落語協会会長に就任 柳亭市馬

 落語家初の人間国宝に認定された5代目柳家小さんの弟子・柳亭市馬。今年、柳家小三治の後任として、協会発足後最年少の落語協会会長に就任。「一生修行の身」ながら、それを引き受けた理由、そして師匠・小さんの思い出や、芸について語る。
「私はもともと小さんの剣道の相手専門で入門したようなものなんです(笑)。落語は好きでしたが、商売になるとは思っていなかったし、だいたい江戸っ子がやるもんだと思っていましたから。でも私の剣道の先生のそのまた先生のお知り合いに、日本で指折りの中野八十二という先生がいらっしゃって、その方が小さんの知り合いだったんです。小さんも剣道をやっていたので、その先生の口添えと剣道をやっているというだけで入門が許された(笑)。師匠のことは好きでしたし、当時第一線で活躍されていた方ですからうれしかったです。うちの師匠は、一言で言えば自然な人。人間もそうですが、芸にも変な飾りがまったくない。普通にしゃべっているだけ。落語家って、大御所の人たちもそうですが、物まねできるんですよ。口調とか仕草とか、その人独特のテンポやリズムなどの調子があるので、大概の師匠は真似できる。ただ小さんの真似だけは誰もできない。だって、真似しようったって、普通通りにしゃべっているだけだから、なんの特徴もないんですもん。作ったものがないから、難しいんです。そういうのも含めすごく自然体なところが師匠の魅力でしょうね」

 今年6月には小三治師匠とバトンタッチする形で新会長に就任。50代でもまだ若手と言われる落語界において、52歳での会長就任は落語ファンのみならず、社会的にも大きな話題となった。

「今まで会長をおつとめになった方を見ても、自他ともに認めるこの世界の代表みたいな人たちばかりですからね。功成り名遂げた人ばかりで、芸も人間も財力もいろいろなものを兼ね備えた人たちがなってきた。それが、まだまだ芸だってこれからなんとかしなきゃって思っている私がなるのは初めてのことで、さすがに辞退したほうがいいんじゃないかということも随分考えました。そういうお歴々の方々の功績もそうですし、何より自分や自分の弟子の心配をしなきゃいけない状況ですから。でもそれを引き受けたのは、今の会長は面倒くさいことをやらなきゃいけないから。補助金やらなんやら、いろいろややこしいことを役所や役人とやったりとったりいろいろしなきゃいけない。それを70歳過ぎの師匠たちにやらせていいのかと。そんなことで、自分より年上の方たちを疲れさせたくないというのが引き受けた一番の理由です。昔は名誉と実績があって会長になりましたが、今はまったく違う。幸い私は今健康だし、そういうことができるかなと。また、私でと言ってくれた小三治師匠にも何かお考えがあったと思いますので。ですから、私が失敗したら、それは任命した小三治師匠に責任があると開き直ればいいかなと思っています(笑)」

 芸もまだまだ磨かなきゃいけない時期と言う市馬師匠が目指す落語とは。

「落語にはいろいろ出てきますけど、まず人物。その人物の次に大事なのが季節だと私は思っています。季節感が好きなので、ただ普通に喋っていて季節や風景が浮かぶ話をしたい。言葉の中にそういう季節を表すような言葉を入れたり、いちいち季節の情景を説明したりせずにです。でもこれが難しい。やろうと思ってもできないし、どうしていいのか分かりませんが、今はそのための修行なんです。こうやればいいとか、ここまで行ったら一人前だというのは一切ない。だから死ぬまで模索し続けるでしょうね。聴いてくれているお客様の中で100人に1人でも感じて下さる方がいれば満足ですけど、それはなかなかできないし、できたかどうかも分からない。ほかの人はどうか分かりませんけど、私はそう思って日々落語と向き合っています。修行というとね、我々が普段落語をやっている寄席っていうのは、ホームなんだけど、アウェイなんです。独演会や数人でやる会と違って、自分の親衛隊ばかりじゃないコワイお客さんがいっぱいいる。自分を知らないお客様や好意的じゃない方、それどころか落語すら興味のない方もいらっしゃる。そこで前座の時から毎日なんとかやりくりするんですから揉まれますよ。だから落語を見てみたいと思われたら、寄席に足を運んでいただくのがいいんじゃないでしょうか。いろんなパターンの話、芸人がいますから、そこで自分が面白いなって思った人に注目してみる。寄席は1年中やっていますし、一度にたくさんの落語家を見ることができます。毎日そこで揉まれている芸人を見るのが、落語になじんでいただく近道かも知れませんね」
(本紙・水野陽子)
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「市馬落語集 納涼公演〜夏の夜ばなし〜」
【日時】8月30日(土)、19時開演【会場】北とぴあ つつじホール【料金】S席3000円、A席2800円
「正蔵・市馬二人会」
【日時】9月10日(水)、18時45分開演【会場】内幸町ホール【料金】3000円
「市馬落語集」
【日時】9月23日(火・祝)、18時30分開演【会場】人形町 日本橋社会教育会館ホール【料金】2600円

【問い合わせ】柳亭市馬事務所オフィスエムズ TEL:03-6277-7403【柳亭市馬HP】http://www.ryutei-ichiba.com/http://www.ryutei-ichiba.com/
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