卜部兄弟中心の-60kgの勢力図に異変?【4・24「K-1-60kg日本代表決定トーナメント」】

 2016年から2017年初頭にかけてのK-1は-65kg、-60kg、-55kgの3階級で「日本代表決定トーナメント」を行い、その勝者を含む世界の強豪による「世界最強決定トーナメント」を開催――というひとつの流れができている。

3日に行われた「大決起集会」の最後のフォトセッションではぎこちない空気が漂った(撮影・柄本まなみ)

 今年第1弾の3月4日大会では「-65kg日本代表決定トーナメント」が行われ、「初代王者決定トーナメント」でゲーオ・ウィラサクレックに惨敗した山崎秀晃が左右田泰臣、久保優太、野杁正明という3強を撃破し劇的な優勝を飾った。昨年までの勢力図を一気に塗り変え、リベンジへの第一歩を踏み出した。

 さて、次回大会となる4月24日には「-60kg日本代表トーナメント」が開催される。

 この階級は昨年1月の「初代王者決定トーナメント」以来、卜部兄弟の弘嵩と功也を中心に回ってきた。

 決勝で兄弟対決が実現し、功也が勝利し初代王者に就くと、弘嵩はそのベルトへの挑戦に向け勝ち続け、再戦にこぎつけると昨年11月、鮮やかなKO勝ちでベルトを奪った。

 ともにこの階級でのライバルは自分たち以外いないと自負する2人だが、兄弟対決の刺激が強すぎたせいか、功也は昨年は勝ち続けたもののすべて判定勝ち。弘嵩はベルトを奪った後の初戦となる3月大会でヨハネス・ウルフに判定で敗れるなど、2人は“らしくない”姿を見せる。

 この間、-60kgは初代王座決定トーナメントに出場した山本真弘がレオナ・ペタス、闘士に星を落とし、島野浩太朗も大沢文也、明戸仁志に敗れるなど新興勢力が一気に台頭。Krush-55kg王者だった大雅が階級を上げ、久しぶりにKrushに参戦した皇治が見事なハイキックによるKO勝利で出場権をつかみとった。

 そんな中で、今回の日本代表決定トーナメントが開催される。
 1回戦は山本vs大雅、ペタスvs闘士、島野vs明戸、功也vs皇治で行われる。

 実績と名前だけでいえば片方の山は山本と大雅の勝者が決勝への有力候補と思われるが、前記の通り、山本は準決勝がどちらになっても一度負けている相手。よもや同じ相手に連敗を喫するとは思えないが、かつてのように存在感で圧倒することはできないだけに予断は許さない。

 もう片方の山は功也が圧倒的な優勝候補なのは間違いないのだが、初戦の皇治がなんともやっかい。

 カード発表の会見から皇治の“口撃”に反応してしまうなど、いつもの冷静さにやや陰りが見られる功也。リングに上がってまでもカッカしたままとは思えないが、やや不安は残る。

 その皇治は会見では「ホントはお兄ちゃんとやりたかった」と言ったかと思えば、3月大会の弘嵩の敗戦を見て、3日に行われた大決起集会では「お兄ちゃんは弱すぎるから、早く俺にベルトを渡せという感じ」と弘嵩にまで口撃の矛先を向ける始末。
 ここで結果を残せば今後K-1で「キラー」として絶対的なポジションを得るだけに、ある意味勝負度合いは半端ではない。
 功也が前王者の実力を見せつけるのか、ちょっとした勝負の綾が出るのか。トーナメントを大きく左右する試合となる。

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