大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)
第45回 一杯の立ち食い蕎麦。

 ここのところ、立ち食い蕎麦に通っています。前から立ち食い蕎麦は好きなんだけど、足を骨折して動きづらいっていうのもあって、立ち食い蕎麦に落ち着いちゃってるんですね。腹が減っている。何か食べたい。いつもの店に行こうかなって思っても、この足では少し距離がある。そんな時に、あたりを見回すと必ずあるんですよ、立ち食い蕎麦が。

 先日、久しぶりに降りた桜木町でもそんな感じで、ふらっと立ち食い蕎麦屋に入りました。ただ、これが衝撃的な出会いだった。全部、自分の好みの店だったんです。

 店は、桜木町の駅構内にある川村屋。「そば」「うどん」と文字が並んだ店先に、もうひとつ…「青汁あります」。さっそく注文を通そうとしたら、青汁は別のカウンターがあるっていうんです。青汁を出す店も初めてなら、別のカウンターがあるとは。そして「はーい」って出してくれた青汁が、ドロドロの生の青汁。これがね、体にめっちゃいいだろうなって味なんですね。蕎麦は、かつおだしの優しい味。いなりずしにはごまも入っている。…うまい。人気メニューは「とりそば」で、煮込んだ鶏肉が入ってるんですよ……やるじゃない、と。

 川村屋さん、明治33年(1900年)にもともとは西洋食堂として始まったそうなんですね。駅周辺の開発があって店舗も移転したりするなかで蕎麦屋に専念。この115年の間にはいろんなことがあって、時代も変わっていくなかで、それに合わせて変化しながら、今もおいしいお蕎麦を出し続けているんですよね。蕎麦をすすりながら、青汁を売ろうとしたときもそんなもの売ったって、なんて反発もあったんじゃないだろうか、いなりずしのごまだってコストが高くなりますよ!なんて意見もあったんじゃないだろうか。それでも、お客さんの健康を考えて……なんて、考えを巡らせていたら、涙が出てきちゃいました。

 その日は本当にお腹が空いていたんで、もう一杯、かけそばを食べようかと思ったんですが、もう無理。泣いている松葉杖の男が「かけそば、もう一杯」なんてシュールすぎるでしょう。一杯のかけそば感がすごいしね。

 この話、13日の『キキマス!』で話したんですが、そしたら反響がすごかった。川村屋さんに行っているっていう話もあったし、おらが村の立ち食い蕎麦話とか止まりませんでした。

 骨折は全治1カ月といわれています。僕の何度目かの立ち食い蕎麦ブーム、しばらく続きそうです。
kikimasu.jpg大地洋輔との本格派漫才コンビ・ダイノジで活躍。個人でリポーターや司会、DJ活動なども行う。1972年生まれ。
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