリセットするために党を立ち上げる」と宣言。「しがらみのない政治」というのは古い自民党政治、そして安倍首相の森友・加計問題を意識したものだった。

 ちなみに首相の解散理由についてはマスコミ各社の世論調査では半数以上の国民が「納得していない」という声をあげているのだが、公明党の山口那津男代表は30日に街頭演説で「野党の中には衆院を解散する意義が乏しいと言う人がいるが、それは自分たちの頭が乏しいためだ」と発言。解散を支持した。
「自公vs希望」の構図で選挙戦が進むのかと思いきや、ここで動いたのが民進党の新代表となった前原誠司氏。新党への参加を視野に入れた離党者が出る中、28日の両院議員総会で希望の党との合流案をまとめ上げた。


立憲民主党の結成を発表した枝野幸男氏(写真:日刊現代/アフロ)
 このセンセーショナルな展開で希望の党の勢いが一気に増したのだが、ここで一つ問題が発生。

 民進党は基本的な政策が異なる者たちの集まりとあって、党内でも議論がとっ散らかってしまい政権末期以降、“まとめられない”集団と化していた。希望の党としては、ここで丸ごと合流しては民進党の二の舞となることは明白。自民党側からも「選挙のための野合」という批判もあることから、希望の党は「安保法制存続」「憲法改正の支持」といった政策への同調を要求。

 こうなると枝野幸男代表代行、長妻昭氏といった、いわゆる“リベラル派”と呼ばれる者たちは希望の党に合流することはできない。多くの議員が無所属で出馬することになるかと思いきや、10月2日、枝野氏が「立憲民主党」の立ち上げを決意。4日現在、全国で50人を超える候補者を擁立する見通しといわれている。この間、希望の党のネガティブな情報も流れたことから立憲民主党がリベラル系の受け皿として存在感を発揮しだしている。