FUJI ROCK FESTIVAL REPORT 音が楽しい! フェスが楽しい!

日本の夏フェスシーズンの本格的スタートを告げる、フジロックフェスティバル(以下、フジロック)が7月24〜26日の3日間、新潟・苗場スキー場で行われた。国内外から集まったアーティストによるライブに11万超の人が沸いた。

 レインウエアやレインブーツは必須というフジロックの定説を覆す3日間だった。雨らしい雨はほとんどなく、太陽が照りつけるなか、約200のアーティストが会場内の各ステージに散らばって、最高のライブを繰り広げた。

 迫力のロックライブに、小さな子供まで踊らせるダンスミュージック、音楽の幅広さや奥行きを感じさせる世界各地のトラディショナルな音楽、そしてJ-POPとさまざまなサウンドが響きわたる苗場で、きらりと光っていたのが、姉妹ユニットのチャラン・ポ・ランタンだ。彼女たちは演奏スタイルを変えながら、ステージを変え、他アーティストのステージにゲスト出演したりしながら、前夜祭、初日、中日と3日間で5回もステージに立った。そして、どのステージでもオーディエンスのハートをもぎ取っていった。

 なかでもハイライトとなったであろう、初日のステージは圧巻だった。バンドを従えてのフルサイズのショーで、オーディエンスもセットが始まる前のサウンドチェックからかぶりつき状態。最前列には外国人グループもビール片手にスタンバイしており、「前夜祭で初めて彼女たちのライブを見たんだけど、すごく良かったんだ。ラウドでね。だからまた見ようと思ってきたんだ」と、瞳を輝かせていた。

 ライブでは、アコーディオンの小春が「夏なんて嫌いだー!」、「外になんて出たくない!」と叫びながら、その思いをぶつけるようなパフォーマンスを展開。途中、「冷麺食べたいよね〜!」と、スウェーデンのジプシー・パンク・バンドのレーヴェンを呼び込むと一緒にパフォーマンスし、「明日、あなたのステージに出ていいですか?」と直談判し、出演を取りつけるシーンも。OKが出たこともあったのか、ボーカルのももは豚のぬいぐるみをいつも以上に振り回し盛り上げた。

 レーヴェンもまた、期間中、数多くのステージに登場。用意した旗が行方不明になるというハプニングもあったが、最終日にはバンドの手元に戻ったようだった。 

 活躍したのは、チャラン・ポ・ランタンとレーヴェンだけではない。最終日、2番目に大きいホワイトステージの一番手を務めたスペイン出身のTXARANGO(チャランゴ)は、エネルギッシュかつノリのいいライブでステージエリアを一体化させた。朝11時、高く上がった太陽がジリジリと照りつけるなかでスタートしたセットは、レゲエ、ラテン、サルサ、スカなどがクロスオーバーし、言語もスペイン語やカタルニア語、フランス語が入り乱れる。右に左に観客を誘導しながらのライブパフォーマンスで、子供から大人までそこに居合わせたオーディエンスはみんな心地のいい汗を流していた。

 フー・ファイターズ、ミューズ、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズといったヘッドライナー陣のライブの素晴らしさは言うまでもないが、音やリズムで音楽の楽しさを伝えるアーティストが輝いて見えた、2015年のフジロックだった。

レイングッズもいらないフジロック、楽しむポイントは“涼”。

 音楽ライブだけではなく、会場内を歩くだけでもたくさんの楽しいことに遭遇するのがフジロック。それだけに、酷暑の日が続いた2015年のフジロックはいつもとは違うかたちで参加者を悩ませることになった。

 アウトドアブランド、ゴアテックス、レインブーツといった、いわゆるフェスファッションも、今回はあまり印象に残らなかった。雨はほとんど降らず、気温も東京よりは多少は涼しいといった具合で、まったくその必要がなかったためだ。サイト内を歩いても、女性ではショート又のワンピースやチュニックをショートパンツにあわせた涼しげなコーディネイトが目に付き、男性では上半身は裸といった究極の薄着で楽しんでいた人も。足元も、日を追うごとにビーチサンダルやクロックスが増えていった。

 暑さには悩まされたものの、晴れ上がった天気はステージ間の移動には大きな助けになった。小さな子供を連れた家族での参加者はもちろん、子供たちはキッズスペースでフェスを満喫。さらに、ボードウォークと合わせればステージ間の往復も比較的楽にすることができるため、例年よりも多くライブを見られた感触だった。また、最も奥に位置するストーンサークルに初めて足を踏み入れ、同エリアでドラムサークルに参加したり、大道芸を楽しんだという人もいた。

 また今年は、最奥の大型ステージのオレンジコートが設けられなかった。中日には、ボードウォークの修理によって出た廃材で、キャンプファイヤならぬ大きな焚き火も行われ、いつもとは少し違ったフジロックを楽しめた。

 オレンジコートが設けられなかったことからフジロックは来年はないのでは?というウワサが駆け回ったが、最終日のゲートには「SEE YOU IN 2016!!」の文字がしっかりと掲げられていた。