【vol.676】東工大の大隅氏がノーベル医学賞受賞

細胞内の物質を細胞自身が分解して再利用する仕組み「オートファジー」を解明
 スウェーデンのカロリンスカ研究所は3日、2016年のノーベル医学・生理学賞を、飢餓状態に陥った細胞が自らのタンパク質を食べて栄養源にする自食作用「オートファジー」の仕組みを解明した東京工業大の大隅良典栄誉教授(71)に授与すると発表した。

 日本のノーベル賞受賞は3年連続で計25人。医学・生理学賞は昨年の大村智氏に続き計4人となった。
 オートファジーはギリシャ語の「オート」(自分)と「ファジー」(食べる)を組み合わせた造語。栄養がなくなった細胞内に、二重膜でタンパク質などを取り囲むオートファゴソームという小胞ができ、分解酵素が入った細胞小器官と融合してタンパク質をアミノ酸に分解し、栄養源として再利用する仕組みを指す。

 平たく言うと、細胞内の物質を細胞自身が分解し栄養として再利用する仕組み。
 この現象が存在することは1950年代から知られていたが、分子レベルでのメカニズムや生理学的な意義は謎だった。
 大隅氏は東京大助教授だった昭和63(1988)年、世界で初めて酵母のオートファジーを観察することに成功。平成5年には、酵母のオートファジーに関わる遺伝子「ATG」を14種類発見し、研究が一気に加速した。

 オートファジーの仕組みががんや神経変性疾患など多くの病気の発症に関連することも分かってきており、この分野の研究を急速に発展させた業績は国際的に高く評価されていた。

 大隅氏は3日、東京都目黒区の東京工業大で記者会見。「研究者としてこの上もなく名誉」と笑顔で受賞の喜びを語った。地道な努力で研究を支えたスタッフや学生には「研究は1人でやりおおせるものではない」と感謝し、同じ研究に携わる日本の研究者を「今日の栄誉を分かち合いたい」とたたえた。

 今後については「基礎研究をする若い人のサポートができるような仕組みづくりへ一歩、踏み出せれば」とし、応用研究の支援を重視しがちな社会に「大変憂えている。科学が『役に立つ』という言葉が社会を駄目にしている。本当に役立つのは100年後かもしれない。将来を見据え、科学を一つの文化として認めてくれる社会を願っている」と訴えた。