「パクリの先にアメージングなものがあると信じている」マキタスポーツ

 僕もパクってます。僕に限らず、みんなパクッてるんです。先人たちが残したすごくいい方法をまねて、それらをつなぎ合わせたり、足したり引いたりしながら、自分を反映していくんです」
 お笑い芸人にしてブルーリボン賞を獲得した俳優。ミュージシャンでありながら、気鋭のコラムニスト&トーカー。あこがれのビートたけしには「器用すぎるところがある。小さくまとまるな」と言われたという、マキタスポーツ。先日、著作『すべてのJ-POPはパクリである〜現代ポップス論考〜』を上梓した。
「SNSやインターネット上で何かを発表したりとか、今は自己表現の時代。表現することに欲目がある時代です。そういった時に、批判したりとかよりも、こういうやり方すれば、僕のような普通の人間でもおもしろおかしく自分を表現できる」
 分析好きのマキタスポーツならではの、楽曲の分析方法、ネタの作り方、表現方法などを、「つまびらか」にした内容。彼の代名詞である音楽ねた「作詞作曲ものまね」(アーティストの作風をまねる)や、ヒット曲の数々で多用されている言葉や楽曲の展開などを抽出して作った楽曲『十年目のプロポーズ』などを活字化したともいえる。
 よくあるフレーズ、よく聞くメロディー。ひっくり返せば、人が好意を抱きやすいもの、普遍的なものともいえる。
「“ツバサ”“トビラ”“キセキ”っていうフレーズ、多すぎると思いませんか? 年が明けるとそろそろ桜が舞い散るだろうって、みんな思ってるんじゃないでしょうか。これは、種も仕掛けもある音楽のマジックです。この本は、そのマジックの種明かしみたいなもの。最近のマジシャンは、種も仕掛けもありませんっていってやるんではなくて、種はあるとしたうえで、ビックリさせてくれますよね。種明かしをしたうえでも驚けるからです。僕は、J-POPのアーティストもそうあるべきだと思います。種も仕掛けもあるけど、さらにその先にあるアメージングな驚き。僕は、できると思っています」
 扶桑社より発売中。1260円。