苦悩の日米欧中央銀行 インフレ打つ手なし

 国内ガソリン価格が145円台に突入するなど、原油や食料の高騰で世界的にインフレ圧力が高まっている。日銀は14、15日に開く金融政策決定会合で、影響を点検するが、物価下落が続くデフレ状態にあり、利上げによる金融引き締めは到底無理。来月にも、利上げに踏み切る可能性に言及した欧州中央銀行(ECB)は、財政危機の爆弾を抱え、米連邦準備制度理事会(FRB)も、高い失業率が足かせとなっている。日米欧の中央銀行は、インフレに打つ手が見当たらないのが実情だ。



まず欧州が悲鳴



「今の一番のぜいたくは金のカップで砂糖入りのコーヒーを飲むことだ」



 金融市場でこんなジョークが語られるほど、物価上昇は急ピッチだ。国連食糧農業機関(FAO)が3日に発表した2月の食料価格指数は2カ月連続で過去最高を更新した。上昇は8カ月連続で、この間の上昇率は40%に達する。



 食料高騰は中東・北アフリカの情勢不安の引き金となったが、影響は先進国にも波及し、まず欧州が悲鳴を上げた。



 ECBのトリシェ総裁は3日の理事会後の会見で、「4月にも利上げの可能性がある」と明言した。ユーロ圏の2月の消費者物価上昇率が前年同月比2.4%となり、3カ月連続でECBの政策目標「2%未満」を上回ったためだ。



 だが欧州ではギリシャ、アイルランドに続き、ポルトガルやスペインにも財政危機が波及する懸念が出ている。信用不安がくすぶるなか、利上げに踏み切れば、金融市場が混乱する恐れがありる。



われ関せずの米国



 景気回復のテンポが想定よりも速まっている米国でも、一部で「今年後半ごろに利上げに踏み切る」との観測も出ている。



 ネックは、9%前後で高止まりする失業率だ。FRBのバーナンキ議長は1日の議会証言で、「正常な水準に戻るには数年かかる可能性がある」と懸念を表明。現在実施している大規模な量的金融緩和策は今年6月に終了するが、その後について、「定期的に点検し必要に応じて調整する」と述べるにとどめた。



 米国の量的緩和に対しては、中国など新興国が「ドルの増刷で投機マネーを膨張させ、世界にインフレを輸出している」と猛烈に批判している。



遠いゼロ金利解除



「先進国の金融緩和も一因」と、日銀の白川方明総裁は、新興国の批判に理解を示す。だが、1月の消費者物価指数は前年同月比0.2%下落で、23カ月連続のマイナスだ。石油製品の値上がりで下げ幅は縮小してきたが、現在行っているゼロ金利政策の解除の条件である「1%上昇」にはほど遠い。



 そもそも物価上昇は先進国の景気過熱が原因ではなく、新興国を中心とした世界的な需要増大という構造的な要因が大きく、「先進国の“地域限定”利上げの効力は限定的」(エコノミスト)との見方が大勢だ。そのため、景気を冷やす利上げは、なかなか決断できないでいるのだ。