楽しいマラソンはみんなで守る

ランナーや補助員ら1500名が救急救命講習
 東京マラソンを前提とした大規模な救急救命講習会が1月19日、東京ビッグサイトで開かれた。参加者は1500人。約3時間半にわたって、心肺蘇生やAEDの使い方、止血法など、ランナーたちのまさかの時に備えて学んだ。楽しい東京マラソンは自分たちの手でつくる、ランナーの命は自分たちが守る。真剣なまなざしで講習に臨んでいた。
 レクチャーに熱心に耳を傾け、メモをとる。講習会に参加した人たちのまなざしは真剣そのものだった。「普通救命講習会〜身につけよう応急手当〜」と題された日本最大級の普通救命講習会。東京マラソンの開催を控え、東京マラソンに参加するランナーやボランティアとしてランナーを支える人たちが参加した。

 今年で8回目の開催となる東京マラソン。レース中に心肺停止状態になった人は累計で7人いる。原因は、寒い季節に行われること、大会出場に際して標準記録が設けられていないため幅広い層のランナーが参加することなどが考えられるが、実際に起きたケースをみると、マラソンを何度も走っているランナーも含まれていて、体づくりができていないことや体力不足などが理由とは一概にいえない。言い換えれば、どんなランナーにも起こりうる状況。だからこそ大切なのが迅速に適切な対処ができること。この日の講習もそれができるようになることが目的だ。

 倒れている人を見つけてから、医療スタッフの手に委ねるまでがポイントになる。参加者は10名程度のグループに分かれ、指導員の指示のもと、実践さながらのトレーニング。倒れている人を見つけたときの対処の仕方は、たいていの人が一度や二度は目にしたり知識として頭に入っていることではあるけれど、どう声をかけるか、声の大きさ、意識確認のために体をトントンと叩くときの強さなど、細かいことまでは知られていない。心肺蘇生やAEDの使い方に至ってはなおさら。「もう少し大きな声で」「リズムを大切に!」「まずは落ち着いて」と、指導員の声があちこちから響いていた。

 命を救うためには、効率的に動くことも必要だ。周りの人に協力を求める際にも、「あなたは救急車を呼んで下さい」「あなたはAEDを持ってきて下さい」と、具体的に助けを求めることが重要であることが強調され、チームを組んで心肺蘇生やAEDを利用する方法についても指導が行われた。

 その他にも、三角布を使った止血法のトレーニングも行われた。

 講習は、実際にコース上に人が倒れているのを発見したという設定で、病人を救急車で搬送するまでの一連のシミュレーションをし、終了した。

 埼玉県から参加した男性ランナー(30)は、「しばらく前に、心肺蘇生やAEDの研修を受けたんですが、忘れていたこともあって。今日参加してとても良かった。レース中に限らず、日常のなかでも必要な場面に出会ったときにも、活用できるのではと思います」。

 ボランティアで参加するという、神奈川県在住の女子大生(19)も、「以前から救急救命の講習を受けてみたいと思っていたので、とてもいい機会だと思って参加しました。マラソン当日、実際に(救命活動をするようなことが)起きたとしたら、今日みたいにできるかは分からないですけど、知らないよりは知ったことで多少はできるんじゃないかな」と話していた。
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医療救護関係者も顔合わせ


 同日、医療救護関係者向けの「東京マラソン 2014 医療救護研修会」も同所で行われ、300人が参加した。

 2013年4月のボストンマラソンで爆弾テロ事件が発生した。研修会では、これまでの救護に加えて、事件や事故発生時の対応の訓練も組み込まれていた。多数の負傷者が発生した場合の救護所での対応、消防庁との連携、外傷患者の対処法、さらにはトリアージタグの書き方などのレクチャーも。爆弾テロが起きた想定でのシミュレーショントレーニングでは、多数の負傷者に対してトリアージが行われ、指示に従わない負傷者や参加者を心配した家族や現場をみようと押し寄せてくる人たちが集まってくるという、さらに現場に緊迫感の漂う内容だった。