“見学”で学ぶ東京のモノ作り【酒蔵見学】

最近見直されてきている日本のモノ作り。そんなモノ作りの現場を見学&体験できるツアーが人気だ。今回、そんな大人が楽しめる“社会科見学”をご紹介。
 都心から約1時間半、JR青梅線沢井駅にある小澤酒造は元禄15年(1702年)に創業した老舗の酒蔵。以来、300年にわたり東京・奥多摩の地酒として、多くの人に愛されている。

 酒蔵の周辺には軽食・土産物屋「澤乃井園」、銘酒澤乃井が味わえる「きき酒処」、澤乃井の仕込み水を使って作る豆腐や湯葉が味わえる「ままごと屋」と「いもうとや」、豆を素材にした料理を気軽に楽しめる「豆らく」、江戸から昭和の工芸品に出会える「櫛かんざし美術館」があり、行楽地としても人気だ。

 そして、日本酒ファンに人気なのが澤乃井の酒蔵見学。お酒ができるまでの工程や蔵に関する話、蔵内の案内を社長はじめ、各部署の社員が案内。見学の最後には、澤乃井のきき酒も用意されている。

 まず「酒々小屋(ささごや)」で社員の方から日本酒を造る工程の説明や日本酒の種類、原料についての講習が行われる。さらに、酒蔵の軒先に飾られている酒林の由来など、難しい知識と雑学を織り交ぜて説明してくれるので、興味深く楽しめる。一通り説明が終わったあとは、いよいよ酒蔵の中へ。小澤酒造には作られた時代により「元禄蔵」「明治蔵」「平成蔵」の3つの蔵があり、古くからある元禄蔵は土蔵造りで外気温の影響を受けにくく、現在は貯蔵用のタンクが並んでいる。お酒が入ったホーローのタンクには二段にわたって番号がふってあり、上がタンクのナンバー、下が容量になっている。ちなみに、8109リットルのタンクに目一杯入ったお酒は、一升瓶に換算すると4500本。タンクのお酒を1mm減らすためには、1升瓶が3本必要だとか。1日1合ずつ飲んだとして120年かかる計算になるというからその量の多さが分かる。もろみを圧搾濾過して酒と酒かすに分ける上槽室、熟成した古酒が並ぶコーナーを経て仕込み水の源泉へ。小澤酒造では、今回案内された奥行140mの井戸に湧き出る高水山を源とした中硬水の仕込水と、多摩川対岸の山深くから引かれる軟水を使っている。酒造りには、米磨きなどの技術、蔵内環境、きれいな水などさまざまな要因が大切だというが、今回それを自分の目で見て、説明をしてもらい、改めて実感できた。そして、最後はきき酒。長い時間を経て造られたお酒をしみじみ味わう。これこそが、大人の社会科見学の最大の楽しみかも!
〈工場見学の流れ〉
1.酒々小屋で社員の方による講義。小屋内には昔の洗ビン機や通い徳利などの実物も展示
2.元禄蔵にあるお酒の入ったタンク。土蔵造りの蔵内は薄暗い
3.熟成酒「蔵守」が並ぶ一角。年を経るごとに琥珀色を増す
4.岩盤で濾過され、鉄分やマンガンがほとんどない日本酒造りに適した中硬水の仕込み水の源泉入り口
酒蔵見学(予約優先)
【案内時間】1日4回(11時、13時、14時、15時)所要時間45分※12月は14時の回のみ、1月は11時と14時の回のみ【定員】毎回40名まで(10名以上の団体は要相談)【休業日】月曜日(祝日の場合は翌日)【料金】無料【予約受付】澤乃井園 TEL:0428-78-8210