12・31 RIZIN アーセンがクロン・グレイシーに惜敗もベストバウトの好勝負

 格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 さいたま3DAYS」の「IZAの舞」が12月31日、さいたまスーパーアリーナで開催された。

 山本“KID”徳郁のおいで、母はレスリングの世界選手権で優勝経験を持つ山本美憂、祖父はミュンヘン五輪に出場した山本郁栄氏という山本アーセン。
 ヒクソン・グレイシーの次男でグレイシー一族の正統継承者といわれるクロン・グレイシー。
 グレイシー一族、山本一家とそれぞれ呼ばれる格闘技の遺伝子を持つ者同士の戦いとして注目を集めたクロン・グレイシーvs山本アーセンの一戦は1R4分57秒、三角絞めでクロンが一本勝ちを収めた。

 レスリングでオリンピックを目指す山本は今回が総合格闘技(MMA)初挑戦。クロンもMMAは2戦目だが、“寝技世界一”を決める大会「アブダビ・コンバット」で優勝するなど、キャリアで勝る。
 グラウンドでは分が悪いとみた山本は打撃で勝負。クロンにグラウンドに引き込ませない。しかし一日の長があるクロンは、ならばと飛びつき腕十字で一瞬のうちに腕を極める。会場中が「終わった…」と思ったが、山本は動いて脱出。会場が大きく沸いた。

 スタンドで組まれてもヒザ蹴りやパンチを繰り出す山本だったが、クロンは足を払ってテイクダウンで上を取ると、サイドからマウントと流れる動き。山本がブリッジで体勢を返し上を取るが、クロンは下から三角絞め。一度は外した山本だったが、クロンは再度のチャレンジでがっちり三角絞めを極める。持ち上げマットに叩きつけ脱出を図った山本だったが、クロンは離さず、無念のギブアップとなった。

 試合後の会見でクロンは「普通なら腕十字をタップするところを逃げて凄いと思った。腕十字は無理と思って三角絞めに切り替えた。尊敬できる対戦相手だった」と山本を称えた。

 山本は「組まれないようにヒットエンドランで行こうと思ったが、捕まってしまった。あと、もう少し踏み込めたらパンチできたかなと思う。考えたら悔しくて泣きそうになるんですけど、いい経験になったのでよかった。(バスターについては)それが最大のミスでした」と悔やんだものの、報道陣からの「2日間を通してのベストバウトでは」という声には「やったー(笑)! 自分的には悔しくてしょうがないですけど、僕の試合で興奮してもらえたなら、こんな光栄なことはないです」と笑顔を見せた。
 気になる今後については「まだ、頭の整理ができてないので、落ち着いてから考えます」と話した。