鈴木寛の政策のツボ 第十一回

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総合型地域スポーツクラブのさまざまな利点

 今、東京では、地元の公立中学に進学する子どもが全体の6割ほど、私立中学に進学する子どもが4割ほどであると言われています。私立中学に通う子どもたちは、朝早くに通学して夜遅くに帰宅するため、小学校まで一緒に過ごしてきた友人たちと顔を合わせる機会が少なくなる傾向にあります。そこで、その機会を増やすきっかけとして期待できるのが、各地域の地域住民等により多様なスタイルで運営される総合型地域スポーツクラブです。

 日本では、各地に総合型地域スポーツクラブが設立されていますが、総合型地域スポーツクラブに入会したことで近所付き合いが増えたと感じている人や、地域への愛着が増したと感じている人たちも増えています。総合型地域スポーツクラブは、地域に住む人々をつなぐ重要なコミュニケーションの場となっています。

 こうした総合型地域スポーツクラブ活動を拡充するため、文部科学省が平成23年から拠点クラブの選定(一年目は全国約30カ所)と支援を始めています。引退したトップアスリートが常駐し、地域スポーツに取り組む人たちの受け皿となり、競技力向上の観点からジュニアからの指導を専門的かつ継続的に行っていきます。

 現在、世界のトップで活躍するアスリートのほとんどは、10歳前後に競技を始めています。中学、高校で部活動に加入するのではなく、幼いころから総合型地域スポーツクラブで競技に取り組んでいれば、早くから専門の指導者に指導を受けられるだけでなく、卒業や進学などに影響されない継続した指導を受けることもできます。

 これまで学校部活動に頼りがちだったジュニア期のアスリートの育成も、今後は総合型地域スポーツクラブでより専門的に行っていくことができるのです。

(参議院議員)