「やり残したことはない」樹木希林、最新作は遺作狙い!?

 映画『あん』の製作発表会見が11日、都内にて行われ、主演の樹木希林と、河瀬直美監督が登壇した。

 とある街にひっそりとたたずむどら焼き屋を舞台に、絶品のアンコを作る元ハンセン病患者の老女・徳江と、そのアンにひかれ店を訪れる人々の人間模様を描く。原作はドリアン助川。

 この日は会見場に入りきらないほど殺到したマスコミに、樹木も「こんなに盛況なのはトム・クルーズさん以来だそうです」とビックリ。前回、河瀬監督作『朱花(はねづ)の月』に出演したときよりセリフが多くて大変だった、と樹木。「河瀬監督との仕事はごまかせないからしんどかったです」と冗談を交えつつ「役者なら一度は河瀬さんとの仕事をおやりになるといいんじゃないかと思います」と、監督への信頼を明かした。そんな樹木に河瀬監督も「長年一緒に仕事をしていきたカメラマンが本番で初めて涙した。それくらい迫るものがあった」と樹木を称えた。

 映画のキャッチコピーになぞらえ「やり残したことは?」と質問された樹木は「やり残したことは何もない」と樹木。「ただこの仕事の後、もっと心してやらなきゃいけなかったんじゃないかと思いました」と思い入れのほどを明かした。実際にハンセン病の療養所を取材するなど、仕事に打ち込む樹木の体調を心配する声が記者からあがると「それが狙い」と樹木。さらに「公開がまだ先なのに、今、会見をやっても忘れられちゃうんじゃないかと監督に聞いたら、監督いわく(関係者が)樹木さんの遺作として売り出したいんじゃないですか、って。死ななかったらどうするのよ」とぼやき、会場を爆笑させた。

 作品は撮影を終え、これから編集作業に入るという。『あん』は2015年6月公開。(c)映画『あん』製作委員会