常識を覆し見る者を挑発する作品『マーキュリー・ファー Mercury Fur』

 イギリスの劇作家フィリップ・リドリーは日本ではポスト“デヴィッド・リンチ”といった評価をされている。その作品はその独自の美学に貫かれた世界観を持ち、人間の凶暴性や本能をむき出しにして「人間というのは結局、動物である」という真実を強調する。そんな彼の作品の中でも特にメッセージ性が高く、過激な表現を用いているのが10年前にイギリスで初演された本作。

 今回で世田谷パブリックシアターとシアタートラムにおいてリドリー作品を演出するのが4度目となる演出家の白井晃はかつてこの戯曲を読んだときに「エキセントリック過ぎて、日本では上演は難しいのでは」と思ったという。しかし最近になって改めて目を通し「ここ数年で日本を取り巻く環境や日本人の意識が急激に変わったことで、遠い話だと思っていたものがとても卑近なものに感じられた。今やらなければいけない戯曲なのではないかと思った」そうだ。

 白井は特にこの劇場の公演では、舞台と客席の境目を融解させるなど観客にも当事者意識を持たせるという演出をする。

 この作品を通じてリドリーと白井は観客に“今我々はどんな社会で生きているのか”という現実を突きつけ、“ではそんな世界でどう生きるのか!? ”と挑発する。受け止めるのか、目をそらすのか…。
【日時】2月1日(日)〜22日(日)(開演は月金19時、水木14時/19時、土13時/18時、日13時。火曜休演。※4日(水)は19時のみ、11日(水)は14時のみ。7日(土)は13時のみ。開場は開演30分前。当日券は開演30分前)【会場】シアタートラム(三軒茶屋)【料金】全席指定 一般席・Xシート6800円、トラムシート6300円/高校生以下 3400円【問い合わせ】世田谷パブリックシアターチケットセンター(TEL:03-5432-1515=10〜19時 [HP]http://setagaya-pt.jp/)【作】フィリップ・リドリー【演出】白井 晃【出演】高橋一生、瀬戸康史/中村中、水田航生、小柳心、小川ゲン、半海一晃、千葉雅子