シュートボクシング『Girls S-cup』でRENA、MIOが強豪を返り討ち

【写真上】メインイベンターとして最後にマイクを握ったRENA【写真下】2Rに見事な一本背負いが決まる(写真・小黒冴夏)
 女子格闘技の祭典、シュートボクシング(SB)の『Girls S-cup 2017』(7日、東京・TDCホール)のメーンでSBの絶対女王RENAが2015年大晦日の総合格闘技(MMA)デビュー戦で勝利を収めたイリアーナ・ヴァレンティーノとSBルールで再戦。2Rに一本背負いでシュートポイント(1点)を奪ったRENAが3-0の判定で勝利を収めた。

 ヴァレンティーノももともと立ち技が得意な選手。1Rからよく伸びる左ストレートに時折繰り出すトリッキーなバックブローで攻勢に出るが、RENAはラウンド終盤に右フックを交わすとそのまま組み付きスタンディングの肩固めを仕掛けるなどヴァレンティーノの動きをしっかり見切る。RENA は2Rには踏み込んでの左ボディーブローにヒザ蹴りで攻め込み、一本背負いでシュートポイント(1点)を獲得。3Rは開始早々にパンチの連打でペースを握ると強烈なボディーブローで攻め立てる。ボディーが効いてきたヴァレンティーノが組み付いてくると、逆にバックに回ってバックドロップを狙うRENAだったが、これはヴァレンティーノがなんとか防御。その後も最後まで打ち合う2人だったが、互いに相手を倒すまでには至らなかった。

 試合は判定となったが、2RのシュートポイントがものをいいRENAが3-0の判定で勝利を収めた。

 RENAは試合後のマイクで「イリアーナ選手は本当に強い。MMAでストレートをもらって、今回警戒し過ぎた部分がありました。イリアーナは心がきれいで本当に好きな選手です。ありがとう」とヴァレンティーノを称えた。そしてKOできなかったことについて「期待にこたえ切れなくて申し訳ない。私はまだまだ成長過程。シュートボクサーはMIOとかMISAKIとかたくさんいて頑張っていますが、この座を若手に譲るつもりはない」と今後もエースとしてSBを引っ張っていくことを宣言した。

 また試合後の会見では「総合でストレートをもらっていた印象が強くて、警戒し過ぎて、逆に今回は見えすぎたせいか、攻めきれなかった。今は試合だと冷静で、逆に冷静になり過ぎるのが反省点」と改めて反省の弁。そして10月から始まるRIZINのトーナメントについては「すべてをレベルアップしないと勝てない。だからまだ優勝しますとは言えない。10月の試合に勝って“優勝します”と言えるようにしたい」と気を引き締めた。
MIOの力強いパンチがタイソンを襲う(写真・小黒冴夏)
 セミファイナルではSB日本女子ミニマム級(48kg)王者のMIOが昨年大晦日にRENAが破ったハンナ・タイソンと対戦。2Rにダウンを奪い、判定で勝利を収めた。

 1Rからともにアグレッシブに打ち合い激しい打撃戦を展開。パンチを主体に迫るタイソンにMIOはローからのパンチで応戦。一進一退の攻防となったが、2Rに入るとMIOが前蹴りでタイソンをコーナーに詰めると打ち合いになるが、左フックから右フックを打ち抜きダウンを奪う。一気にKO勝ちまでもっていけそうな展開だったが、タイソンの粘りにあい取り逃がす。蘇生したタイソンは3Rも最後まで手数を出し続けたが、MIOはタイソンのローに右ストレートを合わせるなど着実にポイントを奪い、ジャッジ3者とも30-27の3-0の判定で完勝した。
薮下(右)は無効試合にはなってしまったが、何かを起こしそうな雰囲気があった(写真・小黒冴夏)
 RIZINの常連ギャビ・ガルシアがシュートボクシングルールに初挑戦。対戦相手の薮下めぐみは柔道で全日本実業柔道個人選手権大会優勝、1995年には世界柔道選手権大会に出場するなど柔道で実績を重ね、プロレス転向後も総合格闘技の試合でロシアのスベトラーナ・グンダレンコを破るなど、日本の女子格闘技を語るうえで欠かすことのできない存在。

 体重で30kg、身長でも30cmほどの差がある2人。ギャビの右ミドルに吹っ飛ばされる薮下だが低い体勢からタックルをかけ持ち上げようとする。しかしやはり30kgの差は大きくなかなか持ち上がらない。そのうちギャビのローでバランスを崩しヒザをついた状態の薮下をギャビが蹴ってしまい、レフェリーから注意が与えられる。再開後もタックルにいった薮下が倒れている状態でまたもギャビが蹴りを入れてしまい、薮下が昏倒。この攻防で薮下が右肩を脱臼した疑いがあったため試合続行不可能となり試合は終了。判定についてはグラウンド状態で蹴ったギャビには減点1が科せられたが故意ではないとされ、ノーコンテストとなった。
引退セレモニーを行った高橋藍(写真・小黒冴夏)
 この日は今後のSBを背負う若い世代が活躍。
 現在、WMCI-1アジア女子51kg&54kg級王者、韓国MAX FC女子-52kg級暫定王者とアジアで3つのベルトを持つUnion朱里は韓国のジョン・シユンを1R58秒、左ボディーフックでKO。3冠王者の実力を見せつけた。

“東北の剛腕美女”の異名を持つ未奈は総合格闘技のDEEP JEWELSで活躍する杉山しずかと対戦。2、3Rに首投げでシュートポイントを奪った未奈が3-0の判定で勝利を収めた。 

“猪突猛進女子”として今大会のパンフレットでも1ページのインタビューが掲載されたMISAKIはそのキャッチフレーズ通りとにかく休まず攻め続けるのが特徴。5月には国内トップクラスの紅絹をJ-NETWORKのリングで破るなど急成長を続けているファイターだ。
 この日も奥脇奈々相手に1Rのゴングが鳴るや左右のパンチで襲い掛かる。時折、奥脇のいいパンチをもらっても構わず前に出てパンチを打ち続けるMISAKI。2Rには立て続けに3度のダウンを奪い、2分6秒、KO勝ちを収めた。

 第5試合の後、元SB日本女子フライ級王者・高橋藍の引退セレモニーが行われた。この日はTDCホールに超満員2344人の観客を集めたのだが、シーザー武志シュートボクシング協会会長は「女子でTDCホールでやれるようになったのも、高橋が今のRENAの壁になった歴史があったから」などと高橋の功績を称えた。
【写真左】Union朱里が秒殺KO勝ち【写真中】未奈(右)は外敵・杉山を撃破【写真右】今後の戦いに注目が集まるMISAKI(写真・小黒冴夏)