江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 【ネタあらすじ編】

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
夏どろ(なつどろ)

 ある夏の夜、まぬけな泥棒が戸締りが無用心なある一軒の貧乏裏長屋に忍び込んだ。人の気配がなかったので、誰もいないと思い真っ暗闇の中、手探りで金目のものはないかと物色していると、突然寝ていた男が目を覚ました。驚いた泥棒が、開き直って「金を出せ!」と脅すも、男は一向に動じる気配がない。仕方がないので、匕首を取り出して「金を出さなきゃ、命はないぜ!」と言うも「そりゃ、ちょうどいい。さあ、殺してくれ。俺は死にたいんだ。さあ、殺せ!」と言い出す始末。泥棒が訳を聞くと、男は大工なのだが、博打で借金を作り、道具箱を質に入れてしまった。だから仕事が来ても、受けられない。仕事を受けないから、質屋から道具箱を受け出せない。仕事を受けないから質屋から…と堂々巡り。ついては、生きていてもしようがないから殺せという。「だったら、いくらあれば、道具箱を受け出せるんだ」と泥棒が聞くと「5円」と大工の男。「仕方がねえな。じゃ、5円やるから、道具箱を受け出してしっかり働け」と金を渡した。大工の男は「ありがたい。でも…半纏、腹掛け、股引きも質に入っていて、褌一丁しかないから、どっちみち仕事には行けない。だから殺してくれ」。「仕事に行ったからといって、すぐに賃金がもらえるわけじゃない。仕事をしても手間賃がもらえるのは十日も先だ。賃金がもらえるまでの食い扶持がなければ、飲まず食わずで仕事をすることに。そんなの無理だからやっぱり殺してくれ」。「借りた金を返せば品物が受け出せるわけじゃないし。どうしたって、利息がつくけど、利息分のお金はないし。頼むから殺してくれ」と、次々と理由をつけては泥棒からお金を巻き上げていき、とうとう泥棒は一文無しに。大工の男は「いや、ありがたい。今度来た時に必ず借りた金は返すから」。泥棒「冗談じゃない。誰がこんなところ二度とくるものか」。「そう言わないで。そうだ! 俺は親兄弟、身寄りのない身の上。ぜひ親戚づきあいを…」「馬鹿言うな! お前となんか金輪際関わりたくないぜ」。泥棒がげんなりして、帰ろうとすると男が「おーい! 泥棒。ちょっと待ってくれ!」。「うるさい! 泥棒なんて、そんな大声で呼ぶ奴があるか! いったいこの上何の用があるんだ」。「いや、季節の変わり目にまた来てくんねい」。
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