創設9年目で楽天が初の日本一

 プロ野球の「コナミ日本シリーズ2013」は3日、仙台市のクリネックススタジアム宮城で第7戦を行い、パ・リーグ優勝の楽天がセ・リーグ覇者の巨人を3−0で下し、対戦成績を4勝3敗として球団創設9年目で初の日本一に輝いた。
 最高殊勲選手(MVP)には今シリーズで2勝を挙げた美馬学投手が選ばれた。星野仙一監督は中日、阪神時代を含め監督として4度目の日本シリーズで初の栄冠を手にした。

 楽天は1回にマギーの遊ゴロが失策を誘い、1点を先制。2回に岡島の適時二塁打で1点を加えると四回には牧田のソロで3−0とした。先発の美馬は6回無失点と好投。則本が7回に2番手で登板し、9回は田中が締めた。

 田中は日本一に王手をかけた前日の第6戦で160球を投げたうえ今季初黒星を喫していたが、星野監督は3−0で迎えた9回にマウンドに送り出した。二死一、三塁とされたが、最後の打者をスプリットで空振り三振に仕留めると、ナインは背番号18のもとに駆け寄った。

 前日の敗戦はチームに結束力を生んだ。前日の試合後、指揮官はミーティングで「ここまでよく頑張った。最後は俺を泣かせてくれ」と選手に呼びかけたという。その思いに応えたのが、第7戦の先発を託された美馬だった。
 美馬は「田中がああいうピッチングをしていたし、悔しい思いをぶつけたいと思った」と語った。右打者の内角を鋭くえぐるシュートを軸に、巨人打線を6回無失点に封じた。大一番での好投でMVPを獲得した169センチの右腕は「出来過ぎ。最高です」と胸を張った。

 7回からは第5戦でリリーフ登板した則本も投入。シリーズでフル回転したルーキーは2回無失点と好投した。

 指揮官は「考えられない継投だが、最後を締めくくるのは彼がふさわしい」と田中をマウンドに上げた理由を説明した。「昨日は情けないピッチングだったので、出番があればいつでもいくつもりだった」と田中。今季の先発陣を支えた“3本柱”による完封リレーで締めくくった。

15日からFA交渉開始

 プロ野球のフリーエージェント(FA)有資格者が権利を行使するための手続き期間が5日、スタートした。FA権を行使する場合は在籍球団への通知が必要で今年は13日が期限。翌14日にコミッショナーからFA宣言選手として公示され、15日から契約交渉が解禁となる。

 今季、有資格者として公示されたのは80選手。先発投手に“目玉”が多く、例年になく活況の様相を呈している。
 セ・リーグで注目されるのが、広島の大竹寛投手(30)。今季は25試合に登板して10勝10敗、防御率3.37で、2年連続で2桁勝利をマークした。安定感のある投球は魅力で、先発投手の補強が課題である巨人やソフトバンク、楽天などが動向に注目している。

 今季4勝ながら、2007年に14勝をマークした中日の中田賢一投手(31)には出身地・福岡の地元球団、ソフトバンクが関心を示している。

 パ・リーグでは、西武の井秀章投手(27)。今季は5勝7敗7セーブ、防御率3.90と先発投手としては不本意な成績に終わったが、レギュラーシーズン終盤では抑えとして10試合連続登板を果たすなど、西武の4年連続クライマックスシリーズ進出に貢献した。涌井自身は先発へのこだわりがあるとみられる。先発投手の補強が課題のDeNA、元西武監督の伊東勤氏が監督を務めるロッテなどが興味を示している。