2020年の成功と30年後の東京の発展のために 舛添要一 東京都知事

JAPAN MOVE UP!「日本を元気に」SPECIAL INTERVIEW
「日本を元気に」をスローガンに各界のキーパーソンにお話をうかがってきた「JAPAN MOVE UP!プロジェクト」。2015年の年初にあたり、舛添要一東京都知事にこれからの東京、そして日本について語ってもらった。(聞き手・一木広治)
——まず昨年12月25日に発表されました「東京都長期ビジョン」についてお聞かせください。

「オリンピック・パラリンピックが5年後に迫りましたが、これはあくまで通過点です。今回は取りあえず10年間の長期計画を出しましたが、10年先、20年先、30年先の東京を考えなければいけません。まずやはり、史上最高のオリンピック・パラリンピックにしたいという思いがありますので、このことに相当の力を注ぎます。しかしそればかりではなく、東京で生活している人たちが“東京で生活できて良かったな”と思うことが必要なので、そういう意味で福祉サービスを充実したいと思います。子育てがちゃんとできるように、待機児童の解消も目指しますし、高齢者へは医療の充実ということもありますね。それからなんといっても、景気が良くなって富を生み出さないと話にならないので、経済政策をきちっとやります。それを夢物語に終わらせないために3カ年の実施計画を設けて数値目標を立てました」

——中でも特に都民に理解してほしい問題はなんでしょうか。

「やはり子育てに関することでしょうか。今、待機児童が大きな問題になっています。保育園などに入れないで待っている子供が8000人を超えているんです。ですので、そういったサービスを利用できる児童の数を4万人増やそうという目標を立てました。また保護者が共働きのときに放課後に児童を預かる学童クラブに関しても1万2000人増やします。高齢者には特別養護老人ホームを6万人分に増やします。建物を作っても介護士とか保育士のなり手がいないといけないので、こういう人たちに対する支援も行います」

——オリンピック・パラリンピックの選手村を水素タウンとして整備していくというプランもあるようですが。

「大会が終わった後、東京が寂れてしまったり、有明とか豊洲といった地域がゴーストタウンになってはしようがない。ぐっと伸びていく街にしなければいけない。そういう中でいろいろなことを試みるのですが、資源小国の日本では今、エネルギー問題において水素に着目しています。トヨタが“MIRAI”という自動車を発売しましたが、ああいうものから始まって、すぐにはできないと思いますが、ゆくゆくは電源の元になるものを水素を活用してできないかと思うんです」

——いま“東京一極集中”ということが言われていますが、世界都市である東京がより元気になり、地方にエネルギーを送っていくことが日本を元気にしていくことにつながると思い我々もTOKYO MOVE UP活動をしているのですが。

「“東京の一人勝ちでひどいじゃないか”といった議論もありますが、東京が勝ったらほかが負けるというゼロサムゲームではいけないと思います。東京が良くなって、地方も良くなる。ウインウインで、かつプラスサムのゲームじゃないといけない。そこは間違ってはいけないと思います。20年もデフレが続いた中で、誰かが先にその泥沼から抜け出さないといけないんですが、その能力があるのは東京しかありません。だから先に東京が抜け出して“みんな後についてきてください”というのが今日の状況だと思います。今は国家間の競争もありますが、都市間の競争が激しい。東京はニューヨーク、パリ、ロンドンといったところには負けています。そしてシンガポール、ソウルが後ろに迫ってきている。マラソンと同じで、追い抜かれないようにして、相手を追い抜かなければいけない」

——都市力の中にはいろいろな要素がありますが、ひとつはコミュニケーション力というものがあげられると思います。日本人は英会話など弱いところがあります。こういった問題に東京都としてなんらかの取り組みを考えていますか?

「都市ランキングで落ちるのはこの言葉のバリアが大きいんですね。シンガポールなんかは公用語が英語ですから、それだけでも強い。この点についてはオリンピック・パラリンピックは絶好のチャンスなので老若男女問わず、とにかく勉強してもらおうと思っています。そのための予算措置もきちんと取ります。やはり“おもてなし”をしようと思ったら、多少なりとも英会話くらいできるようになりたいと、みなさん思うはずですので、どんどん取り組んでいただけると思っています」

——いま地方創生ということで、各地域で連携していろいろなことをやっていこうというムーブメントが起きています。オリンピック・パラリンピックも日本全体で盛り上げていかなければいけないと思うのですが。

「IOCが昨年12月に方針転換して、東京以外の都市や海外でも開催していいということになりました。そうすると東北の被災地を含めて、いくつかの競技や予選などはそういったところで開催することが可能になりましたので、オールジャパンというイメージが出てくると思うんですね。開会式なんかを見てもそうなんですが、スポーツだけじゃなくて文化の祭典でもあります。そうすると文化というのは東京だけではありません。各地方に素晴らしい伝統芸能が残っている。こういうものを総動員する絶好の機会だと思っています」


——以前、全国のお祭りを集約して見せられる機会が作れないかというようなコメントをされていたと思うのですが、オリンピック・パラリンピックでそういったこともお考えですか?

「開会式のような場でそういうものが全部集結できれば面白いですね。それになんといっても海外に発信しないといけない。恐らくオリンピック・パラリンピックを見に来る方は大会だけ見て帰るのではなく、せっかく日本に来たんだから、奈良・京都を見てみたい、東北はどうなっただろうか、九州、四国、北海道にも行ってみたいというふうに考えていると思うので、日本をアピールする絶好のチャンスだと思います。いま東京は海外からの観光客に向けて、観光ルートを作ってあげています。だから東京一人勝ちという話ではなくて“東京も頑張るけど地方も一緒になって頑張ってください”ということなんです。日本の各地を観光された方は本国に帰ったときに、“日本に行ったら○○に行くべきだ”といったことを言うと思うんです。そのときにどの地域がピックアップされるか。そう考えると海外の目にさらされたときにどこが生き残れるかという東京も含めた47都道府県の競争なんです」

——全国の若い知事さんや市長さんの集まりがあり、そこでは東京と連携して日本を元気にしていこうという話をしています。ぜひ都知事にはそういった活動にも連携いただければと思っておりまして。

「高知県の尾崎知事を含めて4人くらい私の教え子が知事になっているんですが、“教え子知事連合を作ろう”なんて言ってましたね(笑)」

——舛添さん自身の個人的な2015年の目標はありますか?

「都知事に就任して以来、多忙な日々が続いていて、運動不足なんです。座っての仕事も多くて、ちょっと腰を痛めてしまったので、これをなんとか早く治したいというのが個人的な今年の目標です(笑)。これまで陸上競技や馬術、柔道などをやってきたのですが、そこまでじゃなくていいんです。とにかくウォーキングでもいい。なんとか時間を見つけて体を動かしていかないといけないと思っています」