山田孝之が『フル・モンティ』で見せる、ダメだけど最高の父親 

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  山田孝之が初舞台にして初ミュージカル主演を務めるミュージカル『フル・モンティ』が東京国際フォーラム ホールCで上演中だ。職を失った男たちが一攫千金を夢見て、フル・モンティ=すっぽんぽんの男性ストリップをするというハートフルなコメディー。山田はもちろん、ムロツヨシや、ブラザートムもすっぽんぽんで、ウイットに富んだセリフや楽曲で、観客を喜ばせている。

 舞台はアメリカ。山田が演じるのは、バツイチの男。務めていた鉄鋼所が閉鎖されて職を失い、養育費の支払いも滞り、一人息子の共同親権も奪われそうになっている。そんななか、一発逆転を狙ってストリップをするアイデアを思いつく。

 舞台に挑戦するなら「バカなことをしたい」と、本作に挑戦した山田。先日行われた公開稽古では「ミュージカルってセリフ、動き、歌詞と覚えることが多い。(台本も)200ページぐらいあって......それで嫌になりましたね」と話していたが、舞台上ではダメ男を熱演。仕事やお金はなくとも、息子には思い切り愛を注ぐ父親の姿に心揺さぶられる。

 山田演じる男以外にも、男たちは夫婦関係や人生についてさまざまな悩みを抱え、それを振り切るようにストリップに臨んでいく。男たちだけで盛り上がるシーンなどグループ男子萌え要素もたっぷりだ。話題のストリップシーンはいうまでもないが、散りばめられたユーモアなど笑いを誘うポイントはふんだんだが、ただ笑って終わるだけではない味わいがいのある作品になっている。

 もともとはイギリス北部の街・シェフィールドを舞台にした映画。ロバート・カーライルが主演したこの作品は本国イギリスで高く評価され、後に米ブロードウェイで舞台をアメリカに移してミュージカル化され、9部門でトニー賞を受賞している。本作はそのミュージカルの日本版。

 2月16日まで同所で。

撮影:(C) taro