EXILE ATSUSHI  ツアーではいい裏切りをしたい、エンターテインメントしたい

 国民的ダンス&ヴォーカルグループ、EXILEのヴォーカリストとして圧倒的な歌声と存在感を放ち続ける、ATSUSHI。リーダーのHIROがパフォーマーを勇退し、EXILEが新しく生まれ変わるこのタイミングで、自身にも大きな変化が訪れた。ソロのEXILE ATSUSHI名義のセカンド・フル・アルバム『Music』を3月12日にリリースする。「ギリギリのなかで自分ができる最大限を詰め込んだ」本作で、EXILE ATSUSHIの新章がスタートする。(OKAYAMA MOVE UP vol.7 2014.3.11発行号より 聞き手:一木広治(株式会社ヘッドライン代表取締役社長))

最新作はできる限りのことをやった集大成

一木「まずは、12日にリリースされるニューアルバム『Music』について聞かせてください」

ATSUSHI「EXILEの活動をしながら制作していたので、自分の限界、できる限りの事をやってきた積み重ねの集大成というような作品です。エンターテインメントを追求するEXILEと比べると、ソロでは常に音楽を追求するかたちで活動してきたので、ジャンルも多様になったし……これをまとめる言葉は『Music』しかないと、そのままアルバムのタイトルにもしました。明言はしてこなかったですけど、音楽(Music)というのは常にソロ活動におけるテーマ。ただ、それがアルバムタイトルになるとは思わなかったですけれども」

一木「限界、できる限りのことというと?」

ATSUSHI「いろいろあるんですけど、先行シングルの『青い龍』でサングラスをとったことだとか、肌を露出したりしたこと。それに、コンサートのオープニング曲のイメージで制作した『MAKE A MIRACLE』。アルバムの最初に収録されている曲なんですが、このミュージックビデオで演技や踊りに挑戦しています。あとは、清木場俊介くんとのコラボレーション。そして、曲数(笑)。すべて含めて、ギリギリのところ、自分の限界までやれたかなと思っています」

一木「自分の限界……それは、スケジュール面でもそうですか? ギリギリまで制作していたとうかがいました」

ATSUSHI「……はい。年が明けたときに、あと7曲レコーディングする曲がありましたから(笑)。リリースまでのプロセスを考えると、1月中には完成させていなければならなくて、1週間で1曲では間に合わないスケジュールです。その後、歌い直しやミュージックビデオ、ジャケットの撮影などもありましたし。レコード会社のみなさんや、周りのスタッフさんにも協力してもらって、ギリギリまで制作させていただきました。いい作品になっていると思います」

ツアーではいい裏切りをしたい、エンターテインメントしたい

一木「最新作はこれまでのソロ作と比べると少し印象が違います。以前はバラードのイメージが強かったけれど、アップテンポな曲も多いですね」

ATSUSHI「先ほど、『MAKE A MIRACLE』がツアーのオープニングをイメージしたと言いましたが、このアルバムはコンサートを意識した作品なんです。これまで、ライブDVDでいうと3作品リリースさせていただいているんですけど、どのライブでも音楽性を追求し、音楽を聴かせるという作品・ライブになっているんです。そういう意味で、この作品を持ってのツアーではいい裏切りをしたい、エンターテインメントしたいなって思ったんですよ。会場がアリーナということもありますけど、自分のギリギリじゃないけど(笑)、自分のできる最大限を見せたいな、と。それで、パフォーマンスを考えて曲を選んだり、作ったりしているんです。新曲はそういうイメージがあったからこそできた曲でもあります」

一木「これまでは、エンターテインメントしたいって考えていなかったんですか?」

ATSUSHI「それが、ソロ活動で足りなかったところだと思っています。パフォーマンスを考えず、想いひとつでやってきて、良くも悪くも音楽に向き合いすぎていたのかな、と。そうすると、いざライブだってふたを開けたらアップテンポの曲が全然足りないっていう(笑)。ソロではEXILEでできないことをやりたいという、いい意味でのストレスがあったんです。自分の音楽性だったり、自分の音楽的ルーツ、自分にはこういう局面もあるんだけどそれを知ってもらえない、そういうのが。EXILEではエンターテインメントを追求するしパフォーマンスもありますからバラード曲は少なくなるので、ソロではより歌を聴いてもらえるバラードをというようにもなっていました」

一木「それがなぜ変わったんでしょう?」

ATSUSHI「これまでのソロ作品であったり、日本の心を歌ってみたこと、2013年にピアニストの辻井伸行さんや、映画音楽家の久石譲さんとコラボレーションしたことによって、ふっきれたというか。フラットな状態に戻ることができたんです。EXILEだけどこういう音楽もやっている、サングラスしているけれど怖いお兄さんではない、そういう部分が表現し終わった、自己紹介が終わったというのかな(笑)。そういった意味で、この『Music』以降は、みんなで一緒に歌える歌、みんなに寄りそっていける歌を歌っていけるなって感じています」

SHUNちゃんとのコラボは、刺激うけまくりだった

一木「EXILEも大きく変わる転換期だけれども、EXILE ATSUSHIにとっても大きな変化の時だったんですね。ところで、このアルバムにはもうひとつ話題になっていることがありますね。それが、清木場俊介さんとのコラボレーション」

ATSUSHI「はい。もともとは、よりこのアルバムをたくさんの人に届けたいという想いから、EXILE第一章の曲を歌おうというアイデアから始まったんです。それで、許可を取るというか、こういうことをやりたいんだけどって報告するためにSHUNちゃん(清木場)に会って、快諾してもらいました。ただその後になって、曲を聞いていたら、もうSHUNちゃんの声しか聞こえてこなくなっちゃったんです。それで年末に改めて会う機会を作って、2人で歌いたいということを伝えました。HIROさん始め、EXILEのメンバーも、ファンのみなさんを混乱させることがないようにできるならば、すごくいいアイデアだと賛成してくれましたし、実現してうれしいです。以前からいつか一緒にやりたいねとは話していたんですけれど、このタイミングとは! HIROさんの勇退、SHUNちゃんもデビュー10周年、僕も初めて単体でソロ・アルバムをリリースする。いろんなものが重なって、今だったんだなって思います。一緒にブースに入ってレコーディングをしたんですが、“相変わらず歌うまいな”“前よりもうまくなっているな”って刺激、うけまくりでした。初心に戻れた部分もありますし、この時期に一緒に歌うことができて良かったって思っています」

一木「この作品を携えてのツアーが楽しみになりました」

ATSUSHI「ライブは静かに聴いているものというイメージを持っている方々の期待を、いい意味で裏切れるんじゃないかなって思います。そういうコーナーも作りますけど、アリーナツアーなので……エンターテインメントしたいと思います。今回はうかがえないのですが、岡山にも行きたいと思っています」

一木「ところで、ATSUSHIさんには、この『OKAYAMA MOVE UP』には初めて登場していただいたわけですが、このフリーペーパーは、東日本大震災を受けて、「ポジティブ」であるとか、「岡山から日本を元気に!」をキーワードに創刊されました。ATSUSHIさんも、震災を受けて、さまざまな活動をされてきましたが、あの日から3年となる今、どんなことを考えていますか?」

ATSUSHI「物資であるとかお金であるとかはもちろんでしょうけれど、僕は心折れずに立ち直ってやっていけるような状態になるっていうのも大切だろうなって思っています。日本中があの日に何があったのかを意識せずにはいられない日であるし、震災がきっかけとなって再確認した絆であるとか、困った人がいたら手を差し伸べるといった、当たり前のことについて改めて考えるきっかけを与えてくれると思うんです。それを感じながら、また自分たちがどうやって歩んでいこうか考える日にもなると思います」

一木「僕も勝手に使命を感じて、いろんなことに取り組んでいますが、みんなでもっといろいろ考えていきたいですね。そんなATSUSHIさんが目指すところ、夢はなんでしょうか?」

ATSUSHI「先ほど話したことと重なりますが、2013年までの活動で、ようやく日本のみなさんには自分の自己紹介ができたんじゃないかと思っています。その上で、ファンのみなさんと寄りそう歌を歌いたいと思うし、一緒に歌える歌を歌っていきたいと思っています。その一方で、さらに自分が表現していきたいところも追求していきたいと思っています。あとは、EXILEなのかソロなのか分からないですけれど、世界に向けたアプローチをしていきたいと思っています」

一木「最後に、読者に、ATSUSHIさんのポジティブに進んでいくための方法をシェアしていただけませんか?」

ATSUSHI「適切な答えか分からないんですが……前向きに考えないこと、です(笑)。僕は、物事をポジティブに考えたり、とらえようとすると何かがおかしくなってくるんです。だから、まずは現実を受け入れるようにしています。トラブルがあったとしても、それがどういうトラブルなのか理解し、分析し、受け入れていくことで、自分が直すべきところも分かってくるように感じています。それに、無理やりポジティブに考えていくと苦しくなりますから……」

一木「ありがとうございました」

NULL
EXILE ATSUSHI'S POSITIVE ITEM



MEANS

汗を流すこと。

ジムで体を動かすと、疲れだったりもやもやしていることがすっきりします。トレーニングとしては、坂道をダッシュすることやウエイトトレーニングが主で、エネルギーを限界まで使って、その日をリセットする感じです。



MEANS

お酒を飲むこと。

お寿司なら日本酒、イタリアンでワイン、焼き鳥には焼酎。食事に合わせていろいろ嗜みます。食べたり飲んだりするのは贅沢しようと思えばいくらでもできるし、その逆に節約もできます。だからこそ自分のスタイルで楽しむのがいい。買ってきた牛丼を、自分の器に移して玉子を割るとか。幸福感をプラスしての食事やお酒はポジティブになれますね。



MOVIE

『華麗なるギャツビー』

レオナルド・ディカプリオ主演で、去年公開された映画です。ストーリーはもちろん面白いんですけど、ファッションとか音楽とか……総合的にカッコいい映画です。



MUSIC

ヒーリングミュージック

プライベートではあまり音楽を聴かないんですが、眠るときには癒し系の音楽を聴いています。インストゥルメンタル作品ですね。歌をやっている人間なので、ヴォーカルがあるものだと、ちゃんと歌を聴いちゃうんです。




EXILE ATSUSHI 3月12日ON SALE 2nd フル・アルバム『Music』


2年ぶりとなる2nd フル・アルバム。『MELROSE〜愛さない約束〜』を始め、ピアニストの辻井伸行と共演した『それでも、生きてゆく』、久石譲との共演を果たした『懺悔』などを収録。さらには、初回盤の【2CD+2Blu-ray】と【2CD+2DVD】には、盟友である清木場俊介も参加した『fallin’』『The Impossible Is Real 〜My Lucky Star〜』を収録したディスクも。ATSUSHIのすべてが詰め込まれた作品だ。

左:初回生産限定豪華盤【2CD+2Blu-ray(豪華ブリスターパッケージ仕様)】
6825円(税込)。左:初回生産限定豪華盤【2CD+2DVD (豪華ブリスターパッケージ仕様)】5775円(税込)右:初回盤【CD】2940円(税込)