江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 素人鰻(しろうとうなぎ)

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
 明治維新の後、武士から士族となったとある旦那が何か商売を始めようと考えていた。最初は汁粉屋でもと考えていたのだが、店を探している時に、昔屋敷に出入りしていた、鰻職人の神田川の金とばったり出会う。事情を話すと「あっしが手伝いますから、鰻屋をおやりなさい」とすすめてきた。確かに腕のいい鰻職人ではあったが、この男、酒癖が悪いのが玉に瑕。そこを指摘すると、世話になった旦那のために酒を絶つことを誓うと言う。開店してからは、もともとが腕のいい鰻職人、店は大繁盛で、旦那も大喜び。しばらくしたある日、旦那の元同僚が開店の祝いにと遊びにきてくれた。金のこともよく知るこの同僚が、今晩は祝いだから、金も一杯飲めとすすめた。最初は控えていたものの、あまりにすすめるので、一杯だけとお酒を飲むと、元が酒飲みなだけに、止まらない。そのうち主人に対して悪態はつくは暴れるはで、とうとうどこかに出て行ってしまった。翌日、吉原の付き馬をつれて金がすごすご帰ってきた。昨夜のことはまったく記憶になく、気が付いたら女郎が横に寝ていたという。泣きながらわびる金に金を立て替えてやり、主人は金を許し、迎え入れた。その後は反省したのか、一生懸命働き、おかげで店の評判も上々。そんなある日、夜中に主人が目を覚ますと、台所で金が盗み酒。主人に見つかって、またもや出て行ってしまった。翌日、面目なさそうに帰ってきた金を叱るも、ほかに職人がいないのでまた許してしまう旦那。

 しかし翌日も、その翌日もこそこそと盗み酒。仏の顔も三度まで、ついに主人の堪忍袋の緒が切れて追い出してしまった。そうなると困ったのが店のこと。奥方は「魚切れ休業」を提案するが、そうもいかない。さりとて、金ほどの腕の職人がそう簡単に見つかる訳もなく、仕方なく自分で料理をすることに。まずは泳ぐ鰻を捕まえて笊に上げようとするが、そう簡単にはいかない。つかみやすように、滑り止めにと糠をぶっかけるもなかなかつかめない。やっとつかんで、キリで抑えようと思ったら、隣のやつが逃げ出した。これを捕まえようと握るそばから前へ前へと抜けていく鰻を両手で交互につかもうとするが、とうとう外へ。「履きものを出せ、戸を開けろ!…どこへまいるかわかるか。前にまわって鰻に聞いてくれ」