江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 【ネタあらすじ編】

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

壺算(つぼざん)

 普段からボンヤリしている吉公がおかみさんから水がめを買いに行くように頼まれた。吉公は要領のいい兄貴分と瀬戸物町へ。ある店へ目を付けた兄貴は「一荷入りの水がめはあるかい?」。吉公慌てて「兄貴違うよ。頼まれたのは二荷のかめ…」。「いいからお前は黙ってろ」。店の主人に一荷入のかめの値段を聞くと3円50銭だという。それを3円にしろという兄貴。それは無理と店の主人。そこで兄貴は「こっちは、縄と天秤棒を持って、自分たちで運ぼうってんだ。届けさせる手間を省いてやるんだから、負けてもいいじゃないか。それに、ここで負けてくれたら、俺は友達連中に瀬戸物を買う時はこの店で買うように言いふらすよ。損して得を取るのが商売ってもんだろ」と持ち前の押しの強さで、とうとう3円に負けさせた。それを担いで店を出る2人。「だから、一荷じゃなくて二荷のかめが欲しいんだって…」と文句をいう吉公に「これでいいんだよ」と、再びさっきの店に。「いやー、オヤジすまない。こいつが欲しいのは二荷のかめだって言うんだよ。二荷のかめは幾らだい?」。「それは一荷の倍ですから、7円…」。しかし、さっき3円に負けたから、倍の6円ということに。「まいったな。利が薄い商売なのに、1円も値切られた。買い物上手でいらっしゃる」。「ところでオヤジ、先ほど買った一荷のかめを、買った値段で下に取ってもらえるか」。「もちろんでございます。先ほどお買い求めいただいたばかりですから売った値段で引き取らせていただきます」。すると兄貴はすかさず「ありがたい。じゃ、さっき3円払って、今3円で下取ってもらう一荷のかめを返したので、全部で6円ってことで、二荷のかめもらってくぜ」と、かめを持って帰ろうとする。「お待ちください、お客様。お勘定がおかしいような…」。「なんだよ、じゃ算盤持ちな。3円を入れて、3円で引き取るんだから、また3円入れて、それで6円じゃないか!」。「そうなんでございますが、どうにも商売をした!という清々しい気分にならないのでございます」。計算が合う、合わないでモメていると店の主人がベソをかきながら「一荷入のかめも持って行って下さい」。「2つもいらないんだよ」。「その代わり、先ほどいただいた3円もお返しします」

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