大谷ノブ彦 カタリマス!第6回 芸人”愛”じゃなくて、芸人”熱”

 先週の『キキマス!』はスペシャルウイーク。日本の音楽史を彩るレジェンドに登場していただきましたが、初日20日は小林幸子さんがゲストでした。ネット上では、“ラスボス”なんて言われて大人気。新しいことをどんどん吸収していく、その柔軟性、しなやかさ、バイタリティーには、学ぶところがいっぱいあります。

 小林さんは、ニコニコ動画だとか、コミケだとか、やってみたらって言われて乗ってみて今の状況になった。歌をやる、演歌だからって留まっていたら、今の輝き方、いろんな形で解釈してもらえるようになることはできなかったんじゃないかなって思うんです。僕も、ラジオを始めて、「昼もできるよ!」って言われて『キキマス!』をやってるわけで、みんな人から言われてやってみた。「肩書きって人から“つけられる”ものなんだ」って『キキマス!』でマキタスポーツさんが語ってたけど、僕には“LFが生んだナルシストラジオDJ”という肩書きがついた。僕に何が向いているのか、それは人が決めればいいことなんだって思うんです。

 人が提案してくれたこと、肩書きに、乗れるか乗れないか。この違いは“愛”か“熱”だって思います。愛、例えば、芸人“愛”だとか映画“愛”。すごくいい響きだけど、“愛”って縛るんだよ。「芸人とはこうじゃなきゃいけない」「映画とはこういうものだ!」とかね。そこから広げることを許さない。若手芸人で「…なんか、俺のやりたかったことじゃない」っていう奴もいるけど、そういう奴で自分がやりたかったことをやる奴なんて見たことないし、絶対やめるんだよ。そんな“愛”に縛られてるのを「ブレてない」っていう人もいるけど、それってそんなにかっこいいかな。

 それに対して“熱”は広がっていくもの。閉じ込めたりしないし、伝染もしていく。芸人なのに絵を書いているだとか、芸人なのにDJをしてるだとか、“愛”ある人には痛い奴って思われちゃうとは思う。だけど、“愛”ある人たちのコミュニティーのなかで留まってるよりも、そこから広がっていったら、やり続けてたらどうなるんだろうってやってくほうが面白いと思うし、より広く伝わっていくと思うんです。だから、僕は、芸人“愛”よりも芸人“熱”だと思う。そう思ってやってます。

 最近、ある人から、いい顔をしてるって言われたんです。もちろん、男前だとかそういう意味じゃなくて、だけど。“愛”よりも“熱”をやり続けているからだと思う。だから、これからも、“熱”なんです。

kikimasu.jpg大地洋輔との本格派漫才コンビ・ダイノジで活躍。個人でリポーターや司会、DJ活動なども行う。1972年生まれ。
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