大相撲八百長で力士ら23人に厳罰 夏場所は無料で開催へ



 大相撲の八百長問題にひとつの区切りがついた。日本相撲協会は1日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、特別調査委員会(座長・伊藤滋早大特命教授)が関与を認定した23人の力士、親方について事実上の角界追放を意味する厳罰処分を決めた。





 処分の内訳は(1)徳瀬川ら幕内6人、十両の清瀬海を含む力士19人の引退勧告(2)谷川親方(元小結海鵬)の退職勧告(3)八百長関与を当初から認めた十両の千代白鵬、幕下の恵那司の2年間出場停止、竹縄親方(元幕内春日錦)の2年間停職−となった。弟子が八百長に関与したとして北の湖(元横綱)九重(元横綱千代の富士)陸奥(元大関霧島)の3親方が理事を辞任し、この3人を含む17人の師匠を降格処分とした。相撲協会の責任として放駒理事長(元大関魁傑)が2カ月で30%のほか、理事ら幹部の報酬の一部自主返納も決めた。





 引退勧告は八百長の処分規定で、除名に次ぐ重い処分。相撲協会は対象者に5日までに引退届を出すように求め、応じなければ解雇など、より厳しい処分を科す方針を示した。





 引退届を受理された千代白鵬と仲介役の恵那司は謝罪したが、処分された力士らの大半は八百長関与をあらためて否定。谷川親方は「ずさんな調査に不満。14年間、一生懸命やってきた。(関与を認めた)春日錦(元幕内、現竹縄親方)と一緒の時期に同じ番付にいただけで処分されるのはおかしい。法的手段に訴える」と語るなど、数人は訴訟を起こす考えを示した。2日には関与を否認したまま処分を受けた力士の大多数が墨田区内の飲食店に集結し、約3時間の会談を持ったが、前日の姿勢からやや落ち着きを見せ「ちょっと感情的だった。考えてやっていきたい」(谷川親方)とややトーンダウンした。





 続く3日には全親方らによる臨時の評議員会が開かれた。評議員会では、まず調査委から調査内容の説明を受けた。主に弟子を処分された親方から質問が相次ぎ「供述だけで証拠と言えるのか」「協会の責任をもっと強く打ち出し、力士の処分を軽くしてもいいのでは」という意見が出たという。





 その後、放駒理事長ら協会執行部に対し、関与認定者への処罰の軽減や、引退届の提出期限の延期などを求めたが、執行部側は理事会決定の変更を拒否した。評議会は最終的に理事会決定を受け入れることでまとまった。





 こうなると、勧告を受け入れるか、訴訟を起こすか、といった問題は個人の問題となる。





 協会は引退、退職勧告を受けた20人のうち力士19人が5日までに引退届を提出し、受理されたと発表した。谷川親方は提出しなかった。





 谷川親方は5日、所属する東京都墨田区の八角部屋で記者会見し、「退職届を出すことは(八百長を)認めたことになる。自らの気持ちに背いてまで勧告に従うわけにはいきません」と処分に対する不服を表明したが、協会に対して法的手段を取るかどうかについては「まだ気持ちの整理がつかないので、これから考える」とした。





 八百長に関与した力士の処分が一段落ついたところで、次の問題は「夏場所の開催問題」に移った。





 協会は6日、臨時理事会を開き、夏場所について、通常の興行としての開催を断念し、「技量審査場所」として無料で一般公開して5月8日から15日間、両国国技館で行うことを決めた。





 7月の名古屋場所の番付を編成するための場所と位置づけ、取組などは1月の初場所の成績で2月に作成した順席に基づいて編成され、記録は正式なものとして扱う。無料開放は、土俵付近にある特別席の維持員席は除く。節電対策として土俵以外の照明をふだんより落とすという。





 放駒理事長は「通常開催できないことをおわび申し上げる。素晴らしい相撲を見せ、ファンに理解していただくしかない」と陳謝。場所は館内に東日本大震災の義援金募金箱を設置するほか、被災者が希望すれば招待したいとの意向も示した。