山﨑賢人 × 広瀬アリスが33年前の学園の秘密を解き明かす!『氷菓』

 人気作家・米澤穂信の学園ミステリー小説を『劇場版 零〜ゼロ〜』の安里麻里監督がメガホンを取り、『四月は君の嘘』の山﨑賢人と『L エル』の広瀬アリスを迎え実写化。“薔薇色の高校生活”を望まない省エネ主義の天才高校生・折木奉太郎(おれき ほうたろう)を演じる山﨑と、好奇心の塊のような美少女・千反田(ちたんだ)えるを演じる広瀬が、劇中さながら、息の合ったコンビぶりで撮影舞台裏を語ってくれた。
撮影・蔦野裕
個性的な登場人物と共通点が?

 姉の命令で廃部寸前の古典部に入部した新入生・折木奉太郎は、そこで好奇心の塊のような美少女・千反田えると出会う。省エネ主義の奉太郎だったが、えるの好奇心に巻き込まれ学園生活のさまざまな謎を天才的な思考力で解き明かしていく。そんな奉太郎に、えるは「10年前に疾跡した叔父が残した言葉を思い出させてほしい」と依頼。古典部の文集〈氷菓〉誕生の謎を探ることになるが…。

 累計230万部を超える人気ミステリー〈古典部〉シリーズの第1作目、待望の実写化となる本作。気になるのはやはり個性的な登場人物を演じるこの2人!

山﨑賢人(以下:山﨑)「僕が演じた奉太郎は無気力で合理主義で省エネ主義。“やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければならないことなら手短に。”をモットーにしている人物なのですが、決して冷たい人間ではないんです。えるに何か言うときも一見突き放しているように見えて、そうではない。頭の中ではそうとらえていても実際にセリフとして口にすると、思ったより冷たく聞こえてしまうときがあったので、そこは撮影初日で探っていきました」

広瀬「私も原作をベースにしつつ役作りを進めていったのですが、最初のうちは、どの程度の強度で表現するか難しくて監督と2人で“どうしたらいいんだ!”って頭を抱え込んでいました(笑)。好奇心旺盛といっても、何にでも興味を持つように見えてもいけないし、キャッキャしすぎて子供っぽくなりすぎてもいけないし。とくに古典部の部室で奉太郎とえるが最初に出会うシーンは、何度もリハーサルを重ねて、2日間かけて撮影しました」

 そんなキャラクターと共通するところはある?

山﨑「頼まれたら断れないというところかな。あまり人から頼み事をされることは無いのですけど(笑)」

広瀬「分かる! 確かに賢人君にあまり頼まないかもしれない(笑)」

山﨑「そうなんです。人は僕に頼もうとしないんです(笑)。奉太郎はいろいろと頼み事をされて面倒くさそうにしていますけど、人から求められるというのは幸せなことですよね。なので、僕にできることがあればぜひ頼み事をしてください。できる限り解決いたしますので」

広瀬「じゃあ今度、何か買って!って頼んじゃおうかな(笑)」

山﨑「いいよ…って、それ、頼み事というよりお金が目的?(笑)」

 一方、広瀬と“好奇心の塊”えるの共通点は?

広瀬「私は、何か一つ気になり始めるともう止められないところが、えると一緒です。何かにハマると周りが見えなくなるくらい集中してしまいます」
撮影・蔦野裕 【広瀬アリス】ヘアメイク・宮本愛、スタイリスト・櫻井まさえ(Irakusa)、イヤリング(参考商品)YURIKA MIYAHARA/カロナ その他スタイリスト私物
山﨑&広瀬が息ぴったりな理由

 実は、これまでにも何度も共演した経験を持つ2人。最初にドラマ『35歳の高校生』のときから、お互いに変わった?

山﨑「変わらないです」

広瀬「変わらないです」

山﨑「“アリス”って感じのままです」
広瀬「どんな感じよ(笑)」


山﨑「アリスって感じ」

広瀬「そういうところ、本当に変わらないよね。気に入った冗談を何度も繰り返したかと思うと、すぐに飽きて、また別のフレーズにハマるんですよ。初めて会った17歳とか18歳ごろから、こういうところは全然変わらない」

山﨑「でも嫌いじゃないでしょ(笑)」

広瀬「嫌いじゃない(笑)」

山﨑「一応、この冗談嫌いじゃないなと様子を見ながら絡んでいるから(笑)」

 息の合った探偵コンビの下地はすでにできていた?

広瀬「でもこれまでの共演作では役としても絡みがあまり無かったし、現場で会っても常に話す機会があるわけでもないので」

山﨑「ここまでがっつり組ませていただいたのは今回が初めてなんです」

広瀬「なので今回、一緒にお芝居を作っていく感じが新鮮でした。それと、賢人君は本番前になると座長として現場の空気感をしっかり作るところが、さすがだなと思いました。リラックスした雰囲気を作ったり場を引き締めたりしてくれるので、他の役者たちもすっと演技に入っていけた気がします。賢人君が現場にいるのといないのとでは、空気がまったく違いました」

山﨑「僕もアリスがいてくれたおかげですごくやりやすかったです。芝居も本当にうまいですし。奉太郎のキャラクター的に、基本的に受け身の芝居だったので、広瀬さんがえるを体現してくれて助けられました。原作からイメージしたえるとぴったりだったので、さすがだなと」

 制服姿で再共演した感想は?

山﨑「僕自身は、作品で制服を着ることは今も割とあるので…」

広瀬「同じ年とはいえ、制服を着なれている山﨑さんと着なれていない私では差があるというか(笑)。家に帰れば、本当に制服が似合う妹がいますし(笑)、自分の制服姿は大丈夫かなと思ってしまって」

山﨑「大丈夫でしょ(笑)。僕からすると、これまでの共演作も制服姿だったのでごく自然な感じですけど」

広瀬「ブレザーならまだしもセーラー服だと、ちょっとね(笑)。実際に物語のモデルとなった高校の制服だったのですけど、セーラー服を着たのは中学生以来でしたし」

山﨑「卒業してから制服を着ることに女性のほうが、照れがあるのかもしれないね」

広瀬「そうなんだよね。スカートの丈とか、胸元のリボンとか(笑)」
撮影・蔦野裕 【山﨑賢人】ヘアメイク・永瀬多壱(Vanites)、スタイリスト・伊藤省吾(sitor)、ジャケット2万5800円/ヴィンテージ(ラボラトリー / ベルベルジン®)、タートルネックニット1万円(フィルメランジェ)、パンツ2万8000円/ワコマリア(パラダイストウキョウ)、シューズ3万7000円/ネプコ フットウェア(ネペンテス)
『氷菓』探偵コンビはここが違う

 ミステリーには“探偵と相棒”が付き物。その中でも謎解きに関心のない探偵・奉太郎と、謎の答えが気になって仕方がない相棒えるのコンビは、とてもユニーク。

山﨑「めっちゃ良いコンビだと思います。えるが奉太郎をガンガン引っ張っていって、それに奉太郎が動かされていく。えるに頼まれて“考えてみた”…で謎が解けちゃうってすごいですよね」

広瀬「ある意味、ここまでかみ合っていない探偵コンビも珍しいと思います(笑)。うまくいっているのか、いないのか…というと、いってないんですけど(笑)。この2人の関係が『氷菓』ならではの世界観を醸し出していると思います」

 名セリフ“わたし、気になります!”もファン必見。

山﨑「これはもう断れない、という気になりますね。腕もつかまれ、大きい瞳でまっすぐ見つめられて」

広瀬「賢人君の奉太郎も、私の中のイメージそのものでした。特にダルそうな、やる気のない感じとか(笑)。これまで青春映画での印象も強いと思うのですけど、こんなにも目の死んでいる山﨑賢人はなかなか見ることができないと思います(笑)」

山﨑「今回は真逆ですね」

広瀬「まさに“灰色の山﨑賢人”を見ることができる映画です(笑)」

 古典部のメンバーを演じた岡山天音、小島藤子も旧知の役者仲間だ。

山﨑「それぞれ共演したことがあるのですが4人全員そろって、というのは今回が初めてで、すごく楽しい現場になりました」

広瀬「お互い年齢も近いこともあり、修学旅行の班みたいな感じでした。特に賢人君と天音君の仲が良くて、地方ロケではその日の撮影が終わった後もずっと一緒に行動していたり(笑)」

山﨑「一緒にいると楽しいんです(笑)。地元の友人と仕事をしているような、頼もしくもあり照れ臭くもある、不思議な感じでした」

 若手世代の中でもすでに多くの作品を経験し、さまざまな俳優たちと共演してきた2人。共演して楽しいタイプの役者とは?

広瀬「私は即興する人とお芝居するのが、けっこう好きです」

山﨑「ああ。怖いけど楽しいね」

広瀬「今回は推理もので、きちんと練られたものを見せていくことが大事だったので特にアドリブはしませんでしたが、相手のアドリブにもどんどん乗っかっていきたいほうなんです。最初は怖かったんですけど『釣りバカ日誌』で西田敏行さんや濱田岳さんから、芝居をその場で作っていく面白さを教えていただきました。私はまだまだですけどね」

 山崎と広瀬の息の合ったコンビぶりを見るに、見事に即興できそう。

山﨑「確かに。やってみたい」

広瀬「アドリブ向きの作品で今後共演することがあればぜひ(笑)」

 ちょっとした日常の違和感から謎に気づくえるの好奇心と、そんな謎を脳内で解き明かしてしまう奉太郎の思考力。俳優という職業にはどちらが、より重要だと思う?

山﨑「どっちも」

広瀬「どちらかと言ったら(笑)? いろんな役に興味を持つ好奇心か、役を深めていく思考力か…。私は思考力、かな」

山﨑「瞬発的な能力か、じっくり考える力かというと…やっぱりどっちも必要じゃないですか?」

広瀬「それはそうだけど(笑)」

山﨑「僕は役作りにおいても台本を読んだ時点ではイメージを固めず、最終的に現場で作り上げていくんです。現場で生まれるものが一番だと思うので。だからやっぱり俳優にとっては好奇心も思考力も大切だなと思います」

 奉太郎とえるは、どちらが欠けても成り立たない探偵コンビなのかも。

山﨑「無気力だった奉太郎が結局、謎解きをしてしまう。えるを初めて見たときに、恋とまでは行かなくても何かやっぱり引かれるものがあったのでしょうね」

広瀬「えるも奉太郎をすごく信頼しているのは確かだと思います。叔父と重ねている部分もあると思うし、一緒にいて居心地の良さも感じているのは間違いないと思います」

 最後にメッセージを!

山﨑「灰色の高校生活もあっていいという主人公も面白いですし、脳内で事件を解いていくという謎解きスタイルも楽しんでほしいです。あと、ずっと省エネで受け身だった奉太郎が、だんだん心を開いていって、逆にえるを励ましたりする姿も見どころかと思います」

広瀬「飛騨高山の風景も見どころだと思います。実際に原作のモデルとなった場所で撮影させていただいているので、そこにしかない空気感を感じてもらえたらいいなと思います」

 いろいろ気になる探偵コンビと一緒に映画館で謎解きを楽しんで!

(本紙・秋吉布由子)
©2017「氷菓」製作委員会
『氷菓』
監督:安里麻里 出演:山﨑賢人 広瀬アリス、小島藤子、岡山天音他/1時間54分/KADOKAWA配給/全国公開中 http://hyouka-movie.jp/http://hyouka-movie.jp/