超満員札止め「Krush.44」武尊防衛 卜部兄弟が揃って勝利

 今大会はメーンの「Krush−58kg級タイトルマッチ」、「Krush−60kg級タイトルマッチ」への挑戦権をかけたスーパーファイト2試合など豪華なラインアップが並び、指定席・立見席が早々に完売。当日券も出ないという超満員札止めの1950人の観衆が集まった。

 メーンでは王者・武尊が鈴木雄三を迎え撃ち2度目の防衛戦。2人は昨年行われた王座決定トーナメントの準決勝で戦い、武尊が判定勝ちを収めている。互いの格闘技に対するポリシーの違いもあって、試合前からファンもヒート。異様な熱気の中、ゴングが鳴る。

 武尊が1R終盤、カウンターの左フックでダウンを奪うと試合は武尊のペースに。2R終盤にはヒザから右ストレート、左フックで2度目のダウンを奪い、ジャッジ三者とも30−25の3−0の判定で完勝した。

 スーパーファイトでは「卜部弘嵩vs.山本真弘」「卜部功也vs.翔・センチャイジム」の2試合が行われた。この2試合で「一番いい勝ちっぷりをした選手」が大月晴明が持つ「Krush−60kg級」のベルトへの挑戦権を獲得するとあって、その“勝ち方”にも注目が集まった。

 1試合目は弟・功也が.翔を迎え撃つ。翔はかつてKrushに参戦し、その後ムエタイに主戦場を移し、NJKFライト級のベルトも腰に巻いた。試合前も「最近のKrushはみんな同じような戦い方をしてつまらない。これがムエタイ、ニューKrushだという試合をしたい」と豪語していた。しかしこの日は功也が翔を圧倒する。1Rからプレッシャーをかけて翔をコーナーに詰め連打を浴びせる。自分のペースがつかめない翔に対し、功也は面白いように右ジャブ、左ミドルキック、左ストレートとヒットさせ着実にポイントと体力を奪っていく。3Rになってもう後がない翔は積極的に出てくるが、功也はその攻撃を交わすと、右ジャブからやや前かがみになった翔に強烈な左ハイキックを一閃。うつぶせに倒れぴくりとも動かない翔を見てレフェリーが即座に試合を止めた。

 2試合目の兄・弘嵩と山本の一戦はよもや実現するとは…といった幻のカードだった。かつて山本はKrushに参戦。国内の60kg級で最強を証明すると戦いの場を世界に移し世界王者に輝いた。弘嵩は山本がKrushを離れた後に頭角を現してきた選手で接点はなかった。しかし今年4月の山本の電撃復帰でこのカードの実現に至ったのだ。

 山本は遠い位置から踏み込んでの左ハイ、左ミドルで試合を組み立てる。強烈な左のインローで弘嵩にダメージを与えるが、それを嫌がる弘嵩は距離を詰めパンチの打ち合いで反撃。2Rまでは互角の攻防を繰り広げる。最終3Rは互いに手数もあがり、壮絶な打ち合いに。そんななか弘嵩の右のパンチを受けた山本が腰を落とす。レフェリーのジャッジはスリップだったものの、弘嵩はその後もパンチで追撃。結局3Rの攻防が明暗を分け、ジャッジ三者とも30−29の3−0で弘嵩が判定勝ちを収めた。

 勝利のインパクトでは功也だが、破った相手のインパクトという点では弘嵩も劣らない。果たして大月への挑戦権はどちらが手にするのだろうか。