小池百合子のMOTTAINAI

東京オリンピックを勝ち取るための戦略とは

 2020年の東京オリンピック招致活動はますます佳境に入ってきました。

 私の国会事務所では、オリンピック招致のバッジを器に山盛りにしてテーブルに置いています。海外からの客人には必ずこのバッジを襟につけて、「トーキョーをよろしく」と訴えます。

 5月に訪れたパリでは私が副会長を務める日仏議員連盟のカウンターパートである仏日議連会長の襟につけたところ、お返しに日本酒普及のバッジを頂戴しました。

 アラブ首長国連邦でも、会う人ごとにオリンピックバッジ。こちらでは同じ2020年にドバイ博覧会招致活動に熱心で、おのずと東京五輪を応援するから、引き換えに「万博をよろしく」といった話になります。私が会長を務めるUAE議連としては、「ドバイ万博を応援しますよ」と明言しますが、けっこうこれが複雑なのです。

 というのも、2020年の万博に名乗りをあげているのは、UAEのドバイの他、ブラジル・サンパウロ市、ロシア・エカテリンブルグ市、トルコ・イズミール市、タイ・アユタヤ市の5都市。ただし、こちらの決定は今年の11月ですから、それまでは各国に対し、「いい返事」をすることになるのでしょうか。ちなみに、東京オリンピックの都市決定は9月です。

 ことほど左様に、国際交渉は貸し借り、駆け引き、取り引きがものを言います。なによりも総合的な国力の勝負です。

 このほど横浜で開かれたTICADも東京オリンピック招致には絶好の場となりました。アフリカ大陸の54カ国に対し、「こんな支援をするから、東京オリンピックをよろしくね」とたたみかけます。もっとも、これではあまりにストレートすぎるので、表現や順序には工夫が必要ですが。

 国際機関の長を決める際も同じです。世界銀行のグループにGEFという組織があります。地球環境の改善や保全を主な活動内容としていますが、現在の事務局長は石井菜穂子さんという財務省出身の女性です。同じく世銀グループのMIGAの長官も日本女性です。現在の小林いずみさんから本田桂子さんへとバトンタッチが予定されています。つまり、二代連続日本人です。

 こういった国際機関の長の座を確保するために、ありとあらゆる場をとらえて、「○○さんをよろしく」と訴えて回ります。国際機関の長には、その分野の専門知識、マネジメント能力の他、英語はもちろんフランス語などの語学力が不可欠です。日本人にとってはハードルが高く、それも含めた人材育成も必要です。

 世界で勝つための戦略、人材とともに、互いに無理の言える仲間国づくりが欠かせません。五輪でも国際機関でも。
 (衆議院議員/自民党広報本部長)