格闘家イケメンファイル Vol.10 微笑みスナイパー 久保優太

撮影・神谷渚

 その穏やかな微笑みから物静かな印象の久保優太。しかし、いざ試合となったらめちゃくちゃ強いというギャップに女性ファンが急増中!?

「そんなにいつも笑っているイメージですか? 確かに記者会見とかでも、格闘家っぽいマイクパフォーマンスはやりません。試合前にあまりバチバチやって変なプレッシャーを感じると、日々のトレーニングに支障をきたすんじゃないかと思って。そもそもリングに上がらないとスイッチも入りませんし。だって、普段生活していて人を殴りたいって思ったら危ないでしょ(笑)」

 17歳でプロデビューするなど、天才肌の格闘技エリートのイメージが強いが…。

「全然、そんなことありません。小学校2年生の時にテレビのK−1の試合でピーター・アーツ選手を見て、テコンドーを始めたんですけど、めちゃくちゃ弱かった。格闘技のスゴさにあこがれ、自分もその舞台に立ちたいと思っていましたが、ビビリだったんです(笑)。怖かったからディフェンスを一生懸命覚えた。だから今でも防御が得意です(笑)。そんな感じでしたが、とにかく何でも1番がよかった。道場に行くのも1番、練習するのも1番。とにかく誰よりも1番努力をしようと思ってやっていました」

 11月3日には、K-1 WORLD GP 2014〜 −65kg初代王座決定トーナメント〜に出場する。

「1回戦はアルメニアのラズ・セルキシアン選手と対戦しますが、僕はトーナメントでは常に優勝することを考えているので、1回戦の相手について、あまり気にしたことはないです。もちろん、1回戦も大事ですし、気が抜ける相手は1人もいませんが、正直誰が相手でも特に何も思わない。1日3試合って相当ハードで、決勝戦になると、骨折した状態でやるような状況になることもある。だから精神力がめちゃくちゃ必要なんです。でも守って試合をしてしまうと、精神的にも引いた試合になってしまう。そこは自分のメンタルをコントロールして、見てくれている人に感動を与えるような試合をしないといけない。格闘家として生きさせてもらっているので、守りに入らずいい試合をすることが大事だと思っています」

 自分に自信を持つ久保だが、その裏には絶対的な信念があった。

「実はいろいろあって、1年半ぐらい試合ができない時代があったんです。正直すごく辛かったし、苦労もした時期ではありました。しかし、そんな時でも常に試合前にする練習をしていた。とにかく先が見えなくてもモチベーションを下げずに、ブレない自分でいようと思っていました。そうした中で、自分を信じて支えてくれたトレーナーさんや、助けてくれた方々に感謝の気持ちも生まれたし、今試合ができる喜びを感じることができている。その時の気持ちを忘れずに、ブレない心で試合にのぞめば、いい結果が出ると信じています」

 次回の試合とその先に求めるもの。

「とりあえず、次の試合は優勝します。過去トーナメントで、決勝に進出しなかったことがないので、最低でも決勝に残り、最低でも優勝で来るように頑張るだけです。僕は常に自分の限界を超えることを意識している。これまでも試合の時は誰よりも練習してきました。そうするとおのずと気持ちの戦いになった時に、自分に有利に傾くことがあるんです。今後の夢は、自分が格闘技で夢を与えてもらったので、同じように若い人たちに夢と目標を与えられる選手になりたい。僕がピーターアーツ選手に夢をもらったように、自分が目標にされ、あこがれられるような選手を目指したい。まだまだですけど(笑)」

久保優太
1987年10月19日生まれ、東京都出身。小学校2年生の時にテコンドーを始め格闘技の道へ。2005年、高校2年(17歳)でプロデビュー。獲得タイトルは、初代Krush −67kg級王者 / GLORY −65kg SLAM王者 / ISKA世界ライト・ウェルター級王者 / K-1 WORLD MAX 2011 −63kg 優勝 / 元WPMO世界スーパー・フェザー級王者 / Krushライト級グランプリ2009準優勝など。11月3日(月・祝)には、東京・国立代々木競技場第二体育館で行われる−65kg初代王座決定トーナメント「K-1 WORLD GP 2014」に出場。一回戦でアルメニアの格闘サラブレッド、ラズ・セルキシアンと対戦する。Fighting Kairos所属。