Krush.58 卜部弘嵩が完璧防衛で功也に対戦迫る

 立ち技格闘技『Krush.58』(13日、東京・後楽園ホール)で「Krush -60kgタイトルマッチ」が行われ、王者・卜部弘嵩がジュアン・シューソンを3R44秒、レフェリーストップによるTKOで破り2度目の防衛を果たした。

 1R開始早々に繰り出したキックに会場がどよめいた。
 弘嵩は7月のK-1代々木大会後、約3週間タイに渡りみっちりトレーニングを積んできたのだが、その成果がこのキックに表れていた。
 続けてロー、、ミドル、ハイのキック、そして膝蹴りを繰り出す。そのどれもがスピード、切れ、重さすべてにおいて前戦のそれとは格段に進歩していた。

 ジュアンはチームドラゴンの後輩である伊澤波人を破り「英雄伝説世界57kg級」王者に君臨する選手。決して弱い相手ではない。しかし想定外の弘嵩の進化になすすべもなく、その目には焦りと驚きの色が浮かぶ。

 パンチをほとんど出すことなくキックで攻め立てる弘嵩は1R序盤に早くも右ハイキックでダウンを奪う。ラウンド終盤になってやっとパンチの連打で反撃に出たジュアンだが、それをさばくと弘嵩は鮮やかなテンカオを決める。

 すでに1R終了の段階でジュアンの右足は弘嵩のインローでミミズ腫れ状態。
 2Rも蹴りで圧倒。時折繰り出す左ハイキックにはセコンドから「狙いすぎるな」という指示が飛ぶ。確かに右のキックだけで十分な展開だ。
 2R終盤にはパンチの連打から右ハイキック、そして飛び膝と畳み掛けると、その膝でジュアンは左まぶたをカット。おびただしい出血となった。

 3Rも開始早々から決めにかかる弘嵩。ジュアンのセコンドがマウスピースをつけ忘れエプロンに上がってアピールするが、弘嵩のラッシュが始まっており、レフェリーは止めるに止められない。なんとかいったんブレイクし、マウスピースを装着したものの、再開後、弘嵩が再びラッシュ。ヒザを連発したところで、出血が激しくなりレフェリーが試合を止めた。

 弘嵩は試合後マイクを握り「11月のK-1 60kgタイトルマッチ、功也、やるしかねえぞ」とリング下で試合を観戦していた功也にアピール。功也もリングに上がると「お疲れさまでした。試合はホントに文句無しの勝ち方だったと思います。でもあんなもんじゃないです、俺の強さは。もしやるとしたら、みなさん見たいですか? じゃあやるしかないんで。ぶっ倒す」と返答すると、弘嵩も「決まりでお願いします」と本部席に向かって念押しした。

 試合後の会見で弘嵩は「まだ完成じゃないが、タイでの修行の成果が出せた。でもあんなもんじゃない。11月までにまだまだ上げられる。(K-1については)KOじゃなかったらあきらめるしかなかった。僕に残された道はKOだけだった。(功也は)今日の相手ほど隙は見せないと思うので隙を突いて勝ちたい」と話した。