東日本大震災・東京の避難所の今





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【左】キャパは900名と言われる東京武道館。「環境、精神面を考えるとその半分が事実上の限界では」と関係者。3月29日現在で125世帯289名が武道場・体育館に暮らしている。 【中上】後発で22日に開所したビッグサイトの避難所は、ノウハウも蓄積され物資も豊富。 【中下】一部、ペットの受け入れが難しいとの報道もあったが、どの避難所でもペットは元気に暮らしている。写真はビッグサイト。 【右上】民間企業の援助も入居者を励ましている。29日には東京武道館でクリスピードーナツがドーナツ350個を無償配布。 【右下】ボランティアが有効に機能している味の素スタジアムの避難所では、リラクゼーションルームを開設している












「落ち着いて、息の長い援助を」呼び掛け





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子どもたちが笑顔でないと、避難所生活はますますつらいものになる。味の素スタジアムの避難所では広いスペースもあることから、子どもたちと遊ぶボランティアも行っている。「重なる心労に疲れた母親にはありがたい話」と喜ばれているという







 東日本大震災を受けて、3月17日から避難所を開設し、主に福島県からの避難民の受け入れを開始した東京都。東京武道館(綾瀬)、味の素スタジアム(調布)の2カ所に加え、22日には東京ビッグサイトの避難所も開所し、当初3月いっぱいとしていた受け入れ期間を4月中旬までと延期した。開所当初は物資や食事の不足、受け入れ態勢の不備が指摘されたが、今では改善され、入所者たちの間にも安心が広まっている。





 地理的にも近いため、いち早く多くの入所者を受け入れた東京武道館(日本武道館と勘違いする人が大変多いため注意)は、最大で入所者が400名弱にまで達したが、都営住宅への入居抽選が終わってから出所者も増え始め、29日現在で286名、落ち着きを取り戻した。ここには30名前後の都職員のほか、足立区の職員も数名常駐。開所以前に避難してきた2家族を受け入れ、いち早く支援対策本部を立ち上げた経緯もあり、「既存制度、枠組みを利用し入所者のニーズに答えていく」(区担当者)とし、入居者から上がる就職、住居、就学の相談などを中心に、区を上げてサポートする体制だ。また、東京武道館が住宅地の中にあることから、近隣の住人たちのサポートも盛ん。直接避難所に来て物資の寄付をする人、ボランティアを申し出る人が後を絶たない。がしかし、「今は運営手法も確立し、物資も豊富。善意はありがたいが、いただいた寄付品をさばく作業に人手が割かれるし、必要ではない物品でもお断りすることができない」という苦慮もある。どうしても寄付したいという人は、直接の寄付は極力避け、都庁を通じて行うか、もしくはあらかじめ避難所へ行って、不足しているものを確認してから寄付するというやり方が望ましいようだ。ボランティアについても、現在300名前後が区のボランティアセンターに登録しているが、人手が足りているため現場での稼働には至っていない。足立区は、原発事故問題の長期化の懸念から、「今後サポートも長期化する可能性がある。息の長いボランティアを想定して登録してほしい」とし、資格などの“自分がやれること”を注記したうえでの登録を呼びかけている。また、区が負担するボランティア保険料が発生しない「仮登録」の制度の導入も検討し、負担の少ないボランティア体制の構築も検討しているという。





 一方、同日の17日に開所した味の素スタジアムの避難所ではボランティアが有効に機能している。都からの依頼を受けて、社会福祉法人 調布市社会福祉協議会がレンタルサイクル、入浴施設提供などから着手。その後、入所者とコミュニケーションしてニーズを聞きだし、さまざまなボランティア・プログラムを実践している。主なものでは、キッズルームの開設および子どもたちと遊ぶプログラム(3月いっぱいは府中東高校の和太鼓部のメンバーが担当)、マッサージ、アロマなどのリラクゼーションルームや、小学生から高校生までを対象とした学習室(主に電通大学の教授、学生らが先生役を担当)の開設などがある。「入所者のみなさんの疲れ、心の傷を癒す」とともに、「平時の生活に戻る際にも困らないようにすること」も考慮していることも評価されるべき点だろう。ボランティアの登録は、混乱を避けるためサイト(http://311.chofu-cw.com/)でのみ受け付けている。





 入所者の中には、福島県内の数カ所の避難所を経て「ようやく落ち着いた」「地震の後、初めて子どもが笑った」という人もおり、避難所の運営は現在では好調のようだ。22日にオープンした東京ビッグサイトは定員3000人のところ120名ほどの入居数で、これからの受け入れにもまだまだ余力がある。しかし、どの避難所でも「原発が落ち着かない限り、先がまったく分からない」という不安の声がもっとも強い。都や施設としても、先が分からないためにどのような施策をすべきか分からないという面もある。一日も早い事態の収束が望まれる。s