プロが直接指導未来のプロ野球選手がここから生まれる!?

　この企画は、21世紀における人材創りを目的に1987年に設立された団体である「二十一世紀倶楽部」の会員である工藤氏の「野球を通じ次世代を担う子供たちの人材育成の一助になれば」という思いから始まったもの。1994年にスタートし、今回で20回目を迎えた。
　毎回、現役のプロ野球選手が多数参加し、直接子供たちに指導をする。あこがれの存在と接することができるとあって、子供たちには至福の瞬間だ。
　今年、先生を務めるのは、工藤氏の他には巨人の山口鉄也（投手）、笠原将生（投手）、河野元貴（捕手）、寺内崇幸（内野手）、鈴木尚広（外野手）、DeNAの山崎憲晴（内野手）、ヤクルトの山田哲人（内野手）、上田剛史（外野手）の8選手。
　先生たちの紹介の後、まずは野球の基本であるキャッチボールの指導からスタート。山崎と寺内が実際にプロのキャッチボールを見せる。
「ヒジが下がらないように。下がったままのフォームで投げていると肩やヒジを痛めちゃうから」と工藤氏が分かりやすい言葉で解説する。
　そしてそれぞれのポジションに分かれての指導へ。
　ピッチング指導は二手に分かれる。一つはもうすっかりおなじみとなったビニールバットを使ってのフォームの練習。
「（腕が）高い状態で上から振り下ろす」
　工藤氏の実演を見ながら見よう見まねでトライする子供たち。
　このトレーニングも「速い球を投げるためにやっているんじゃない。いいフォームで投げられるための練習。いいフォームじゃないと肩を痛めてしまうから」とやはり力点は“ケガをしないこと”に置かれる。
　内野手は緩いゴロを転がし、捕球時のグラブの角度と捕球からフィールディングへの動きを指導。そしてノックの後は、ゲッツーの時のベースの入り方とボールの投げ方と、子供にはちょっと難しそうなプレーまで。
　捕手組はキャッチングとスローイングの基本である「しっかり捕って素早く投げる」という動作を反復。外野手組はノックでフライの追い方と捕ってからすぐ送球体勢に入るための動き方を指導する。
　すべてのポジションでいえることは基本が大事ということ。
　練習の最後はこれまた恒例のプロvs子供たち代表との対決。笠原と山口が投げる球に必死でバットを振る子供たち。チームメイトの応援にも熱がこもった。
　この企画はただ野球がうまくなればいいというものではない。だから強く注意するときもある。キャッチボールのときは間隔が狭いこともあり、ちょっとした気の緩みが危険を招く。
「相手が見ていないときに投げちゃダメ。見ているのを確認してから投げること。そうしないとケガにつながるから」
　ついつい注意を怠ってしまったプレーには「危ないぞ」と注意をする。
　やや引っ込み思案気味の子供には「返事は!?」と挨拶の大事さを伝えることも忘れない。
　そしてイベントの最後には工藤氏が「今日学んだことは明日からも続けてください」と挨拶。この日子供たちは野球以外にも、基本、継続、挨拶、相手を思いやる気持ちといったさまざまなことを学んだに違いない。