1st Album『フューシャ』は「私たちの小さな歴史」Salley

自分たちがやりたいことを普通にやればいいって思えた
 童話の世界観と踊れるロックが組み合わせられた『赤い靴』でデビューしたユニット、Salleyが、初のアルバム『フューシャ』をリリース。アルバムは彼らの新たなスタート地点ともいえるものだ。
 ユニット名は、アイルランド伝統音楽『Down by the Salley Gardens』に由来。奏でる音楽もまた、アイルランドのサウンドや風合いが日本のポップスと心地よいバランスで混じりあう。「うららの歌声を初めて聞いたときに、アイルランドというか、ケルト音楽がイメージできたんですよ」と、ギター、作曲、アレンジなどを担当する上口浩平はいう。

 幼いころから呼吸をするように音楽に親しんできたボーカル・うららと、「音楽以外に興味がないらしい」という上口。まったく異なる生活を送っていた2人は、大好きな音楽とともに生きるために一念発起して上京、そして出会った。

上口「上京してからサポートギターをやったりしていたんですが、自分で何かやりたいという気持ちもあって。ただ、いろんなアーティストがいるなかで、何か特徴となるものがほしい。それで、民族的なものを取り入れるのがいいんじゃないかって考えていました。その時に出会ったのが、うららで。うららじゃなかったら……アフリカンな音楽とかになってた可能性もあります(笑)」

うらら「それまでは、アイルランドとかあまり知らなくって(笑)。音楽の授業とかで、アイルランド民謡があったりするじゃないですか。そういうのも、アイルランドのものとは知らずに歌ってました。いい曲だなって。ただ、自分のなかに、民謡というか、そういうものは好きなんだっていうのはありますね」

「いい曲を作りたい」。そんな気持ちで、一曲、そしてまた一曲と積み上げてきた。そして、2013年に『赤い靴』でデビュー。この曲がたくさんの人に支持され、その後も彼らの楽曲を聴く機会はぐんぐんと増えた。傍から見れば、順風満帆。その一方で葛藤もあった。「それで私、爆発したんですよ」と、うらら。

うらら「みんな、Salleyのためにって、いろんな意見や提案してくれるんですけど、そのすべてに答えようとしちゃって。あれもしなくちゃ、これもしなくちゃって、勝手に自分で混乱してたんです」

上口「自分たちを含めて誰も正解を知らないし、もともと、俺たちはこういうユニットだぜ!ってデビューしたわけでもなかったから、どこか必要以上に周りの意見を尊重しすぎちゃったのかなって思いますね。でもそれは、アーティストとしては致命的でもあって……」

うらら「それで、改めて、自分たちがいいと思うことをやろうと確認し合いました。そしたら一気に気持ちが楽になりました」

上口「そうしたことは、音楽を制作するうえでは、ベストな環境が整っていたからこそ、分かったんだと思います」

「自分たちがやりたいことを普通にやればいい」。メジャーデビューから約1年というところで「軌道修正」できた。アルバム『フューシャ』のリリースは、ユニットとして絶好のタイミングだ。アルバムタイトルは、2人がSalleyとなる前に考えていたユニット名候補で、大切にしてきた言葉だ。

 収録曲には、アルバムタイトルと同じ『fuchsia』という曲も。「この曲は、テーマがあって楽曲を作るという、初めての試みでした」と、うらら。

上口「それで『Down by the Salley Gardens』の雰囲気、アイルランド民謡として歌い継がれてきたような、さも存在しているかのような楽曲をと作りました。静かな感じで、歌とギターだけで成立するような世界観、ケルトの楽器も入れたりして、ミニマムだけれどSalleyらしい曲になっていると思います」
 この曲は、今後のSalleyへの期待を膨らませる。

うらら「……すごく自然に書いて、自然にできあがって、自然に歌ってっていう。どの曲よりも、気張らずにできています。この曲であるとか、『My little girl』では、歌詞を書くという作業の成長を自分で感じられました。一皮むけた感じがありますね」

 そんな楽曲やシングル曲を含め、アルバムには全13曲が収められている。

うらら「デビュー前、デビュー後、いろんな時期の曲が入っていて、どれも本当にかわいい。Salleyの小さな歴史として聞いていただけたらうれしいですね」

 18日から、本作を携えて、東名阪を巡るツアーもスタートする。本作を作るなかで「一皮むけた」2人が奏でる、「いい音楽」。これまで以上に多くの人の心を揺さぶりそうだ。   (本文・酒井紫野)
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1st Album 『フューシャ』
ビクターより発売中。初回盤(CD+DVD)は3500円、通常盤は3000円。ともに税抜。初回盤のDVDには、Salleyのこれまでを追った『Salley Diary 2012-2014』、シングル曲のミュージックビデオ、さらに2013年12月の渋谷CLUB QUATTROでのライブの模様も収録。詳細は、公式サイト(http://www.jvcmusic.co.jp/salley/http://www.jvcmusic.co.jp/salley/)で。