発表遅い“無計画停電”で首都圏大混乱



 東日本大震災による福島第1、2原子力発電所の停止に伴う電力不足に対応するため、東京電力は13日、地域ごとに計画的に電力供給を停止する「輪番停電」を14日朝から実施すると発表した。1都8県の各市町村を5つのグループに分け、各グループが順番に3時間程度実施するというもの。





 輪番停電は、電力需給のバランスが崩れ、大規模な停電が発生するのを防ぐのが目的。工場や一般家庭のほか、公共機関も含め対象地域内への電力供給を原則すべて停止し、信号機も止まる。もちろん公共の交通機関も例外ではない。





 しかし政府や東電の対応があまりにも遅く、東電が対象地域や時間を発表したのは13日午後8時。詳細な地域をホームページで公表したのは同9時40分ごろ。その後に病院や鉄道会社など顧客に通知した。詳細については東京電力のホームページやカスタマーセンターに問い合わせることとなったのだが、パソコンを使えない高齢者などは詳細な情報を得ることはできない。それ以前に、テレビのニュースを見ていなかった人はどうやってその事実を知る術があったのだろうか。またニュースを見てホームページで確認しようとしたもののアクセスが集中して開けなかったという声もあった。とにかくすべての国民に「輪番停電」の情報が行き渡るわけもなく、都内は14日の朝から混乱した。





 当初は14日の午前6時20分から停電する予定だったが、電力需要が想定よりも少なかったため見送り、午後5時から、茨城、静岡、山梨、千葉県の一部地域で電力供給を停止した。その中には被災地の茨城県鹿嶋市や大震災の津波などで11人が死亡した千葉県旭市も含まれていた。旭市側には事前連絡は一切なかったという。





 JR東日本や私鉄各社は、前日夜の東電の発表に基づき、始発から多くの路線で完全運休や本数の大幅削減を実施。通勤の足が奪われ、首都圏は大きな混乱に陥った。





 また人工呼吸器など、電気によって作動する医療機器などを使用している人たちにとっては、不意だったり、長期にわたったりする停電は、命に関わりかねない問題となる。厚生労働省では13日夜から徹夜で、自治体や医療機関などへの連絡に追われた。同省は自宅で人工呼吸器などを使用する患者にも連絡を試みたが、電話などがつながらずに連絡が取れない患者もいたという。





 今後も「計画停電」は実施される予定だが、停電を実施するためのグループ分けについては、含まれる地域を日々変更しているうえ、どのグループに、どの地域が入るかについての公表が、実施の直前になっている。東電は、グループ分けの精査に時間がかかることを理由にあげているが、住民にとっては自分の地域がいつ停電になるのか事前に把握できない事態。計画的だと思っているのは東電と政府だけで、国民にとっては全くの「無計画停電」となっている。