江戸瓦版的落語案内 天狗裁き(てんぐさばき)

Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE ネタあらすじ編
 家でうたた寝をしていた熊五郎。なにやら夢を見ているのか、ブツブツ言ってみたり、ニヤニヤと笑ってみたり。それを見ていた女房、夢の内容が気になり揺り起こしてみたが、夢なんか見ていないという。「言いにくいかも知れないけど、しょせん夢の中の事、やきもちなんか焼かないからさ。教えておくれよ」「見てないものは見てないんだ。いい加減にしないとぶっ飛ばすぞ」「ああ、やれるもんなややってみな」と大喧嘩に。そこへ仲裁に入ったのが隣りの家の男。2人の話を聞くと、女房を自分の家に行かせると「で、一体どんな夢だったんだ?」。熊五郎が見てないと言ってもしつこく食い下がる。結局押し問答になり、今度は大家さんが声を聞きつけ仲裁に入った。一部始終を聞いた大家が隣家の男を家に帰らせ「大家と言えば親も同然。夢の内容を私には教えなさい」。見てないものは話せないと言うと長屋から出ていけと怒り爆発。「そんな理由で追い出しはできない」と熊五郎が反論すると「こうなったら、お上に訴え出てでも立ち退いてもらう」と奉行所に突き出した。話を聞いた奉行所はあまりのバカバカしさに、訴えを退けると大家を家に帰し「ところで熊五郎、この奉行にはどんな夢を見たか話せるだろう」と詰め寄った。

 しかし熊五郎が本当に見ていないというと、奉行は怒りだし、奉行所の庭の木に吊るしてしまった。そこに一陣の風が吹き、熊五郎の体は天高く舞い上がり、高尾山の山中に。すると目の前に天狗が現れた。奉行所の上を飛んでいる時に、熊五郎が責められているのを見つけて助け出したのだという。続けて「始めは女房が聞きたがり、隣家の男が聞きたがり、大家が聞きたがり、奉行が聞きたがった話。天狗はそのような話など聞きたくはない…が、お前が話したいというなら、話してもいいぞ」と言う。ほとほと疲れた熊五郎「本当に夢など見ていないんです」と言うと天狗が鬼の形相で「優しく聞けば調子に乗りやがって。天狗を侮辱すると八つ裂きにしてしまうぞ!」と言って熊五郎の胸倉をつかむとその長く鋭い爪を胸にグサリと刺した。「うわー助けてくれー!」。すると「何だい、この人ったらこんなにうなされて。ちょいと起きておくれ。お前さん一体どんな夢を見ていたんだい?」と女房の声。「えっ、夢? 夢…いや夢なんか見てないよ」「水臭いね、ちょっとぐらい話してくれたって…」
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