二十歳の視点 vol13 「学生映画から何が見える?」

 今回は映画に取り組む学生にスポットを当てて、学生でいながらどのような視点をもって活動しているのかを探り出したいと思った。先日、第25回東京学生映画祭が行われたのだが、そこで賞を受賞した2人の監督と接触する機会を得た。東京学生映画祭とは、中村義洋監督(『奇跡のリンゴ』、『ゴールデンスランバー』など)や園子温監督(『ヒミズ』、『愛のむきだし』など)もかつて出品したこともある学生映画コンペティションだ。
 今回取材してみて、かなりカッコいい言い方をすれば、学生映画はその携わった人たちの生きざまが垣間見えると思った。各々どんなものに触れて、感動してきたかがその作品によく表れていると感じたからだ。そして、つたない部分もさらけ出すことで、映画のエッセンスとして成立してしまうから、撮るほうとしてはやみつきになるのかもしれない。

(学生インターン・川合健悟)
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 そして、グランプリを獲得した『ぽんぽん』の中村祐太郎監督と脚本を手がけた木村暉くん(ともに多摩美4年)にも話を聞いた。中村くんいわく、バットエンドで潔い終わり方が見どころの1つだという。この映画ではテーマ曲もインディーズの町あかりというアーティストにお願いするという熱の入りよう。キーワードは「貪欲」。


――映画をつくろうと思ったきっかけは?
 中村「映画をつくろうと思ったことは1度もないんですよね。映像は撮ってたんですけど」
――高校の時などは何を?
 中「高校のときも、カメラいじくって、映像を作ってたんですよね。映像見るのも好きでしたね。PVが好きだったんで」
――特にお気に入りのPVがあれば、ぜひ。
 中「最近のベスト1は乃木坂46の『ぐるぐるカーテン』。あれは2012年のナンバー1ですね」
――まさか登場人物の玲奈と優子っていうのはAKBから…?
 木村「僕が脚本書いたときに、名前あんまり考えてなかったんですけど、中村くんがすごくAKB好きだったんで」
 中「その時、すごくSKE48の松井玲奈が好きで」
――確認なんですけど、この映画はダメな人の哀愁を描いてるっていうことで間違いないですか?
 木「僕自身が虚無を感じてるんで」
――虚無。
 木「この大学生活のモラトリアムな時間とかが有益なのかっていう。『ぽんぽん』は男の欲望というか、醜いところを」
 中「そういう話も大好きなんで。落ち込むときは落ち込むんで。ポジティブなときは女の子を見たい。女の子しか見たくない」
――撮影現場について。
 木「彼が空気つくるのがうまいんですよ」
――緊張感のある空気ってことですか?
 木「撮るときの空気感をつくるのが、本当に役者さんとかもピリピリでキワキワな状態で撮ってたりしてて。ずっとピリピリしてましたよね。彼はそういうのに長けてるんです」
 中「あと、僕、怒られるといいんですよね」
――Mなんですか?
 中「Mでもあるんです。ドMだと思うんです、ホントに。『ぽんぽん』のときは、役者にすごく怒られて」
――役者に怒られる監督。
 中「僕たちダメだったから。制作も助監も機能してなくて、役者といっしょにスケジュール立ててたみたいなんで」
――この役者の方って外の人なんですか?
 中「外部です。今、事務所にいます」
――てっきりお仲間だと思ってました。
 中「そうなんですよ! 東学祭のスタッフの方にも"同級生の方だと思いました"って」
――お金はどうしたんですか?
 木「全部タダです。お金ないんで払ってません」
 中「20万とかで作ってますからね」


 人の醜い部分を作品に反映させるにあたって、この2人が影響を受けたのはポツドールという劇団。それから、劇中にデリヘルが登場するのだが、これは西村賢太の『苦役列車』などからインスパイアされたらしい。ポツドールや西村の世界観が唯一無二なだけに、普通であれば単なる模倣になってしまいがちだが...、それは実際に見てからのお楽しみ。