【希望の党 東京21区】長島昭久氏「過去4年間国会の議論に緊張感がありましたか?」

 今年4月に民進党を離党し、政界再編に向け独自の動きを見せていたのが本紙でコラム「長島昭久のリアリズム」を連載中の長島昭久前衆議院議員。今回、希望の党の設立に参加し新党では中心的な役割を担うと思われる。その長島氏に今回の一連の動きと選挙後の日本の形について聞いた。

北朝鮮問題については「対話のない圧力はただの挑発」と安倍政権を批判
ーー安倍首相が解散を表明して以降の一連の動きは予想できましたか?

「全く予想できていませんでした。ただ私が描いていた方向に来ていることは間違いない。今の民進党ではあまりにも左右の対立が激しくてまともな政策を取りまとめられなかった。特に外交・安全保障では、時には安倍政権と是々非々でやっていくという現実的な方向で議論を進めることができなかった。私は国の根幹にかかわる政策で左右の対立が激しくて党の考え方も取りまとめられないような政党では政権にたどり着くことは2度とないだろうと思いました。特に共産党との関係が非常に深まっていたので、自分としてはいられる党ではないなと思ったというのが離党の理由のひとつ。これは消極的な理由です。もうひとつの積極的な理由は、こうなってしまった民進党に代わる二大政党、もっというと保守二大政党の一角を担えるような“非自民・非共産”のスタンスの政党を作ろうというものでした。そういう意味で言うと、ここ最近の流れは、最初から野党再編と言ってきた私にとっては非常に感慨深いものがあります」

ーー北朝鮮との緊張状態の中での解散はどう思いますか?

「アメリカの軍事作戦の準備が整うのは11月以降だといわれていますが、偶発的な衝突はありうる。北朝鮮がさらなる挑発をしてくる可能性もある。本当に一触即発なんです。そういうことから考えると、本来この局面は政府としてはじっくりと腰を落ち着けて、そしてダイナミックな外交を展開していくべきなんです。日本が主導して平和的な解決に向けての努力を国際社会にアピールしていかないといけない。今の安倍さんは国連での演説を見ても圧力一辺倒。その後にくる事態についてどれだけ考え抜いておっしゃっているのかは分からないけど、この一方的な言い方やり方はいかがなものかと思うし、こんな大事な時期に閣僚を含めてみんなが全国で自分の選挙運動のために走り回る。これは異常ですよ。とても国際社会の理解は得られないでしょう」

ーー北朝鮮には圧力はもちろんだが、対話はしっかりとやっていかないといけない。

「そうです。圧力のための圧力じゃない。対話に引き出すための圧力ですから。対話の部分がなかったら、圧力なんてただの挑発です。実際、中国もロシアも韓国も、ヨーロッパのドイツも、圧力一辺倒じゃだめだと言っています。これは別に日本の左派が言っているんじゃなくて国際常識。そういう意味ではちょっと安倍さんの言動が突出しすぎている」

ーー北朝鮮問題に関する自民と希望の差というのは?

「ミサイルが飛んでくることに対する防御の部分ではほぼ同じです。集団的自衛権も含めて、ミサイル防衛をさらにアップグレードしなければならない。ここまでは同じなんですが、それをベースにしてどういう外交をするかという点では全然違う。集団的自衛権は抑止力のためにある。そのうえで紛争の未然防止のために積極的な外交努力が必要。日本の外相は、自分の選挙区ではなく、北京、モスクワ、ソウル、ワシントンを走り回らなければならない。集団的自衛権も決めたしアメリカとの協力関係があるから大丈夫、ではない。これも平和ボケです」

ーー選挙で希望の党が勝ってある程度、政権運営に影響を及ぼすことができるようになると日本はどう変わりますか?

「少なくとも、この国に政権を競い合う、お互いにライバルと認め合う政党が再びできるということです。そうなると国会の議論に緊張感が生まれます。例えば過去4年間振り返ってみて緊張感があったかというと、正直いってなかったです。それは一方的だから。ワンサイドになればなるほど、野党側は足を引っ張る質問とか批判のための批判、反対のための反対といったことで金切り声を上げる。金切り声を上げれば上げるほど支持率は下がる。こういった完全な万年野党のメンタリティーに陥っていた。もう万年野党じゃない、選挙をやれば政権に手が届くかもしれない。あるいは与党側が崩れてくるかもしれない。少なくとも、有権者がどちらに投票すべきか迷う。そういう緊張感の中で政治ができるということは、大きいと思いますよ」

ーーリベラルとか左派といわれる陣営からは「2つの大きな保守の塊ができるだけ、リベラルの受け皿がない」という声もあります。希望の党は「寛容な改革保守」という言い方で自民党との違いを訴えている。

「今のリベラルは本当のリベラルではなくて、単なる左派ですよ。つまり批判勢力。リベラルというのはもうちょっとかっちりした理念をもっています。今のリベラルはただの反安倍。安倍さんのやっていることは全部ダメなんです。あまりにも安倍さんに目を奪われすぎている。それはリベラルでも何でもない。単に安倍さんが嫌いなだけなんです。ものすごく幼稚な言動になっている」

ーーただ安倍1強の弊害も出てきているので、今回はそれを終わらせるというのは大きなテーマ。

「安倍さんの次の人と合意ができるのならドイツみたいに大連立をやってもいいんです。国難突破というなら大連立のほうがいい。選挙をやる理由が国難突破というのは理屈に合わない。政策や理念をすり合わせて、この問題とこの問題を解決するために大連立をして、解決したらまた連立を解消する。それでいいんです。その離れる時にいろいろな化学反応が起きることはあると思います。AとBがくっついても離れる時にAとBのままではなくて、いろいろな組み合わせになるかもしれない。でもそこは誰にも予想はできませんね」

(9月30日取材)