東京をシャンゼリゼのように散策して楽しい街にしたい
舛添要一 東京都知事

 就任して5カ月が経った舛添要一東京都知事に2020年東京オリンピック・パラリンピック、そして今進めている政策についてインタビューした。

(撮影・蔦野裕)

 会場計画の見直しなど多忙を極めています。どういった観点での見直しを?

「ひとつはお金がかかりすぎるのではないかということ。もうひとつは環境との調和はうまくいっているのだろうかということです。今、東北の復興のために工事が行われているので、人件費とか機材の値段がどんどん上がっているんです。当初100億円でできる予定のものが200億円でも足りないんじゃないかという状況になっている。お金が足りないんですね。50年前の東京オリンピックの時、駒沢公園にたくさんの体育の施設ができました。あの施設ができて本当によかったなって思うんです。2020年のオリンピック・パラリンピックのお陰でこんな素晴らしい施設が東京都にできて、都民が活用できるというようなことであれば都民の税金で作ってもいいんですけれども、作ったはいいがあとは誰も使わない、活用しないで蜘蛛の巣だらけになったというのではダメですよね。なのでそういうことをかなりシビアに見直しているんです」

 オリンピックには日本の文化を世界に紹介するという側面もあります。

「日本文化を世界に発信するために、例えば日本全国の盆踊りを連れてこようといったアイデアも出ています。ロンドンオリンピックの成功のひとつの要素として“ブリティッシュ・カウンシル”という文化組織の存在があります。東京も“アーツカウンシル東京”という組織を作りました」

 提唱している「東京シャンゼリゼプロジェクト」というのはどういったものなのでしょう?

「最近、虎ノ門ヒルズができました。あのあたり、環状2号線は昔、マッカーサー道路なんて呼ばれていたんですが、非常に便利な道ができました。そこを整備しますと外苑から有明、豊洲というオリンピック会場がたくさんある地域につながるんです。なので、できればこの道は“オリンピック道路” と呼んでほしいな、と思っています。虎ノ門ヒルズでは道路の真上に建物が建っていますが、これは規制緩和があってできたこと。道路の上に建物を作るということは、極端なことをいえば、土地代はタダということです。あの通りは幅員が13mと広いので、シャンゼリゼ通りのようにすることが可能なのではないかと思いました」

 海外の事情に精通している知事ならではの発想です。

「日曜の銀座の歩行者天国を見ると分かりますが、道の真ん中にカフェがあると楽しいじゃないですか。いろいろ規制はありましたけれども、とにかくあそこでオープンカフェをやりたい、と思ったんです。パリのシャンゼリゼでは、歩いていてお茶を飲みたくなれば、道路にカフェテラスがあって、ふらりとそこに入ることができる。そういう街にしようというのが東京シャンゼリゼプロジェクトなんです。隅田川なんかでもそういうテラスを置いて川面でお茶を飲める。どんどん規制緩和をしながら、散策して楽しい街にしたいと思っています」

 自動車中心の街から人中心の街へ。

「近代化というのはクルマ社会になることでした。今からの新しい街づくりは脱クルマ化です。ヨーロッパでは郊外から街に入る手前でクルマを降りて、そこからは公共の交通機関を使う。例えば自転車。オリンピックをやっている会場の近くで排気ガスを撒き散らす車があるというのはアスリートにとっては嫌なことだと思うんです。でも電気自動車や自転車を使えば空気も汚れません。いま自転車レーンが都道だけでいうと120キロしかない。それを2020年までに240キロにしようと思っています。いろいろと困難な課題もありますけれどもできればクルマに頼らない社会にしたい。いま歩行者天国は土日くらいなんですが、365日歩行者天国。つまりクルマが入れない、そういう道を作ってもいいんじゃないかと思っています」

 読者へのメッセージを!

「私は日本人に生まれて良かったと思っているし、東京に居て良かったなと思っています。私もいろいろな国に行きましたが、東京にはないものはないですね。これだけのものが集まっているというのは非常に素晴らしいことです。そして治安もいい。不況が20年くらい続いてみんなが暗くなっているけれども、そろそろ元気を出してもいい時期に来ているんじゃないかと思います。若い方々に申し上げたいのは、ぜひみなさん頑張って6年後にオリンピックに出るという、その思いでサッカー選手も陸上選手も柔道選手も、みんな頑張ってもらいたい。今から頑張れば出られると思うんですよ。それを期待しています」
(このインタビューの模様はhttp://wwwjfn.co.jp/moveup/でも聞くことができます)

東京オリンピック・パラリンピック開催が決まった2020年に向け、“アクション宣言”をもとに多くの人々が参加可能な日本を元気にしていくネットワークTEAM 2020。舛添都知事のアクション宣言は・・・・

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