【江戸瓦版的落語案内】転宅(てんたく)

Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE[ネタあらすじ編]
落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
 妾宅から旦那が帰宅。帰りがけに妾のお梅に50円を渡しているのを見ていた泥棒が、隙を見て家に忍び込んだ。旦那の残したお膳と酒を食ったり飲んだりしていると、旦那を送ってきたお梅さんが帰ってきた。

 びっくりしたお梅さん「誰だい、お前は」「家に忍び込んでるんだ。泥棒に決まってるだろ。黙って金を出せ」と威嚇。しかしお梅さん冷静に「あれ…? お前さんもしかして、旦那に頼まれてきた芸人かい? 私をちょっとおどかしてやれって頼まれたとか」「俺は、正真正銘の泥棒だ!」「大きな声をお出しでないよ。そうかい…本物の泥棒か。だったらうれしいね。実は私も元は泥棒だったんだよ。実はあの旦那とは明日の朝手切れ金をもらったら別れるので、私もそろそろ亭主を持ちたいと思っているんだ。どこかに、留守中に人の家に入り込んで飲み食いするような、男らしくて度胸のある人はいないかね…」「姐さん、そりゃ俺の事かい?」「ああ。私を女房にしておくれ」。年増とはいえ思わぬ美女からの求婚に男はウキウキ。

 そうと決まれば、今日は泊っていくと言い出した。「あら、今夜はダメだよ。明日まではまだお囲い者。2階には旦那が用意した用心棒がいるんだよ。明日の昼に出直してきておくれ。三味線を弾いたら旦那がいない合図だから、家に入って来ておくれ。ところでちょっと紙入れをお見せ。お金を持っていると浮気が心配だから、私が預かっておくよ。なに、亭主の者は女房のものじゃないか」と稼いだお金まで取られてしまった。翌朝、男が妾宅に行くと雨戸が閉ざされたままで、三味線の音が一向に聞こえない。不審に思った男が近所の煙草屋に聞くと「あの家の方は今朝方転宅、すなわち引っ越しましたよ。実は夕べ泥棒が入ったのです。それがあんまり間抜けな泥棒なんで、婆さんと大笑い。あのお姉さん、泥棒に色仕掛けで夫婦約束をしたっていうんです。そうしたら泥棒は図々しく『泊まっていく』と言うので、2階には用心棒がいるって言ったら震え上がったとか。あのお宅は平屋だから2階なんかないのに。その上逆に泥棒から金をふんだくったとか。そろそろ、その間抜け野郎が来る頃だから、近所の連中も物陰からのぞいて待っているんです。アンタも見て行きなさい」「その女は一体何者だったんですか」「元は娘義太夫のお師匠さんだったとか」「道理で上手く語りやがった」。
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