スガダイロー フリージャズと演劇の邂逅 舞台『ペール・ギュント』

 ヘンリック・イプセンの傑作『ペール・ギュント』が白井晃演出のもと、KAAT神奈川芸術劇場で7月11日から上演される。主演を務めるのは近年、舞台俳優として着実にキャリアを積み重ねる内博貴。内をはじめ魅力的なキャストが並ぶなか、スタッフに目を移すと「音楽・演奏=スガダイロー」のクレジットに目が止まる。スガダイローが演奏!? 即興で!?
撮影・神谷渚
 スガは日本を代表する若手フリージャズピアニスト。その演奏スタイルは「即興」を主とし、さまざまなアーティストとの即興対決の迫力は他の追随を許さない。そんなスガが演劇作品の音楽を担当するという。まずはその経緯から。

「僕のマネジャーがKAATのプロデューサーの方とたまたま面識があったらしいんです。白井さんももともと僕の演奏を聴いてくださっていたようでした。ちょうど、曲をしっかり曲として提示できる場が欲しい、ライブだけじゃないこともやってみたい、と思っていた時期でもあったので、やってみようと思いました」

 決まった曲と即興、割合的にはどちらが多い?

「どうでしょう…時間的には即興のほうが長いかもしれません」

 そうじゃないとスガダイローに依頼する意味がない。

「そうですよね。多分…ちゃんとしたことをやるのは不得意なので(笑)。でも稽古にも何回かは参加するので、即興といってもやることはある程度は決まっちゃうんだろうな、とは思っています」

 やっていくなかでお客がノってきたら稽古場とは違う感じになることも?

「それは様子をうかがいながらやっていこうと思っています。日によってあまりムラがあると、2回見た人から“全然違うじゃないか!”みたいなクレームが来る可能性は高いですよね(笑)」

 あとは演出家の判断で。

「あんまり調子に乗りすぎるとすごい失敗をする可能性も非常に高くなってきますから(笑)」

 即興でやるときに失敗することは?

「ありますよ。これ大丈夫なのかな!?みたいなことは。でもそういうところを楽しめるお客さんばかりだからあまり気にしてはいないんです」

 ちなみに曲作りに入る前に『ペール・ギュント』は読んだ?

「とりあえず話だけは追ってみようと思って、すげー頑張って最後まで読みました(笑)。でも言い回しなんかはよく分からなかった」

 読みながら、こういう音楽かな?とイメージしながら?

「僕の中では結構はちゃめちゃなギャグ的要素もあるな、と思っていたんだけど、そこはあまり出さないようにするってことらしいです。シリアスで不条理感を前面に押し出すということだったので、明るいふざけた曲はボツになりました」

 見る側からすると、俳優が演じてるときでも邪魔になるくらいがっつり弾くようなことがあっても楽しい。チラシで「スガダイロー」の文字を見て足を運んだ人は大概それを期待するのでは?

「やはり…、そうですか(笑)。昨日、館長さんにも言われたんです。“もっと滅茶苦茶に弾いたほうがいいよ”って(笑)」

 ライブでやるような“対決”が劇場でもできれば…。

「俳優さんは決まったことをやらないといけない部分が多いので、そう考えると不利じゃないですか。向こうも変えられるのであれば、その面白さは出てくると思うんですが、音楽がどうなっていようが、その台詞は言わないといけないだろうし。イーブンな戦いではないですよね」

 ソロの他にスガダイロートリオや中村達也とのデュオなどさまざまな形態で演奏する。そういう人の集まりはどういうきっかけで実現?

「酔っ払った勢いかな。一時期はそれに凝っていた時がありました。ひたすら酔っ払ってコマを進めるという(笑)。トリオに関しては僕がちゃんと選んだんですが、それ以外に関しては周りの人に“やったら面白いんじゃない”とか言われてやってみるという感じ」

 やっていくなかで楽しくなってくる?

「そういう誘いはほとんど受けるようにしているんです。あまり考えないようにしています。やってみないと分からないので、取りあえず全部やってみる。やってみてから考える。ダメだったらやめればいい(笑)」

 公演は10日間ある。

「同じことをそんなに長い期間やったことないから、途中で飽きちゃわないようにしないといけない(笑)」

 今回の公演は「ジャニーズとフリージャズの邂逅」という見どころもある。

「女性アイドルとフリージャズっていう組み合わせは結構あるんですが、男性アイドルとフリージャズという組み合わせはなかなかない。滅多にできるものじゃないので、そこもすごく楽しみです。ジャニーズのファンの人がフリージャズを聴いてどういう反応をするのかといったことも見てみたい」

 演奏はオーケストラピットではなく舞台上でする。

「演劇的な動きも要求されることになると思います。弾いていないときにグダグダしていてはダメなんですよね。それに1カ所だけ演技しなければいけないところがあるんですが、できるかどうか…(笑)。あと、いま一応、役作りのためにヒゲと髪も伸ばしています(笑)。別に何にも言われてないんですけど(笑)、どういうふうにも対応できるように。でも何も言われなかったら、それはそれでちょっと悲しいですよね(笑)」

 果たしてどんな舞台になるのか? 久々に予測不能の作品だ。
撮影・神谷渚
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【日時】7月11日(土)〜20日(月)【会場】KAAT神奈川芸術劇場 ホール(元町・中華街)【料金】全席指定 S席9500円、A席7000円、B席4500円【問い合わせ】チケットかながわ(TEL:0570-015-415[HP]http://www.kaat.jp/http://www.kaat.jp/)【作】ヘンリック・イプセン【構成・演出】白井晃【翻訳・上演台本】谷賢一【音楽・演奏】スガダイロー【振付】小野寺修二【出演】内博貴、藤井美菜、加藤和樹、前田美波里 他 【チケット】http://l-tike.com/d1/AA02G03F1.do?DBNID=3&ALCD=1&PGCD=250609http://l-tike.com/d1/AA02G03F1.do?DBNID=3&ALCD=1&PGCD=250609