大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第15回 カッコいいのは、笑われることを恐れない愚直さ。

 まだ、ジーンとしています。みなさん、見ましたか? 森脇健児さんの走りを。キキマスターの森脇さん、4日に放送された『オールスター感謝祭』の赤坂5丁目ミニマラソンで4位入賞。「5位に入れなかったら引退」と明言していらっしゃったので、引退は回避されました。


 あの日、僕も赤坂にいました。小田原で仕事があって戻ってきても間に合うかどうかっていうスケジュールだったので、応援には行けないだろうなって思ってたんです。でも、行ったんですよね。先週水曜の放送で森脇さんとこのマラソンの話をしたんですが、その時の森脇さん、切腹を決意したような男の顔をしていたんです。それもあって僕は、やっぱり目撃者、体験者にならないとって思った。もしかして到着できないかもしれないけど赤坂へ行こう、最初から行かないってするよりも、とりあえず行こう、そう思ったんです。


 僕が到着したとき、すでにリスナーが集まっていてくれました。「みんなで応援しよう」という呼びかけに集まってくれたんです。なかには3時から待ってたなんて人もいました。『キキマス!』のオレンジ色のコートを着て、垂れ幕やのぼりを掲げ、森脇さんを待ってました。その姿を見た時、ジーンとしたし、なんだかおもしろくなっちゃってね。だって、赤坂5丁目ミニマラソンって、番組のなかの一つのコーナーなんですよ。それにも関わらず、それだけたくさん人が集まって盛り上がっていることが面白くて。一人ひとりを見ていると、それぞれの人生が見えてきたりもしてね。


「森脇、頑張れ!」「森脇、引退させねえぞ!」。そんな声援を受けながら走る森脇さんを見ながら、僕は、森脇さんとの出会いを思い出してました。まだ『オールナイトニッポン』をやってたころに、番組を聞いてメールをくれたこと。そこから、森脇さんのことを話すようになったこと。今では、この『キキマス!』で毎週水曜日に一緒に出演しています。仕事がないから走り続けたことだとか、『オールスター感謝祭』のマラソンのために赤坂の心臓破りの坂と同じ角度の坂道がある場所に家を買っただとか、異常な世界にひたって没頭している。そういう人って面白いんだよなあ。今田耕治さんの「沿道の歓声すごかったですね」って呼びかけに、「ボディーにきた!」だとか、「……は嘘つかない。……は嘘つかない」。たぶん、……のところは努力とかだったのかな、想いを伝えたかったんだろうね、焦っちゃって早口になってしまって全然分からなかった。ボケてもいないし、それがおもしろくなるだろうとか本人は全然思ってなくて、愚直そのものなんだと思う。のめり込んでいる人、特有の面白さなんだろうな。でもそれでいいんだと思う。それを、腕のある人が笑いに変えて行くんだよね。感動で号泣のきよし師匠の「吉本へ来い!」ってコメントもそう。面白いよなあ。


 笑われることを恐れない愚直さって、かっこいいですよ。自分も走ろうと思いますよ、この人生を。……ランニングってことじゃなくてね。


 8日の『キキマス!』は、森脇さんがキキマスターとして登場します。



kikimasu.jpg大地洋輔との本格派漫才コンビ・ダイノジで活躍。個人でリポーターや司会、DJ活動なども行う。1972年生まれ。
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