【インタビュー】ピアニスト・大井健「メジャーデビューはたまたま幸運が巡ってきた感じ」

撮影・神谷渚

 ソロピアニスト、そしてオペラユニットLEGENDのピアノ演奏でも活躍する大井健(おおい・たけし)が、メジャーデビューアルバム『Piano Love』をリリースした。アルバムは穏やかで柔らかい印象だ。

「穏やかな楽曲が好きなので、そういう曲が多くなったのかなと思います。選曲では悩みましたが、実際には流れにさっと乗って録音しています(笑)。そのなかでいかに自分の色を出すかというところは苦労しましたね」

 全11曲を収録。ドビュッシー『月の光』、ショパン『ノクターン 第1番 Op.9-1』といったクラシック、『デスペラード』『Englishman in New York』など、映画音楽やポップスまでさまざまだ。

「母がピアノを教えていて父親が運転する車のなかではワーグナーが流れているという環境で育って、音楽を学ぶ上でもクラシックをベースにやってきましたが、社会に出たところで、クラシック音楽はそれほど世間には普及していないという事実に直面するわけです。どうしたら自分のピアノを聴きに来てくれか、クラシック音楽にもっと興味を持ってもらえるかを考えるようになりました。LEGENDもいろいろなお客さんに聞いてほしいと思って活動しているグループなので、その経験がアルバムにも大きく影響しています」

 タイトル曲や『Fragments of lyric』など自身が作曲した曲も収めている。

「1曲完成させるという意味での作曲は小学生ぶりぐらいです。アルバム全体を見た時、こういう曲があったらいいなと、LEGENDのコンサートでつなぎで即興演奏をするスタイルで制作しました。間違いなくこのアルバムのハイライトですね」

「楽譜を忠実に演奏するとか、それに自分の解釈を加えていくというのよりも、キース・ジャレットみたいに1時間半ぐらいの公演を即興でやっちゃうみたいなやり方に興味がある」と本人。彼の視線はもっと先にある。テレビのバラエティー番組への出演がきっかけで、今も「イケメン」のフレーズとともに語られることが多いが浮ついている時間はまったくなさそうだ。

 アルバム『Piano Love』(2778円・税別)はキングレコードより発売中。最新情報は公式サイト(http://www.takeshioi.com/)で。