原子力規制委調査団が敦賀原発 活断層と判断 

 日本原子力発電敦賀原発(福井県)の敷地内の断層について現地調査していた原子力規制委員会の専門家調査団は10日、都内で評価会合を開き、2号機直下を通る断層「D−1破砕帯」が活断層であるとの認識で一致した。田中俊一委員長は「今のままでは再稼働の安全審査はとてもできない」と発言。国の指針では、原子炉建屋など安全上重要な施設を活断層の上に設置することを認めておらず、敦賀原発の再稼働は困難となり、廃炉を迫られる公算が大きくなった。
 規制委は国内6原発を対象に敷地内断層の調査を進めているが、調査団が原子炉直下の破砕帯について活断層の可能性が高いと判断したのは初めて。
 敦賀原発敷地内には、活断層「浦底−柳ケ瀬山断層帯(浦底断層)」がある。評価会合では、浦底断層から2号機直下に延びる「D−1破砕帯」について、現地調査で確認したD−1近くの地層の変形などから活断層だと指摘した。
 座長役の島崎邦彦規制委委員長代理は「D−1破砕帯は活断層で、浦底断層と同時にずれたと考えられる」と説明。また、島崎氏は評価会合後の会見で「敷地内にあると分かっていれば、普通は(原発を)つくらない」と浦底断層自体の危険性にも言及した。
 現地調査は今後、東北電力東通原発(青森県)など5原発で予定。各原発で活断層が確認されれば、高い独立性を強調している規制委が運転停止を求めるのは必至。原子炉の直下で活断層が確認されれば、廃炉という事態も想定される。
 ただ、規制委には廃炉を命ずる法的権限はなく、この場合、「行政指導」の形で規制委が事業者である日本原電に要請することになりそうだが、原電が廃炉を受け入れるかは不透明だ。
 その原電は「到底受け入れがたい。追加調査も早急に進め、客観的なデータに基づき当社の主張を実証していく」とコメントした。