岩松了と大森南朋がタッグ 舞台『不道徳教室』

名作文学からインスパイアされた禁断の世界を話題の2人が舞台化! M&Oplays プロデュース 『不道徳教室』

岩松了が大森南朋を主演に迎えて描く新作舞台のテーマはなんと“ストーカー”! 岩松が文豪・川端康成の『みずうみ』にインスピレーションを得、高校教師と女子高生の禁断の恋を描く舞台『不道徳教室』。岩松×大森が語る同作の見どころとは?

ストーカーという題材が持つ“禁断の磁力”

岩松了(以下:I)「川端の『みずうみ』は、先生が生徒をストーカーするという物語が骨子なんですけど、非常に個的な話なんです。今回、その“閉じた感じ”を芝居でやってみたいなと思ったんですよ」
大森南朋(以下:O)「僕は岩松さんに “大森さんの役、ストーカーだから”と言われて“そうですか、頑張ります”みたいな感じでしたけど(笑)、岩松さんの話を聞く限り、一見、淡々と進んでいく芝居なんだろうな、というイメージは持ちました。登場人物が少なくて、シアタートラムのような小さめの劇場でやるのも、その“閉じた感じ”に合っていて、すごくいいな、と思います」
I「一見、何も波立ってないように見えて…という話がやってみたくて。人に見えない部分を描いてみたいというか。そういう点からもストーカーが興味深く感じたんですよね」
O「ストーカーというと、電柱の陰からのぞいてるような分かりやすいイメージもありますが(笑)、今回はそういうことでは無さそうなので、それが演じるうえで面白くなりそうですね。心の水面下、見えないところの人間性とか、興味をそそられます。僕が演じる主人公の山城は高校教師なんですよね。で、山城にストーカーされる女子高生が二階堂ふみさん」
I「そうですね。ただ僕は、川端の『みずうみ』をやるつもりはないんです。あの物語に出てくる、ストーカーする教師とストーカーされる生徒、その周りの人々の関係から、人の心理を僕なりに探っていくのが楽しそうだな、と思っていて。『みずうみ』からインスパイアされた感じはあるけど、そのものではないんです。例えば『みずうみ』で主人公がソープランドみたいなところに行くシーンがあるんだけど、それを足つぼマッサージに変えようかな、とか…ストーカーって歩くじゃないですか(笑)」
O「なるほど…足が疲れそうですもんね(笑)」

演出家・岩松が語る、俳優・大森南朋の魅力とは

I「大森さんって、いろんな役をやらせてみたくなるんですよ。僕、本作の後にヤクザの物語をやるんですけど、それも大森さんやってくれないかな、とか思っているし(笑)。要するに、この役を大森さんがやったらどうなるんだろう、って知りたくなるんです。で、たまたま今回は変態的な先生を大森南朋がやったらどうなるか、と(笑)。いかにもモテ無さそうな人がストーカー役より面白いでしょ。大森さんて、なんとなく女性にモテそうな雰囲気があるじゃないですか」
O「なんとなく雰囲気だけです(笑)」
I「昔、あるストーカー事件の裁判を傍聴したことがあるんですけど、被告の男性は恋人がいたのに別の女性にストーカーしてたんです。恋人もできないような男じゃないのに、一体なぜ…とすごく衝撃的で。だから山城役には、モテそうなのに何でストーカーを?と不思議に思わせる人に演じてもらいたかったんです。僕の中で大森さんは“こういう俳優”というような確たるイメージが無くて、それがすごくいい。良い人でも悪い人でも、乱暴な人も優しい人もできる幅を感じる役者さんだな、と」
O「そう言ってもらえるのはありがたいです。意識してそうやってきたとか、そんな筋の通った話ではないんですけど(笑)。僕の場合、そういうふうになるしかなかったというのもあるんです。鳴物入りでこの世界に入ったわけでもなければ、ずっと演劇人としてやってきたというわけでもなく、にゅるりと出てきた人間なので(笑)。印象の希薄さは、そういうことも背景にあるんじゃないかな、と。でもそれで、今いる場所はすごく居心地がいいし、そんな僕で遊んでくれる岩松さんとの出会いにも、とても感謝しています。今の立ち位置でもう10年くらい行きたいですね…5年くらいしたらお父さん役もできるようになって(笑)」
I「お父さん役の大森さんもいいね!…考えよう(笑)」
O「お願いします(笑)。僕は前々から岩松さんの作品を見ていて、こうして岩松さんの世界に少しずつ入らせてもらうのがすごく楽しいです。岩松さんの舞台はセリフも面白くて、演じていて見えてくるものが多いんです。特に『隣の男』のときとか、印象強いです」
I「あのときの大森さん、面白かったなあ。今回はストーカー役で、どんな大森さんが見られるのか、楽しみにしてもらいたいですね」
 岩松×大森ならではの禁断の世界が、いま幕を開ける。 (本紙・秋吉布由子)

M&Oplays プロデュース『不道徳教室』
作・演出:岩松了 出演:大森南朋、二階堂ふみ、趣里、大西礼芳、黒川芽以、岩松了
【公演】5月29日(水)〜6月4日(火)会場:KAAT神奈川芸術劇場/6月8日(土)〜23日(日)会場:シアタートラム【チケット】全席指定 6800円 ローソンチケット他にて前売り券発売中【URL】http://l-tike.com/fudoutoku/